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個人事業主でも法人でも、ガソリン代は業務のために使用した場合に限って、経費に計上することが可能です。例えば、運送業を営んでいる場合、毎月、ガソリン代として多額の出費が発生するでしょう。また、営業車での移動が多い場合や商品の仕入れや配送、顧客の送迎などに車を使用し、ガソリン代が発生する場合もあります。いずれも事業のために必要なガソリン代であることから、経費として扱って問題ありません。
では、ガソリン代を経費に計上する場合、どの勘定科目を使用すればよいのでしょうか。
今回はガソリン代に使用することが多い勘定科目や仕訳の例、経費計上時の注意点などについて解説します。
目次
ガソリン代の勘定科目を説明するために、勘定科目の概要や役割からご紹介します。
勘定科目とは、簿記のルールにしたがって日々の取引内容を帳簿に記録する際に使用する見出しのような役割をもつ分類です。勘定科目は、資産に関するものや負債に関するもの、収益に関するもの、費用に関するものなどがあり、このうちガソリン代は費用に関連する勘定科目を使用します。
勘定科目には、お金に見出しを付けることで、何に対して、どのくらいお金を使ったかを分かりやすくする役割があります。ガソリン代についても、ガソリン代にふさわしい勘定科目を使用すると、ガソリン代など関連費用の支出程度を把握しやすくなります。
また、勘定科目は貸借対照表や損益計算書などの決算書を作成する際にも必要です。勘定科目によって分類された費用や利益の額を確認することで、経営状況を把握しやすくなるとともに、経営状況を分析し、将来に向けた経営計画の策定に役立てることもできます。そのほか、適切な勘定科目で記帳を行うことで、正確な決算書や確定申告書を作成できるようになります。
ガソリン代に使用する勘定科目についてご紹介しますが、実は、法律によって勘定科目として使用すべき名称が決められているわけではありません。また、ガソリン代には必ずこの勘定科目を使うといったルールもないため、勘定科目は、事業の実態に合わせて事業主が自由に設定することが可能です。したがって、これからご紹介する勘定科目以外にも、誰でもそのお金の内容を理解できる名称であれば、どのような名称を設定しても問題はありません。
ただし、一度利用すると決めた勘定科目については、今後も継続して使用しなければなりません。また、勘定科目は第三者が見ても内容をすぐに理解できるような名称に設定することも大切です。
例えば、今期はガソリン代の勘定科目を「燃料費」としたにも関わらず、翌期にガソリン代に「車両費」の勘定科目を充てることはできません。また、ガソリン代に「通信費」といった、全く関連性のない勘定科目を使用することも避ける必要があります。
ガソリン代を記帳する際は、どのような勘定科目を使用しても問題はありません。一般的にガソリン代に使用されることが多い代表的な勘定科目は以下のとおりです。
順番にご説明します。
業務で使用する車両の維持や管理にかかる費用を計上する際に用いられることが多い勘定科目です。車両費としては、ガソリン代のほか、車検費用、自賠責保険料、任意保険料、自動車税、メンテナンス費用などを含むケースが多くなっています。
ガソリン代も車両維持にかかる費用となるため、その他の費用と合わせて車両に関わるコストを一括で把握したい場合などに適しています。ただし、車両費を使用した場合、保険料や修繕費など、個別の費用については把握しにくくなるといったデメリットもあります。
そのため、車両費は保有する車両台数が少ない場合などに適した勘定科目であるといえます。
燃料費はその名のとおり、燃料の購入代に利用することの多い勘定科目です。ガソリン代のほか、暖房のための灯油、軽油などの購入代も燃料費として仕訳できます。
燃料費の勘定科目を利用する場合、燃料にかかった費用の額だけを把握することが可能です。そのため、複数台の車両を保有しており、ガソリンの使用量が多い場合などは燃料費の勘定科目を使うとよいでしょう。
旅費交通費とは、営業活動のためにかかった移動の費用、出張にかかった費用などを処理する際に利用する勘定科目です。電車代やバス代のほか、タクシー代、新幹線料金、飛行機の料金、宿泊費、高速道路代、移動時に使用した駐車場代なども旅費交通費に含まれます。
業務のために必要となった移動や出張にかかる費用を処理する際に利用する勘定科目であるため、ガソリン代も営業活動や出張などで発生するケースが多い場合などは、旅費交通費で処理してもよいでしょう。旅費交通費を使用する場合、電車やバスなども含め、交通費全体の費用を把握できる点がメリットです。
消耗品費は、使用期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の品物の購入代金に用いられる勘定科目です。例えばコピー用品やボールペン、ノート、ファイル、トイレットペーパーといった文房具や雑貨、日用品などの処理に消耗品費を用います。
車両の使用頻度が少なく、ガソリン代もそれほど発生しない場合などは、消耗品費の勘定科目を用いることが可能です。ただし、その他の消耗品と合算することとなるため、日常的に車両を使用し、ガソリン代も頻繁に発生する場合などは、消耗品費の勘定科目の利用は避けた方が賢明です。
売上原価は、売上に直接関係した費用を処理する際に用いる勘定科目です。したがって、サービス提供によって売上を生み出す、運送業や配送業などでは、売上原価を利用して処理することもできます。しかし、営業活動のためにかかったガソリン代などは、必ずしも直接売上に結びついているとは判断できないため、売上原価の勘定科目は適していません。
ガソリン代の仕訳方法は、支払方法によって変わってきます。ここでは、車両費としてガソリン代を処理する場合の仕訳例をご紹介します。
