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税務調査は納税者が正しく税務申告を行っているのかを確認する作業ですが、税務調査を受ける会社にとっては不安なことも多いはずです。
税務調査では帳簿や請求書など紙ベースの書類を調査官が確認しますが、調査官からこれらの書類を持ち帰りたいと言われた場合に拒否できるのか、どのように対応すべきかというのも心配になる方もいるでしょう。
本記事では、税務調査の時期や期間、準備から調査当日の対応について詳しく解説します。
税務調査がどのような流れで進んでいくのか、どのような点に気をつけると良いかなどについても説明していきますので、この記事を参考に税務調査について理解を深め、過度に恐れず適切に対応していただけたら幸いです。
目次
税務調査が未経験という会社にとっては、いつ調査が行われるのか、どのくらいの期間行われるのか気になってしまいますよね。
はじめに、税務調査の時期や調査期間の目安、調査対象期間について説明していきます。
税務調査が行われる時期については、明確な決まりがありません。
しかし、確定申告が終了した4~5月頃、税務署での人事異動が終了する7~11月頃に行われることが多いとされています。
とはいえ、その他の時期に行われる可能性もあるため、いつ税務調査が行われても適切な対応がとれるよう、対策しておくことが重要です。
税務調査にかかる日数は個人事業や小規模事業者では1〜2日程度、ある程度規模の大きな会社の場合は3〜4日程度かかる場合があります。
また、税務調査の結果については実地調査が終わってから短い場合で1週間ほどで到着するでしょう。
しかし、企業の規模が大きいほど調査結果が出るのに時間がかかり、大企業の場合は数ヵ月かかることもあります。
税務調査は何年前まで調べられるのか気になる方もいるでしょう。
実際、税務調査は基本的に過去3年間分を対象に調査が行われます。
ただし、法律上は5年まで遡って調査が可能なので、最低でも過去5年間分の書類については、提出を求められたときにすぐに用意できるようにしておきましょう。
税務調査はどのような流れで進行するのでしょうか。
初めて税務調査が入る場合には、主な流れを把握しておくと対策がしやすくなります。
具体的には以下の流れで進みます。
なお、顧問税理士がついているかどうかによっても多少異なります。
詳しく見ていきましょう。
税務調査では一般的に任意調査が行われますが、あらかじめ調査対象となる法人もしくは個人事業主に対し、税務調査を行う旨の連絡が入ります。
調査内容についてもあらかじめ伝えられ、納税者の理解と協力を得たうえで調査を行うということになるのです。
ただし、通知によって税務調査に支障をきたす恐れがある場合には、通知をせずに税務調査が行われるケースもあります。
また、税務代理権限証書に、納税者への事前通知は当該税務代理人に対して行われることについて同意する旨の記載がある場合には、原則として顧問税理士に連絡が入ります。
事前通知にて調査内容や対象となる科目、帳簿書類とともに税務調査を行う日時についても知らされます。
しかし、必ずしも指定された日時を受け入れなければならないのではなく、病気やケガなど、やむを得ない事情があると判断される場合には日程変更が可能です。
顧問税理士に税務調査当日、立ち会ってもらう場合には、税理士の予定を確認してから日程を調整する必要があります。
税務調査の日程が決まったら、あらかじめ調査に必要な書類を不備のないように準備しておきます。
税務調査で提示や提出を求められるものは主に以下の通りです。
多くのケースでは過去3年分の税務申告について調査が行われますが、場合によっては5年分の調査が行われる場合もあるため、日頃から見やすいようファイリングして並べておくようにしましょう。
また、顧問税理士がいる場合には相談しながら事前準備を行い、質問へのシミュレーションをしておくと安心です。
税務調査当日は、担当の税務調査官がオフィスや店舗を訪れ、ヒアリング調査や帳簿類の確認などを行います。
個人事業主で自宅で仕事をしている場合には、自宅のリビングなどで調査が行われるケースもあるでしょう。
また、顧問税理士がいる場合、税理士立ち会いのうえ、専門的な質問には税理士が応えてくれる場合が多いですが、取引状況など企業側が直接回答しなければならない場面もあります。
調査が終わったら、その内容を踏まえて税務署から追加の質問がなされたり、追加の資料提出を求められたりすることがあります。
税務署から質問への回答や資料の追加提出を求められたら、速やかに対応しましょう。
顧問税理士が居ない場合は事業主が自ら交渉する必要がありますが、顧問税理士がいる場合は基本的に税理士が交渉します。
税務調査から1ヶ月程度で調査結果が通達されますが、税務調査の結果は基本的に、以下のいずれかになります。
税務調査において税務署から指摘を受けた部分について異議がある場合、根拠を明確にしたうえで税務官と交渉する必要がありますが、対応については顧問税理士と慎重に協議するのが望ましいです。
税務調査において、調査員は自由に帳簿書類等を持ち帰ることができるのでしょうか。
調査官に「書類を持ち帰りたい」と言われることがあるのか、その場合はどう対応したら良いのか、気になりますよね。
