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所得税を納め過ぎたときの更正の請求とは。期限や書類の書き方を解説

読了目安時間:約 6分

個人事業主やフリーランスとして所得を得ている人は、確定申告をし、所得税を納めなければなりません。確定申告は済ませたけれど、うっかり計算を間違えて本来よりも多く所得税を納付してしまうケースもあるでしょう。そのような場合に、納め過ぎた税金の還付を求める手続きを「更正の請求」といいます。

毎年必要となる確定申告とは異なり、更正の請求を行うケースは限られます。そのため、更正の請求の手続き方法が分からないという方もいるのではないでしょうか。

また、個人事業主だけでなく、会社員として働く人にも更正の請求が必要になるケースがあります。

そこで今回は、所得税の更正の請求の手続き方法や手続きの期限、書類の書き方などについて解説します。

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所得税の更正の請求とは

更正の請求とは、所得税の確定申告書を提出し、確定申告期限が過ぎた後に本来の税額よりも多い金額を納めていた場合などに、納め過ぎた税金の還付を求める手続きのことです。また、すでに納税した所得税の還付を求める還付申告を行った際に、申告した還付金の額が少なかった場合なども更正の請求によって不足分の還付金を請求することができます。

所得税の更正の請求が必要になるケースとは

所得税の更正の請求が必要となるケースとしては、次のような事由によるものが考えられます。

・売上を二重に計上してしまったため、所得税を多く納税した

・一部の経費の計上が漏れており、所得税の額が増えていた

・扶養控除の記入を間違えてしまった

・医療費控除をしたけれど、計上していない医療費があった

・住宅ローン控除の記入額を間違えた

・ふるさと納税の控除で記入漏れがあった

・生命保険料控除を適用するのを忘れた

個人事業主の場合は、事業に係る売上の過剰計上や経費の計上漏れなどが、所得税額に影響します。また、19歳以上23歳未満の親族を扶養している場合は、通常の扶養控除よりも大きい控除額が適用される特定扶養控除と呼ばれる制度があります。特定扶養控除として適用できる親族を一般の扶養家族として申告すると、控除額が低くなるため、所得税の納付額が多くなってしまうのです。したがって、扶養控除の適用を誤ってしまった場合も更正の請求を行うと、所得税の還付を受けられる可能性があります。そのほか、生命保険料控除や地震保険料控除などの適用を忘れた場合なども、控除額が低くなるため、更正の請求を行うと所得税の還付を受けることが可能です。

また、個人事業主だけでなく、会社員として働く人も、医療費控除や住宅ローン控除の適用を受けるためには、確定申告をしなければなりません。ただし、会社員が住宅ローン控除の適用を受ける際には、初年度だけ確定申告をすれば、それ以降は年末調整で対応が可能です。医療費控除や住宅ローン控除の申告をすると、所得税が還付されますが、記入する金額が誤っていると還付額が少なくなるケースがあります。この場合も、更正の請求を行うと、納め過ぎていた所得税の還付を受けられます。

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更正の請求と修正申告、訂正申告の違い

更正の請求は一度提出した確定申告書の内容を修正し、納め過ぎていた所得税の還付を求める手続きです。しかし、提出した確定申告の内容を変更する手続きには、更正の請求のほか、修正申告や訂正申告と呼ばれるものがあります。

ここでは、更正の請求と類似した言葉である修正申告と訂正申告との違いを解説します。

修正申告とは

修正申告も、確定申告期限を過ぎてから、すでに提出した確定申告書を修正する手続きです。申告期限後に確定申告の内容を修正するという点は更正の請求と同じですが、修正申告は、納税額が不足した場合に行う手続きである点に違いがあります。

修正申告を行うシーンとしては、確定申告書を提出した後に、申告期限を過ぎてから納税者が申告内容のミスに気付き、所得税の申告額が不足していたことに気付くパターンと税務調査で指摘を受けて修正申告を行うパターンが考えられます。

