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個人事業主の事業所得が290万円を超えてきた頃、「個人事業税の納税通知書」が届くことがあります。所得税や住民税は経費にできないと聞いていた方にとって、個人事業税が経費に計上できるのかどうかは判断に迷うところです。結論からいえば、個人事業税は租税公課として必要経費に算入することが可能です。
本記事では、経費にできる税・できない税の整理、計上タイミング、勘定科目と仕訳、業種別税率と290万円の事業主控除、ご自身の業種が課税対象かを解説します。
目次
個人事業税の経費取扱いを、結論・経費可否の整理・法人事業税との違いの3点で確認します。
個人事業税は必要経費として所得税の計算上、全額算入可能です。所得税法第45条では所得税本税や住民税を経費から除外していますが、個人事業税については例外として経費算入が認められています。
参考:No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁 関連記事:経費で落とすとどれくらい得になる?よくある誤解や注意点を解説
所得税や住民税が経費にならないことと混同されがちですが、個人事業税は別物として全額経費算入が可能です。
個人事業主が支払う税金には、必要経費にできるものとできないものがあります。事業に直接関連する税は経費可、個人の所得や資産に対する税は経費不可、というのが大まかな線引きです。
参考:所得税法|e-Gov法令検索
事業に直接関連する税は経費可・所得や個人資産に対する税は経費不可という線引きで、個人事業税は前者の代表例として位置づけられます。※国民健康保険料や国民年金は事業の経費にはできませんが、確定申告の際に「社会保険料控除」として個人の所得から全額差し引くことができます。
個人事業税と法人事業税は名前が似ていますが、課税対象・税率・計算方法が異なります。法人成りを検討している方は、両者の違いを把握しておくと比較検討しやすくなります。
参考:法人税法|e-Gov法令検索
個人事業税と法人事業税は課税対象も計算方法も別物であり、法人成りを機に個人事業税は対象外となるため、法人成り検討時の論点としても押さえておくとよいでしょう。
個人事業税の経費計上タイミングと仕訳の方法を2つの観点で確認します。
個人事業税の経費計上は、所得を生んだ年ではなく納付した年の経費とする処理が原則です。確定申告から納付までに数か月のタイムラグがあるため、年をまたいで処理することになります。
参考:No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁
2024年所得分の個人事業税は2025年に納付して2025年分の経費になる流れであり、所得を生んだ年と経費計上する年が1年ずれるのが、個人事業税の大きな特徴です。
個人事業税の仕訳では、勘定科目に租税公課を使います。事業用口座から納付したか、プライベート口座から納付したかで貸方科目が変わります。
参考:個人事業税|東京都主税局 関連記事:個人事業主は車にかかる費用を経費にできる?仕訳や減価償却を解説
個人事業税は租税公課で計上し支払元口座に応じて貸方を切り替えるのが基本仕訳であり、プライベート口座支払時の事業主借への振替は忘れがちなポイントですので注意してください。
個人事業税の金額そのものを把握するため、計算式・290万円控除・業種別税率を3つの観点で確認していきましょう。
個人事業税の計算式は、事業所得から各種控除を引いた金額に業種別税率を掛けるシンプルな構造です。所得税で適用される青色申告特別控除は個人事業税では適用されない点が特有です。
参考:個人事業税|東京都主税局
個人事業税は青色申告特別控除を加算した所得から290万円を引いて税率を掛ける構造であり、所得税の課税所得とは別の数字をベースに計算される点がポイントです。
個人事業税には事業主控除として年290万円の控除があり、事業所得が290万円以下なら個人事業税はかかりません。※年の中途で事業を始めた場合は月割り計算となります。
参考:地方税法|e-Gov法令検索 関連記事:178万円の壁とは?引き上げ時期や注意点を徹底解説
事業主控除290万円が個人事業税の実質的な非課税枠であり、開業初年度や副業レベルの所得規模ではこの控除内に収まるケースが多くなります。
個人事業税の業種別税率は、第1種事業(37業種・5%)、第2種事業(3業種・4%)、第3種事業(30業種・5%または3%)の3つの区分です。多くの個人事業主は第1種または第3種に該当します。
税率は第1種・第2種・第3種で3〜5%の範囲であり、自分の業種がどの区分に該当するかは事前に各都道府県税務署のサイトなどで確認しておくと安心です。
業種が課税対象かどうかの判定方法と、非課税となる業種を3つの観点で確認します。
法定業種70業種に自分の業種が当てはまるかは、業務実態と申告内容から都税事務所が判定します。
業種判定に迷う場合は早めの問い合わせが安心であり、業務実態に応じて区分が変わるケースもあるため自己判定だけで結論づけない姿勢が望まれます。
不動産貸付業は第1種事業に含まれますが、規模要件を満たす場合のみ課税対象となります。サラリーマン大家のように戸建て2〜3棟程度の規模では個人事業税の対象外とされるケースが一般的です。
参考:地方税法|e-Gov法令検索
不動産貸付業は戸建10棟以上・共同住宅10室以上の規模要件ありであり、これに満たない規模なら個人事業税の課税対象外として整理されます。
法定業種70業種に含まれない業種は、そもそも個人事業税が課税されません。つまり、以下のような業種に該当する方は通知書自体が届かないということになります。
個人事業税は、所得税本税や住民税と異なり、租税公課として全額を必要経費に算入できる税です。実務で押さえておきたいのは、納付した年の経費とする「翌年処理」のタイムラグ、勘定科目に租税公課を使う仕訳、青色申告特別控除を加算した所得から290万円を引く独自の計算ベース、そして法定業種70業種への該当判定です。業種が法定業種に当てはまらない方や、所得が事業主控除内に収まる方には課税自体が及ばず、経費計上の論点も発生しません。通知書が届いた段階で計上タイミングと仕訳の方針を確認しておくことが、決算期に慌てないための実務的なポイントといえます。
税理士法人松本では、確定申告の実務支援から税務調査対応まで、個人事業主・法人のお客さまをきめ細かくサポートしています。申告の進め方だけでなく、将来のリスクを減らす帳簿づくりや、税務署とのやり取りの考え方までご案内可能です。「申告が不安」「過去の処理が正しかったか心配」という段階でもお声掛けください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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