現金でガソリン代を支払った場合は、借方に利用する勘定科目と支払った金額を記入し、貸方に現金と記入し、支払金額を記入します。
クレジットカードで支払った場合は、ガソリン代をカードで支払ったタイミングとガソリン代が銀行口座から引き落とされたタイミングの2回に分けて記帳する必要があります。
・ガソリンを入れてクレジットカードで支払ったとき
・銀行口座からガソリン代が引き落とされたとき
仮払金7,000円でガソリン代5,000円を支払った場合は、次のように記帳します。
ガソリン代の仕訳をする際には、自社の状況に合わせた勘定科目を用いて処理をすれば問題ありません。しかし、ガソリン代を仕訳する際には、以下の注意点に気を付ける必要があります。
それぞれについて詳しくご説明します。
冒頭でもご説明しましたが、一度使用した勘定科目は継続して使用しなければなりません。企業会計では、一度採用した会計処理の原則や手続きを毎期継続して適用し、みだりに変更してはならないというルールがあります。したがって、「車両費」として扱っていたガソリン代をどこかのタイミングで「燃料代」に変えることは、原則としてできません。
勘定科目を変更した場合、財務諸表において経費などの正しい比較を行えなくなり、経営状況を正しく評価できなくなります。また、税務調査時には勘定科目を変更することで意図的に利益操作をしようとしたのではと疑われる恐れもあるため、一度使用した勘定科目は継続して使用することが大切です。
ガソリン代も経費として計上するのであれば、支払いや支払金額を証明する領収書の保管が必要になります。セルフのガソリンスタンドなどで給油した場合は、領収書ではなくレシートが発行されますが、レシートも領収書と同様に扱うことが可能です。
領収書やレシートの保管期間は、法人が7年間、青色申告の個人事業主も7年間、白色申告の個人事業主は5年間となります。税務調査時には領収書やレシートもチェックの対象となるため、適切に保管しておくようにしましょう。
決算時にタンク内にガソリンが残っている場合、在庫とみなされるため貯蔵品の勘定科目を使って、貯蔵分のガソリン代を計上しなければならない場合があります。
しかし、タンク内のガソリンの量を正確に把握できないケースも少なくありません。そのため、年間のガソリン代がそれほど多くはない場合などは、残っているガソリンの金額も多額にはならないため、貯蔵品として計上しなくても問題はないとされています。反対に、年間のガソリン代が多額に上る場合は、未使用分のガソリンを貯蔵品として処理した方がよいケースもあります。不安な場合は税理士への相談をおすすめします。
個人事業主の場合、事業専用車を用意しておらず、事業とプライベートで同じ車を使用するケースもあるでしょう。この場合、経費として計上できるガソリン代は、業務に使用した分のみとなります。
個人事業主が事業とプライベートの両方で使用しているものの事業使用分のみを経費に計上する方法を家事按分といいます。ガソリン代の場合は、車の使用日数で按分する方法と走行距離で按分する方法の2つが考えられます。
例えば、月曜~金曜まで仕事で車を使用し、土日はプライベートで使用している1か月(30日)の場合、業務使用日数を22日とすると、按分比率は22日÷30日×100=73.3%と計算できます。つまり、この場合はガソリン代の約73%を経費に計上できるというわけです。
また、事業で車を使用した日、訪問先、利用目的、走行開始時のメーター、走行終了時のメーターを記録し、事業で走行した距離を算出し、年間走行距離のうち事業で使用した割合分のみを経費に計上する方法もあります。例えば、年間走行距離1万kmのうち、事業で使用した分が5,000kmであった場合は、ガソリン代の50%を経費に計上できます。
税務調査時には家事按分比率について明確な説明が求められるケースが少なくありません。按分比率が合理的な計算で求められたものであることを説明できるよう、走行記録をしっかりと残しておくとよいでしょう。
車によってはガソリンではなく、軽油を燃料に使用するケースもあります。ガソリン車とディーゼル車を保有している場合は、ガソリン代と軽油代では税務上の扱いが異なる点に注意しなければなりません。
軽油も事業の状況に合わせ、適した勘定科目を用いて仕訳することができます。しかし、ガソリン代はガソリン税も含めた代金が消費税の課税対象となりますが、軽油の場合、軽油引取税については、消費税は不課税扱いとなります。したがって、軽油の仕訳の際には、軽油引取税とその他の金額を区分し、軽油引取税については消費税の区分上、不課税仕入れとして取り扱わなければならない点に注意が必要です。また、軽油引取税については税金の負担分に用いる「租税公課」の勘定科目を使用しても問題ありません。
ガソリン代の勘定科目には「車両費」「燃料費」「旅費交通費」「消耗品費」「売上原価」などが使用されるケースが多くなっています。ガソリン代には必ずこの勘定科目を使用しなければならないという法律上のルールはなく、事業の状況に適した勘定科目を使用することが可能です。ただし、一度使用した勘定科目は継続して使用しなければなりません。そのため、事業内容を考慮しながら、適切な勘定科目を選ぶことが重要です。
また、ガソリン代に関する領収書やレシートはしっかりと保管し、個人事業主でプライベートと事業で車を兼用している場合は、事業で使用した分のみを経費に計上しなければならない点に注意が必要です。また、ディーゼル車も保有している場合は、ガソリン代との仕訳方法の違いにも注意しましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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