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バーチャルオフィスを利用しているときの税務調査の対応法は?

読了目安時間:約 6分
小規模の事業を営む人やオフィス環境の準備が要らない法人などでは、バーチャルオフィスを利用するケースが増えています。さまざまなメリットのあるバーチャルオフィスですが、実際にオフィスを構えるわけではないため、税務調査の際には、どのように対応すればよいのか悩んでしまうことも多いようです。
税務調査は、納税の義務がある納税者であれば、法人・個人を問わずに調査対象となり得るため、バーチャルオフィスを利用している事業者は、あらかじめ税務調査時の対応方法を把握しておくと安心です。
今回は、バーチャルオフィスを利用しているときの税務調査の対応方法についてご説明します。
目次
バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスとは、その名の通り、仮想オフィスのことです。具体的には、一般的なオフィスのように場所を提供するのではなく、オフィスとしての住所を貸し出すサービスをバーチャルオフィスといいます。
バーチャルオフィスのメリット
バーチャルオフィスには次のようなメリットがあるため、昨今では利用者が増加しています。
自宅住所を公表する必要がない
事業を営むうえでは、オフィスの住所が必要です。例えば、法人登記をする際にも所在地を記さなければなりません。また、事業用の銀行口座を開設する際にも郵便などを受け取る場合にも住所は必要です。
小さな事業を営む場合などは、オフィスを構えなくても自宅で業務を行えるケースもあるでしょう。その場合、オフィスを自宅住所にしてしまうと、取引先などにも自宅住所を伝えなければなりません。しかし、バーチャルオフィスを利用すれば、バーチャルオフィスの住所を使用できるため、自宅を公表する必要がないのです。バーチャルオフィスの多くは、郵便物を受け取れるようなサービスを提供しています。また、中には郵便物の転送まで行っているところもあるようです。そのため、バーチャルオフィスを使用していると、自宅住所を公開せずに書類などを受け取ることもできます。
そのほか、インターネットショッピングなど、通信販売の事業を行う場合は「特定商取引法に基づく表記」の記載が必要であり、そこには事業者の住所を記載しなければなりません。ネットショップ事業を運営する場合などは、インターネット上で自宅住所というプライベートな情報を公表することに不安を抱く方も少なくないはずです。そのような場合でもバーチャルオフィスを利用すると、プライバシーを守りながらビジネスを進めることができます。
コストを抑えられる
事業のためにオフィスを借りようとすると、入居時の敷金や礼金に加え、月々の家賃が発生します。また、オフィスを借りると家賃だけでなく、電気代や水道代、インターネットの回線料金などの負担も必要です。
大規模なオフィスが不要な人を対象としたレンタルオフィスやシェアオフィスなどのサービスも普及していますが、それぞれ利用の際にはある程度の利用料を負担しなければなりません。自宅で十分に作業ができるにもかかわらず、住所を得るためだけにオフィスを借りようとすると、たとえレンタルオフィスやシェアオフィスであってもその額は大きく感じるはずです。
バーチャルオフィスは、住所を提供し、郵便物の受け取りや転送などのサービスを利用できるものの、物理的なオフィス空間は提供しません。そのため、月々の利用料は非常に安価になるのです。バーチャルオフィスは、自宅住所は公表したくないけれど、オフィス代として支払うコストはできるだけ削減したいという方のニーズを満たすサービスであるといえます。
都心の住所をオフィス所在地にすることも可能
都心のオフィスは、賃貸料が非常に高く設定されています。しかし、バーチャルオフィスであれば、低価格で都心にある住所を使うことも可能です。オフィスを都心の一等地に設定すれば、取引相手からの信頼も得られやすくなります。また、ネットショップなどの集客時にも顧客の信頼を得やすくなるでしょう。地価の高いエリアの住所を使用できる点もバーチャルオフィスのメリットです。
税務調査とは
税務調査とは、納税者が正しく申告を行い、正しく納税をしているかを調べ、誤りや不正が見つかった場合には正しい納税を求める税務署による調査です。
バーチャルオフィス利用者も税務調査の対象になる?