ここでは、税務調査での書類の持ち帰りについて、詳しく説明していきます。
実際、税務調査員から「帳簿書類等を持って帰りたい」と言われるケースはあります。
留め置きといって、役所に持って帰って調査させて欲しいという意味です。
その場合、必ず納税者にその旨を申し出て、納税者の承諾を得なければなりません。
ですから、納税者に承諾を得ないまま勝手に持ち帰ることはないので安心してください。
書類の持ち帰りを拒否すると、かえって疑われるのではないかと不安になりますよね。
とはいえ、書類がなければ業務に支障が出る場合もあるでしょう。
税務調査員には、帳簿書類を税務署内に留め置きをさせる権限はありません。
ですから、調査対象者は正当な理由がある場合には帳簿の持ち帰りを拒否してもかまいませんし、拒否した事実が罰則の対象になることもありません。
調査の負担を少なくするなどの理由から、書類の持ち帰りが認められる場合もあります。
税務調査において、書類の留め置きが認められるケースは、具体的に以下のような場合です。
このように、税務調査のすべてを事業所で行うことが、かえって納税者の営業に支障が生じる可能性がある場合には、留め置きが認められるケースがあります。
税務調査で帳簿書類の留め置きが求められる際には、調査官は預かる資料を一覧でまとめた「預り証」というものを発行してくれます。
調査により、資料の欠損が生じないよう、預り証に記載された書類がどれであるかを把握し、書類が変換されるまで預り証をしっかり保管しておきましょう。
書類を預かった調査官は、散逸や漏洩を防ぐ義務があるほか、また、留め置いた帳簿書類等については、留め置く必要がなくなったときは遅滞なく返還することが義務付けられています。
税務調査の対象になったからといって、不正を行っていないのであれば、過度に恐れる必要はありません。
これからご紹介するポイントを意識して、落ち着いて対応しましょう。
税務調査官の質問に対して余計なことを言ったり、不確かなことを適当に答えてしまうと怪しまれてしまう恐れがあるため、嘘をつかず、聞かれたことだけを的確に回答するのが望ましいです。
万が一、税務調査官に嘘をついたことが発覚した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることがあるほか、脱税を疑われてまた重加算税の対象となる場合もあるため、注意しましょう。
質問への対応をすぐにできない場合は曖昧な返答をせず、後日回答すると伝えるのが有効です。
税務調査の中で、事業者の家族の話や趣味の話など、調査官から取引の内容とは直接関係のないような質問を受けることもあります。
このような雑談とも取れるような内容でも、実は意味があって聞いているのです。
調査官は会社や事業者に疑わしいことがないか、どのような人物なのか、などを確認しています。
そのため、どのような質問であったとしても、余計な情報は話さず、疑われるような発言はしないように注意しましょう。
税務調査は税理士の立ち会いがなくても問題ありませんが、事前に税理士と打ち合わせを行い、準備しておけば安心です。
また、税理士に立ち会ってもらえると、事業者の代わりに調査官の質問や指摘に対して適切に対応してもらえます。
そのため、会社に顧問税理士がついていない場合は、税務調査に備えて依頼するのがおすすめです。
税理士に依頼する場合は、自社の事業に詳しく実績の豊富な税理士を選びましょう。
調査状況によっては、帳簿書類の提出を求められる場合があります。
必要な書類について、調査官がコピーして持ち帰ることもありますが、場合によっては原本を税務署が預かるケースもあるのです。
そのため、留め置きされると業務に支障が出る場合には、業務が滞らないよう、あらかじめ必要な書類はコピーしておきましょう。
税務調査の対象となり、帳簿や資料を見直している際に申告書のミスに気付くケースもあります。
このような場合では、税務調査で税務署から間違いの指摘を受ける前に、修正申告をするのが望ましいです。
なぜかというと、税務調査で指摘を受けてから修正するよりも、自ら間違いを申告して修正する方がペナルティが軽減されるためです。
そのため、税務調査の対象となった際は調査員が訪れる前に書類の確認を行い、修正申告が間に合わないような場合には、税務調査の日程の延期を申し出ることをおすすめします。
税務調査では、納税者はおよそ過去3年分の帳簿や領収書を準備し、これらを調査官に提出する必要がありますが、書類の持ち帰りをする場合には調査官がその理由や必要性を事業者に説明し、納得できる理由でなければ拒否することができます。
ただし、円滑に調査を進めるためにも、あらぬ疑いをかけられないようにするためにも、協力的な姿勢で臨む必要があるでしょう。
事前に税務調査の流れを把握し、顧問税理士を依頼するなどしておくと、万が一税務調査が入ることになった場合でも適切に対処できますので、ぜひこの記事の内容を把握し、税務調査を過度に恐れず、必要な対策をとっていただけたらと思います。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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