いずれも、納税額が不足している状態となるため、修正申告を行う際には過少申告加算税と呼ばれるペナルティが課される可能性が高くなります。ただし、修正申告を行うタイミングが税務調査を受ける前であるか、後であるかによって過少申告加算税の税率は変わってきます。

訂正申告とは

訂正申告も、提出した確定申告書の内容を修正する手続きです。しかし、更正の請求と修正申告が確定申告期限を過ぎてから行う手続きであるのに対し、訂正申告は、確定申告の期限内に修正をする手続きである点に違いがあります。

例えば、医療費控除の適用を忘れていた場合や経費の計上が漏れていた場合などでも、確定申告期限内であれば、正しい申告書を提出し直すと、正しい申告書の内容が受理されます。

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所得税の更正の請求期限とは?

所得税の確定申告をしてから、すぐに経費の計上漏れや売上の二重計上などに気付くわけではありません。時間が経ってから、提出した確定申告書の内容が間違っていたことに気付くケースもあるでしょう。

更正の請求が認められるのは、原則として法定申告期限から5年間です。また、確定申告のように申告期間が決められているわけではありません。したがって、法定申告期限から5年以内であれば、いつでも更正の請求を行えます。

ただし、会社員の方など、確定申告の必要のない人が還付を受けるための申告をしている場合は、申告書を提出した日から5年以内となります。還付申告については、確定申告のように申告期間が定められていないため、還付申告の更正の請求の場合、期限は法定申告期限とは異なる点に注意が必要です。

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所得税の更正の請求の手続き方法

所得税の更正の請求の手続きは、e-Taxを利用してオンライン上で申請する方法と書面を税務署に提出する方法があります。

e-Taxで更正の請求をする場合の手続き方法

パソコンなどから更正の請求を行う場合は、国税庁のホームページにある確定申告書作成コーナーから更正の請求書を作成します。

トップページにある「提出した申告書に誤りがあった場合」の章にある「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」を選択します。設問に回答していくと、作成する更正の請求書の年分を選択するページに遷移するため、対象の年分を選択し、「所得税の更正の請求書・修正申告書」を選択して作成を開始します。すでに提出した確定申告書のデータがある場合は、データを読み込んで必要箇所を修正したり、追加したりして、申請することも可能です。

なお、e-Taxで更正の請求を行うためには、マイナンバーが必要です。

書面で更正の請求をする場合の手続き方法

更正の請求は、書面で更正の請求書を作成し、税務署に提出することも可能です。更正の請求書は、対象年分の更正の請求書を使用しなければなりません。更正の請求書は税務署の窓口で入手できるほか、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。

書面で作成した更正の請求書の提出方法には、税務署の開庁時間(月~金の8時30分から17時まで)に窓口に提出する方法のほか、時間外収集箱へ投函する方法、郵送する方法があります。

参照元:国税庁「A1-2、H1-1 所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続

所得税の更正の請求時に必要となる書類

更正の請求をする際には、以下の書類の提出が必要です。

・所得税及び復興特別所得税の更正の請求書

・請求の理由の基礎となる事実を証明する書類

・本人確認書類(書面で提出する場合)

更正の請求は、納め過ぎた所得税の還付を求める手続きであり、本当に所得税の納付が過大であったのかを証明する書類の添付が必要になります。具体的に提出が必要になるのは、経費計上漏れの対象となった領収書や帳簿の写し、医療費の領収書、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書などです。書類が不足しており、事実を証明できない場合には、追加資料の提出を求められたり、更正の請求が認められない可能性があるため注意しましょう。

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更正の請求書の書き方

ここからは、更正の請求書の具体的な記入方法についてご説明します。更正の請求書は、令和4年分から書式が変わっています。以前は、更正の請求前の金額と更正の請求後の金額を記載する欄がありましたが、令和4年分からは更正の請求後の金額のみを記載すればよい書式となっています。ここでは、令和4年分以降の更正の請求書の書き方について説明します。

