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税務署から、来署を促す呼び出しの連絡が入るケースがあります。突然税務署から電話が入って呼び出しを受けたり、封書で来署を促す文書が届いたら、戸惑ってしまう納税者も少なくないでしょう。では、どのような場合に税務署からの呼び出しは行われるのでしょうか。
今回は、税務署から呼び出しが行われる理由と呼び出しを受けた場合の適切な対応方法についてご説明します。
目次
税務署から呼び出しがある理由は、納税の状況について何らかの確認をしたいためです。具体的には、次のような場合に呼び出しが行われるケースがあります。
・提出した確定申告書の添付書類が不足している
・提出した確定申告書に記入ミスや計算ミスが見られる
・確定申告書に記された経費が高額であり、内容を確認したい
・取引先の支払い調書と確定申告の売上額にずれが生じている
・前年に比べて急に売上が低下している
・住宅の取得にあたっての資金源に確認したいところがある
・金銭の贈与があったと考えられるが、贈与税の申告がない
・不動産を売却しているのに譲渡所得を申告していない
・相続の状況について確認したいところがある
・相続税の申告が必要であるにもかかわらず、申告がなされていない
・特定の取引先との取引状況について確認したいところがある
・所得があるにもかかわらず確定申告をしていない
・医療費控除の内容に不備が見られる
・扶養控除の申請内容について確認したいことがある
・お尋ねに回答をしていない
税務署が呼び出しをするのは、納税に関して、何か確認をしたいことがあるからです。税務署からの連絡と言えば、個人事業主が対象になると思うかもしれません。しかし、上に示したように、会社員であっても住宅を取得するケースや遺産を相続するケースもあるはずです。そのため、税務署から呼び出しを受けるのは、確定申告が必要な個人事業主だけではありません。会社員の方も、税務署から呼び出しを受ける可能性があることを覚えておきましょう。
税務署からのお尋ねに対して適切な対応をしていない場合、呼び出しに発展する可能性があります。では、税務署からのお尋ねとはどのようなものなのでしょうか。
税務署からのお尋ねとは、確定申告の内容について確認をしたい場合に行われる問い合わせのことです。お尋ねは、電話で行われることもありますが、まずは文書が送られてくることが多いようです。
確定申告の内容に不備があった場合や不審点が見られる場合、遺産を相続した場合などに税務署からのお尋ねが届くケースが多くなります。そのほか、不動産を売却した場合や不動産を取得した場合、インターネット取引をしている場合などにお尋ねが届くケースも多く、呼び出しを受けるシーンとそれほど変わりはありません。
特に、高額な遺産を相続した場合には、税務署からお尋ねが届くケースが多いようです。人が亡くなった場合、遺族は、市区町村役場に死亡届を提出します。市区町村役場では死亡届を受理すると、税務署に亡くなった人について報告する義務があるのです。そのため、税務署では、誰が亡くなったのかを把握しています。
亡くなった方の生前の納税状況や不動産の取得状況などを確認すれば、遺産の状況についてある程度、把握することが可能です。また、税務署は、必要に応じ、亡くなった方の銀行口座を照会することもできます。銀行口座を照会すれば、亡くなった際の預金残高だけでなく、多額のお金の出し入れなども簡単に把握することができるでしょう。そのため、銀行口座の残高が少なくても、タンス預金があるのではないか、金地金などに交換しているのではないかと考えるケースも少なくありません。
したがって、高額な遺産相続が発生するケースについては、税務署はある程度の情報を把握しており、そのうえでお尋ねを送付することが多いと考えられます。お尋ねに回答せず、無視をしたり、相続税の申告を促されても適切に対応しなかった場合などは、お尋ねから呼び出しに変わる場合もあるでしょう。
税務署からの呼び出しは、税務署への来署を依頼するものです。一方、お尋ねは、税務署からの疑問や質問に対する回答を求められるものであり、必ずしも、来署を促すものではありません。お尋ねの場合、回答を求める書類が同封されていることが多く、期日までにその書類の返信が求められます。
また、お尋ねの中には、疑問や質問への回答を求めるだけでなく、税金の納付を求める内容の文書も見られます。相続税の納税が必要な場合などは、忘れずに相続税の申告手続きを行うように文書で促すこともあります。
呼び出しとお尋ねは、来署を促すかどうかの違いです。しかし、いずれの場合も、確定申告の内容や納税の状況について税務署が何らかの疑問を抱いているために行われるものです。そのため、強制力はないものの、税務署からお尋ねや呼び出しがあった場合には、適切に対応しなければなりません。
確定申告の内容についての回答を求めるお尋ねを送っても期日までに回答がない場合は、税務署が呼び出しを行い、直接疑問点を確認されるケースもあります。また、確定申告の必要性があることを示し、確定申告をするように求めても対応がない場合なども、呼び出しにつながる可能性があります。
ただし、お尋ねからすぐに呼び出しに発展するわけではありません。まずは、所得や不動産の取得状況、遺産相続などの状況についての問い合わせが記載されたお尋ねの文書が届きます。また、提出した確定申告書に不備があった場合に、修正手続きを行うような文書の場合もあります。
税務署からこの最初の文書や電話に対応しなかった場合は、前回の文書に対する対応を促す文書や電話に発展します。税務署からの更なる連絡にも適切に応じなかった場合に、指定の日時に税務署への来署を促す呼び出しに発展する可能性が高いのです。
税務署から呼び出しがあった場合はどのように対応すればよいのでしょうか。呼び出しの対応方法について確認しておきましょう。