税務調査は、納税の義務がある納税者を対象に実施する調査です。したがって、法人であるか個人であるかを問わず、法人税や所得税、消費税、贈与税、相続税などの納税の義務がある人は、税務調査の対象に選ばれる可能性があります。
したがって、納税者がバーチャルオフィスを利用しているかどうかは、税務調査の対象者を選ぶ際の基準には一切関係ありません。バーチャルオフィスを利用している事業者であれば正しい納税をしているというわけではなく、バーチャルオフィスの利用者でも正しく申告をしていない可能性はあるからです。
税務調査では何をする?
税務調査を実施する際には、税務調査に入る旨と税務調査の開始日時、調査対象の税目、調査対象期間などについて、原則として電話による事前連絡が行われます。この際、準備すべき帳簿や書類についても伝えられるため、税務調査の当日までに、書類の準備を進めなければなりません。
税務調査では、税務署の調査官が事業所を訪れて、提出した申告書の内容が正しいかどうかを、帳簿や関係書類などと突き合わせながらチェックをします。また、事業内容や事業の状況、主な取引先などについてのヒアリングも行われるでしょう。さらに、帳簿や関係書類を細かくチェックしながら、不審な点があった場合などは、調査官から質問がなされるため、納税者は調査官の質問に答えなければなりません。したがって、税務調査を受ける際には、調査官の求めに応じ、追加の書類の提出や質問の回答をするために、代表者は税務調査に立ち合わなければならないのです。
質問検査権を拒否すると罰則が科せられる
税務署による税務調査は「任意調査」と呼ばれるもので、納税者の協力のもとに実施される調査です。しかしながら、調査官には質問検査権と呼ばれる権利が与えられており、納税者は質問検査権に則ってなされた質問に対して正しく答える受忍義務があります。そのため、税務調査の日程を調整することはできるものの、税務調査自体を拒否することはできません。また、調査官の質問に正しく答えなかったり、求める帳簿などを提出しなかったりといった調査を妨害するような行為も禁止されています。
もし、調査官の質問や検査に対し、適切に対応しなかった場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる可能性があるのです。したがって、任意調査であっても納税者が税務調査を拒否することはできません。また、調査官の質問や要求には、適切に対応しなければならないのです。
税務調査後には結果が通知される
税務調査後、税務署から文書で税務調査の結果について通知がなされます。申告に何も問題がない場合には、税務調査はそのまま終了します。しかし、申告漏れや記載ミスなどが指摘された場合には、指摘に基づいた修正申告を行い、不足分の税金と納税が遅れたことに対するペナルティである加算税の納税をしなければなりません。確定申告をしていたものの、税務調査によって申告した税額が不足していた場合には、過少申告加算税が課されます。また、税務調査によって確定申告をしていなかったことが発覚した場合には、より税率が高くなる無申告加算税を納めなければなりません。さらに、悪質な仮装・隠蔽行為が認められた場合や多額の申告漏れが発覚した場合などは、最も税率の重い重加算税の納税が必要になります。
バーチャルオフィスを利用している場合でも、税務署ではさまざまなルートから所得の状況を把握しています。そのため、正しく申告をしていない場合は、真偽を確かめるために税務調査を実施するケースが多いのです。
バーチャルオフィスを利用し、少しでも経費を抑えようと思っている場合でも、正しく申告をしていなければ、納税の負担が大きくなる可能性もあります。税務調査や追徴課税を避けるためには、日頃から正しく帳簿を付け、正しく確定申告を行うことが大切です。
バーチャルオフィスの利用者は税務調査時にどう対応すべき?