  • 納税者の情報

まず、右上に更正の請求をする納税者の住所と氏名、職業、電話番号、マイナンバーを記載します。

  • 請求の目的となった申告または処分の種類

対象の年度分と請求する申告または処分の種類を記載する欄です。確定申告の更正の請求であれば「令和〇年分確定申告」と記載します。

  • 申告書を提出した日等の記載欄

確定申告書を提出した日や処分を受けた日などを記載します。

  • 更正の請求をする理由、請求をするに至った事情の詳細等

請求の理由や内容を具体的に記載します。例えば、経費の計上漏れの場合は「交通費の計上が漏れ、事業所得を過大に申告したため」と記載します。曖昧な記載の場合は、請求が認められない可能性もあるため、具体的に記載することが大切です。

  • 添付した書類

更正の請求書に添付した書類の名称を具体的に記載する欄です。例えば「医療費の領収書」、「ふるさと納税の寄附金受領証明書」などと記載します。

  • 総合課税の所得金額

左側に所得区分を記載します。会社員の場合であれば給与所得、個人事業主の場合は事業所得などと記載しましょう。また、右側に更正の請求後の所得額を記載します。※欄には、退職所得や山林所得など、総合課税と別の税額がある場合に所得区分と金額を記載します。

  • 所得から差し引かれる金額

該当する控除の欄に更正の請求後の所得控除額を記載し、下に合計額を記載します。

  • 課税される所得金額

更正の請求後の課税所得額を記載します。

  • 税額

更正の請求後の税額と合計額を記載します。

  • 配当控除~申告納税額までの欄

更正の請求後の税額控除がある場合に金額を記載します。

  • 第3期分の税額の欄

更正の請求後の納税額、還付金額を計算して記載します。

  • 還付される税金の受取場所

還付金の口座振込を依頼する銀行名と口座番号を記載します。また、公金受取口座への登録を希望する場合は、登録に同意する欄にチェックを入れます。

すでに登録済みの口座への振り込みを依頼する場合は、「登録済みの口座を利用する」にチェックを入れれば口座名義等を記載する必要はありません。また、振込先の銀行口座は原則として本人名義の口座情報を記載する必要があります。

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所得税の更正の請求をする際の注意点

所得税の更正の請求をする際にはいくつか注意しなければならないポイントがあります。

必ず還付を受けられるわけではない

まず、更正の請求をしても必ず請求内容が認められ、所得税の還付を受けられるわけではありません。更正の請求書を受け取ると、税務署では請求内容が正しいものであるかを審査します。審査の結果、添付書類によって十分に事実の証明ができない場合などは、税金が還付されないケースもあるのです。

認められない場合は再調査の請求を行うことも可能

更正の請求が認められない場合には、更正すべき理由がない旨の通知書が届きます。内容に不服がある場合には、通知書を受け取った日の翌日から3ヶ月以内であれば、税務署長に対し、再調査の請求を行うことも可能です。また、税務署長の処分に納得できない場合は、国税不服審判所長に審査請求を行うこともできますが、主張が認められるケースは非常に少なくなっています。不服申し立てをする際には、事実を証明する十分な証拠を用意しておくことが大切です。

税金はすぐ還付されるわけではない

更正の請求を行っても、すぐに税金が還付されるわけではありません。確定申告による還付申告の場合は、確定申告後、3週間~2ヶ月程度で振り込まれます。しかし、更正の請求では税務署で審査を行うため、振り込まれる時期は遅くなる点を理解しておきましょう。

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まとめ

所得税を納め過ぎたときや還付金の申告が少な過ぎた場合には、更正の請求をすると納め過ぎていた所得税の還付を受けることができます。経費の計上漏れや各種控除の適用忘れなどが発覚した場合は、過去5年分であれば更正の請求を行えます。確定申告のように申告期限が定められているわけではないため、気が付いた時点で早めに請求を行うことが大切です。

また、更正の請求を行う際には、請求書に請求の理由を明確に記載したうえで、事実を証明する書類を添付することを忘れないようにしましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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