税務署から、文書で呼び出しがあった場合、文書には来署を促す日時、持参すべき持ち物などが記載されています。問題なく、税務署を訪問できる日程であれば、指定された日時に税務署に訪問するようにしましょう。また、指定された日時の都合が悪い場合は、税務署に電話を入れ、日時の都合が悪いことを説明し、来署日時の調整について相談をすることが大切です。
お尋ねが届いていたにも関わらず、適切な回答をせず、呼び出しを受けた場合には、呼び出しの理由が把握できているでしょう。呼び出しに応じる意思はあるものの、税務署を訪れた際にどのように対応してよいのかが分からない場合は、税理士に相談することをおすすめします。
税務署からの呼び出しは、電話で行われるケースもあります。電話に出ることができた場合には、税務署の担当者から、なぜ呼び出しを行うのかについて理由が説明されるケースがほとんどです。呼び出しの理由を確認したら、来署の日時を調整し、約束の時間に税務署を訪問するようにします。決して約束の時間をすっぽかすことがないよう、しっかりスケジュールを調整しておきましょう。
税務署から電話で呼び出しがあった場合に、必ずしも電話に出られる状況にいるわけではありません。留守番電話にメッセージが残っていた場合は、折り返しの連絡を入れ、内容を確認したうえで、日時を調整し、税務署を訪問するようにします。また、留守番電話機能がない場合、同じ番号で複数回の着信があった場合などは、着信があった電話番号をインターネットなどで検索してみましょう。電話番号が税務署のものであれば、税務署に電話をし、何度か連絡をもらっている旨を伝え、内容を確認します。確認の結果、呼び出しの電話であった場合には、日時を調整し、税務署を訪問するようにしましょう。
電話で呼び出しがあった場合も、対応に不安がある場合には税理士に相談することをおすすめします。
税務署からの呼び出しを無視し、放置していた場合、税務調査に発展する恐れが高まります。例えば、税務調査からお尋ねがあったり、来署を促す呼び出しがあった場合に対応していれば、確定申告書の内容に誤りがあっても、過少申告加算税は課されない可能性があります。お尋ねや呼び出しに対応しない場合、税務署では、納税に関する疑問を放置するわけにはいきません。そのため、呼び出しが無視されると、税務署の調査官が納税者のもとを訪問し、税務調査を行うことになるのです。税務調査で申告内容の誤りが発覚したり、確定申告をしていなかったことが発覚した場合には、過少申告加算税や無申告加算税が課される可能性が高くなります。過少申告加算税や無申告加算税が加算されれば、本来よりも多くの税金を支払わなければならないことになりますが、呼び出しに応じていればこれらの加算税は負担しなくても済んだかもしれないのです。呼び出しを放置すればするほど、追徴課税などのリスクは高まります。
税務署からの呼び出しには、決して放置することなく、必ず対応するようにしましょう。
最近では、詐欺まがいの電話や営業電話がかかってくることも多くあります。そのため、知らない番号から電話がかかってきた際には、電話に出ないという方も少なくないのではないでしょうか。実は、税務署を語る詐欺も横行しています。
税務署の名前で給付金を受け取れる旨の内容や税金の納付を求める内容が記載されたショートメッセージやメールが届く場合があります。税務署からの連絡となると、焦ってしまうケースもあるでしょう。しかし、税務署がショートメッセージやメールで納税者に呼び出しなどの連絡をするケースはありません。
税務署を語るショートメッセージやメールを受信した場合、記載されたURLにはアクセスしないようにしましょう。また、銀行口座を含めた個人情報などの入力が求められた場合も、決して入力を行ってはいけません。当然、記載された金額を不用意に振り込んだりしないようにしましょう。
お尋ねや呼び出しなど、税務署が電話で納税者に連絡をするケースはあります。しかし、電話で納税者の銀行口座情報などを聞き出すことはありません。もし、税務署の職員であると名乗り、電話口で確定申告の金額が不足している、税金の還付を受けられるなどと語り、銀行口座の情報などを聞き出そうとした場合、その電話は詐欺です。不審な電話であると感じた場合は、対応せずに、速やかに電話を切り、警察に相談するなどしましょう。
税務署からの電話であるかどうかの判別が難しい場合もあるでしょう。その場合は、担当者の名前と部署を聞いて、一度電話を切りましょう。その際、名乗っていた税務署に電話をかけてみましょう。折り返しの電話で担当者の存在が確認できた場合には、税務署からの電話だと判断できます。
また、かかってきた電話番号が分かる場合には、表示されている電話番号をインターネットで検索すると、税務署からの電話番号であるかをチェックすることが可能です。不安な場合は、すぐに電話に出ず、電話番号をチェックしてから折り返すことをおすすめします。
税務署から呼び出しの書状が届いたり、電話があったりすると、ドキッとする方も多いのではないでしょうか。税務署からの呼び出しは、納税の状況や提出した確定申告の内容について何らかの確認をしたい場合に行われるものです。呼び出しには必ず対応しなければならない義務があるわけではありません。しかし、呼び出しに適切に対応せず、無視を続けていた場合、税務調査につながる恐れが高くなります。
呼び出しを受けた際に、税務署の指示に従い、適切に対応していれば、申告内容にミスがあっても、過少申告加算税を課されずに済むケースも少なくありません。税務署から呼び出しがあった場合は、早めに対応するようにしましょう。対応に不安がある場合は税理士に相談しましょう。税の専門家である税理士のサポートを受けられれば、安心して対応できるようになるはずです。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計5,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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