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税金滞納の差し押さえ処分とは?実行に至るまでの流れやリスクを解説

読了目安時間:約 6分

支払うべきお金を期限までに納めない状態を滞納といいます。税金滞納は、税金を期限までに納付せず、未納のままにしている状態を指します。

税金を滞納していると、本来の税額の納付を求められるだけでなく、延滞税などのペナルティが課されます。さらにそのまま税金滞納を続けると、差し押さえに発展するリスクがあります。

しかし、税金滞納による差し押さえのリスクがあるといっても、差し押さえとは具体的にどのような行為を指すのかイメージしにくい場合もあるかもしれません。

そこで今回は、税金滞納による差し押さえの対象となる財産や差し押さえが行われるまでの流れ、差し押さえが実行される場合のリスクなどについて解説します。

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税金滞納の差し押さえとは

差し押さえとは、税金や借金などの支払いを滞納している人に対し、未払い分の税金や借金などを強制的に回収するための法的な執行手続きです。

税金の滞納時に行われる差し押さえも、借金や家賃の滞納時に実施される差し押さえと変わりはありません。しかし、借金などの差し押さえを行うためには、裁判所への申し立てを行う必要があります。裁判所からの差し押さえ命令を受けて法的手続きを進めなければなりません。一方で、国や自治体などは裁判所の許可を得なくても財産の調査や差し押さえを行う自力執行権があります。また、借金などの滞納に比べ、税金の滞納分の支払いが優先される点も特徴です。

税金滞納で差し押さえの対象となるものは?

税金を滞納し、差し押さえが行われる場合に対象となるのは次のような財産です。

・預貯金

・給与や賞与、退職金

・自宅やオフィス、工場などの不動産

・回収予定の売掛金

・自動車やバイク、貴金属、骨董品などの動産

・機械や設備、備品、什器

・有価証券

・生命保険 など

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税金滞納時に差し押さえに至るまでの流れ

税金には納付期限が決められています。納付期限を過ぎれば税金を滞納している状態となりますが、すぐに差し押さえが行われるわけではありません。税金の滞納から差し押さえに発展するのは、最終的な段階です。

ここでは、税金を滞納してから差し押さえがなされるまでの流れについてご説明します。

督促

税金の滞納が認められる場合は、まず、督促が行われます。督促とは、税金滞納者に対して支払いを強く求める行為のことです。督促は書状の発送をもって行われることが多く、税金の場合は納期限を過ぎてから20日以内に発送することが義務付けられています。

実は、差し押さえを行ううえでは、督促状の発送が必要です。督促状が発せられた日から起算して10日を過ぎた日までに税金が完納されない場合に、財産の差し押さえが可能になるのです。逆を言えば、督促状が発送された日から10日を経過しなければ、差し押さえをすることはできません。

最終催告

督促状を送付しても税金の滞納が続いている場合は、電話や訪問などによる督促が行われます。税務署や自治体の職員が電話や訪問などによって税金の納付を促しても、税金が納付されない場合には催告が行われます。催告とは、債権者が債務者に対して、債務の履行を請求する意思を確認する行為のことです。

法的には催告書を送付しなくても督促状が送付されていれば、差し押さえを行うことはできます。しかし、一般的には督促状を送付しても税金の滞納が続いている納税者に対しては催告書を送付し、それでも納税の手続きが行われない場合に差し押さえに踏み切るケースが多いようです。

財産の調査と捜索

催告書を送付しても税金の滞納が続いていると、税務署や自治体などは差し押さえを行うために、債務者(納税者)が保有する財産を把握するための調査を実施します。具体的には、預金口座の残高や月々の給与、自動車やマイホームなどの保有状況などが調査されます。

納税者本人に財産についての質問がなされるケースもありますが、取引先や勤務先、金融機関などに対しても調査への協力が依頼されます。

そのほか、強制調査が実施される場合などは、オフィスや自宅を直接捜索し、財産の状況を確認するケースもあります。

差し押さえの決定と予告

財産の調査が完了すると、差し押さえの予告通知書が送付されます。差し押さえ予告通知書には、差し押さえの実行予定日が記載されており、記載された実行予定日までに税金を納付すれば、財産の差し押さえは回避できる可能性があります。しかし、差し押さえの予告通知書が届いてもなお、税金の滞納を続けていると、差し押さえが実行に移されることとなります。