バーチャルオフィスとは、端的に言うとオフィスに使える住所だけを貸し出すサービスです。バーチャルオフィスにはさまざまなメリットがあるため、バーチャルオフィスを利用する法人や個人事業主も増加傾向にあります。しかし、バーチャルオフィスを利用している場合、税務調査を受けるときにはどのように対応すべきか悩むケースも増加しています。なぜなら、税務調査は、前述のように税務署の調査官が事業所を訪れて、帳簿や関係書類などをチェックしながら申告内容を確認する調査だからです。バーチャルオフィスには、実際にオフィス空間があるわけではありません。では、バーチャルオフィスを利用している事業者は税務調査の際、どのように対応すればよいのでしょうか。
バーチャルオフィスで税務調査は受けられる?
バーチャルオフィスであっても、税務調査を受けることは可能です。税務調査を受ける場所は、法律で決められているわけではありません。そのため、オフィスのある事業者がオフィスとは別のお店や工場などで税務調査を受けることも可能です。また、オフィスを持たず、自宅を事業所としているような場合は、自宅で税務調査を受けることもできます。
したがって、バーチャルオフィスで税務調査を受けることは、法律上は何の問題もないのですが、バーチャルオフィスが税務調査を許可しないケースもあります。そのため、バーチャルオフィスで税務調査を受けたい場合には、まずバーチャルオフィス側に、バーチャルオフィス内で税務調査を受けられるのかを確認するようにしましょう。
バーチャルオフィスの会議室を利用する
バーチャルオフィスで税務調査を受ける場合には、バーチャルオフィス内に用意されている会議室を利用することになるでしょう。すべてのバーチャルオフィスが会議室を用意しているわけではありません。しかし、中には会議室を用意しており、会議室をレンタルできる場合もあります。
会議室の貸し出しをしているバーチャルオフィスを利用している場合は、バーチャルオフィスの運営会社に連絡を入れ、希望の日時に会議室を利用できるか、確認をするようにしましょう。会議室を貸し切ることができれば、バーチャルオフィスで税務調査を受けることができます。
バーチャルオフィスの会議室を使えない場合
利用しているバーチャルオフィスに会議室がない場合や会議室はあっても貸し切ることができない場合などは、バーチャルオフィスで税務調査を受けることはできません。その場合は、別の場所で貸会議室などを借りるか、自宅などで税務調査を受ける必要があるでしょう。
バーチャルオフィスで税務調査を受ける際の注意点
バーチャルオフィスの会議室を利用することができれば、バーチャルオフィスで税務調査を受けることができます。しかし、バーチャルオフィスは住所だけを借りている場所であり、日常的にバーチャルオフィスで業務を行っているわけではありません。そのため、税務調査の際に必要となる帳簿や必要書類などは、自宅に保管しているケースがほとんどでしょう。
税務調査では、過去3年分の帳簿や書類などの提示が求められます。また、調査を進めるうえで必要になったときには、5年分の帳簿の提出が求められる場合もあります。そのため、税務調査をバーチャルオフィスで受ける場合、大量の書類を持ち込む必要があるのです。税務調査の当日に大量の書類を持ち込むことは簡単ではありません。
バーチャルオフィスで税務調査を受ける場合には、事前にバーチャルオフィスが書類を預かるサービスを提供しているか、確認しておくようにしましょう。
まとめ
バーチャルオフィスとは、物理的な空間を持たない仮想オフィスのことで、いわば、オフィスとして利用できる住所だけを貸し出すサービスです。レンタルオフィスやシェアオフィスなども借りる必要がないビジネスを展開している場合などに、バーチャルオフィスを利用しているケースが増えています。
バーチャルオフィスを利用している事業者が税務調査の対象となった場合、バーチャルオフィスで税務調査を受けることも可能です。ただし、その場合には、バーチャルオフィスの運営者に税務調査に対応しているか、また、会議室を借りることができるか、書類を保管するサービスがあるか、確認をするようにしましょう。
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この記事の監修者

税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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