また、差し押さえ予告通知書は必ず送付される書類ではないため、予告通知書が送付されず、財産の調査後に差し押さえの実行に進むケースもあります。

差し押さえの実行

差し押さえ予告通知書に記載されている日時になると、差し押さえが実行されます。差し押さえ実行後は、税金の滞納額に見合う財産が差し押さえられることとなります。

つまり、差し押さえが実行されると、所有者であっても自身の財産を自由に処分することはできなくなるのです。一般的には、最初に金融機関の口座が差し押さえられ、お金を引き出すことはできなくなります。なぜなら、金銭に換えやすく、税金の納付に充当しやすい資産から優先的に差し押さえが行われるためです。

また、会社員の場合には勤務先に連絡が入り、給与の差し押さえが行われるケースもあります。給与の差し押さえが行われると、滞納している税金の納付に充てるため、毎月一定額が強制的に税務署や自治体などに支払われます。ただし、給与の全額を差し押さえると生活に支障が出る可能性があるため、差し押さえできる給与の額は最大で税金などが控除された手取り額の25%までとされています。また、手取り額が44万円を超える会社員の場合は、手取り額から33万円を差し引いた残りの額が差し押さえの対象となります。

そのほか、自動車やバイク、貴金属、不動産、有価証券なども差し押さえの対象です。

換価処分

換価処分とは、差し押さえた財産を金銭に換える手続きのことです。具体的には、公売によって財産を売却する行為が換価処分に該当します。

会場で入札方式などを用いて売却する方法もありますが、近年ではインターネットの専用サイトを通じて売却するインターネット公売が主流になっています。

公売に似た言葉に競売があります。競売も差し押さえた財産を売却する行為ですが、公売は国や自治体が税金の回収を目的に実施する換価処分であるのに対し、競売は金融機関や民間の債権者などが、滞納した借金の返済を求めて行う換価処分です。競売は裁判所を通じて行わなければなりません。

滞納した税金への充当

差し押さえによって確保したお金は、滞納税金の支払いに充当されます。不動産や自動車など、財産を公売にかけた場合、売却額が滞納額を上回るケースもあります。その場合、滞納税金の支払い後に生じた余剰金については、滞納していた納税者に返還するルールです。

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税金滞納による差し押さえで生じるリスク

税金を滞納し、財産の差し押さえが行われた場合にはさまざまなリスクが生じます。

生活や事業への悪影響

最も差し押さえの対象となりやすいのは、預貯金です。それは、預貯金の場合、不動産などのように公売にかける必要はなく、手間と時間をかけずに税金の滞納分の支払いに充当できるからです。

しかし、預貯金が差し押さえられてしまうと、生活に大きな影響が生じます。また、法人の場合でも預貯金が差し押さえられれば、取引先への支払いが行えなくなり、事業の存続にも多大な影響を与えることになるでしょう。

また、差し押さえは生活に影響の少ない部分から優先的に行われますが、滞納の税額が大きい場合などはマイホームなどの不動産が差し押さえの対象になるケースもあります。自宅が差し押さえられ、公売によって強制的に売却されれば住む場所を失う可能性も出てきます。

信用の低下

預貯金の差し押さえが行われる際には、金融機関にも差し押さえの情報が伝えられます。税金の滞納が金融機関に伝われば、今後の資金調達にも影響を与える可能性が高くなります。また、個人の場合でも住宅ローンの審査時などに影響するでしょう。

さらに、売掛金も差し押さえの対象になると、取引先にも税金滞納の事実が判明し、信頼関係に大きな傷が付き、取引停止に陥る可能性も出てきます。さらに、個人の場合も勤務先に対して給与の差し押さえの連絡が入れば、税金滞納の事実が会社に知られることでマイナスの影響が生じる可能性もあります。

差し押さえが実行されると、法人・個人を問わず、対外的な信用を大きく低下させることになるのです。

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税金滞納による差し押さえを回避するための方法

税金滞納によって財産を差し押さえられると、さまざまな問題が生じます。税金は納期限までに支払うことが大切ですが、万が一、税金の納付が難しい場合などは次のような対策を実行すると差し押さえを回避できる可能性があります。

早いタイミングで相談をする

税金の納付が難しい場合は、早めに税務署や自治体に相談することをおすすめします。現状の説明を行うことで、猶予制度の活用など、何らかの対応策についてアドバイスをもらえる可能性もあります。

国税については税務署、地方税については自治体が相談窓口となります。

国税の猶予制度を申請する

国税の猶予制度とは、国税を期限までに納付することが難しい場合に利用できる制度のことです。国税の猶予制度には換価の猶予と納税の猶予があります。いずれも原則として猶予を受けようとする金額相当の担保の提供が必要ですが、猶予を受ける金額が100万円以下である場合や猶予を受ける期間が3ヶ月以内である場合、担保として提供できる財産がない場合などは担保を提供する必要はありません。

換価の猶予

換価の猶予とは、一定の要件を満たす場合に、1年以内の期間に限り、財産を現金に換える換価の猶予を受けられる制度です。換価猶予を申請するにあたって満たすべき要件は次の5つです。

・国税を一括して納付することで事業の継続または生活の維持が困難になる恐れがあると認められる

・納税について誠実な意思があると認められる

・換価の猶予を受けようとする国税以外に国税の滞納がない

・納付すべき国税の納期限から6ヶ月以内に申請書を提出している

・原則として担保の提供がある

納税の猶予

納税の猶予は、一定の事由によって国税の一括納付が難しい場合に1年以内の期間に限り、分割納付が認められる制度です。納税の猶予を申請する際には、次の①~④のすべての要件を満たす必要があります。

  • 次のA~Fのいずれかに該当する事実がある
  1. 納税者が震災、風水害、落雷、火災その他の災害、盗難によって財産に損害を受けた
  2. 納税者または生計を一にする親族が病気や負傷をした
  3. 納税者が事業の休廃止をした
  4. 納税者が事業で著しい損失を受けた
  5. 納税者にA~Dに匹敵する事実があった
  6. 本来の納期限から1年以上が経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定した
  • 猶予該当事実に基づき、納税者が納付すべき国税の一括納付ができないと認められる
  • 申請書が提出されている
  • 原則として担保の提供がある

納税の猶予が認められる場合、猶予期間中の延滞税の免除や軽減の措置を受けられるケースもあります。

地方税徴収の徴収猶予制度の申請をする

国税の納税の猶予と同様の要件などにより、地方税の一括納付が難しい場合には、申請をすることで1年以内の期間に限り徴収猶予が認められる場合があります。猶予が認められると、期間中の延滞金の全部または一部が免除されます。延滞金は国税の延滞税にあたるものです。

また、国税と同様、換価の猶予についても申請できる場合があります。

申請の条件や提出書類などは自治体によって変わる場合もあるため、地方税の納付が難しい場合には、地方自治体の窓口に相談してみましょう。

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まとめ

納期限を過ぎても税金を納めない状態を滞納といいます。税金滞納が起きた場合、納付を促す督促が行われますが、それでも納付に応じないときには財産の差し押さえが行われます。

財産の差し押さえが行われると、金融機関の口座が凍結され、預貯金を自由に引き出すことができなくなります。また、給与や不動産、車、バイク、貴金属、有価証券なども差し押さえの対象となり、預貯金だけで滞納税金の支払いができない場合は、所有する財産が公売にかけられ、売却代金が税金の支払いに充てられます。

差し押さえが行われれば、事業や生活に大きな影響が生じます。税金は滞納せず、期限までに納付することが大切ですが、納付が難しい場合には、差し押さえを回避するためにも早めに税務署や自治体の窓口に相談しましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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