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暗号資産は確定申告をしないとバレる?税務調査の流れやリスクを解説

読了目安時間:約 6分

ビットコインやイーサリアムなど、銀行などの金融機関を介さずに、インターネット上で直接やり取りができる暗号資産の取引市場は年々拡大しています。取引時間に制限のある株式市場やFX市場に比べ、24時間、365日、いつでも自由に取引ができる暗号資産は、少額から始めることができる点などから、急速に普及している状況です。

暗号資産でも一定以上の利益を得ている場合は確定申告をしなければなりません。しかし、暗号資産の利益について確定申告をしていないケースが多発しています。そのため、税務署では税務調査に力を入れており、近年、暗号資産取引による多額の申告漏れが発覚しています。

今回は、暗号資産と確定申告の関係や税務調査のリスクなどについて解説します。

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暗号資産とは?

暗号資産とは、インターネット上でやり取りできる電子データ形式の財産的価値です。令和2年5月1日に施行された改正資金決済法によって、かつて「仮想通貨」と呼ばれていたものは、現在「暗号資産」に変更されています。

暗号資産の特徴

暗号資産には次のような特徴があります。

・銀行などの第三者の仲介が不要

通常、日本円やアメリカドルなど、通貨は政府や国によって発行され、個人間で送金をする際には必ず銀行などの金融機関が仲介しなければなりません。しかし、暗号資産は銀行のような管理者は置かれておらず、インターネットを通じて誰とでも送金などのやり取りができます。

・ブロックチェーン技術の活用

ブロックチェーンとは、ネットワーク上の取引履歴をブロックと呼ばれる単位で管理し、ブロック同士をチェーンのように連結し、データを分散的に記録・処理する技術です。ネットワーク上の参加者同士が相互に取引履歴を監視する仕組みによって改ざんや不正を防ぐ仕組みがブロックチェーンの特徴であり、この技術によって暗号資産は管理者を置かず、参加者同士の直接取引が可能になっています。

暗号資産の取引状況

一般社団法人日本暗号資産等取引業協会が公表しているデータによると、令和8年4月時点での暗号資産の現物取引高は8,438億6,800万円、証拠金取引高の額は7,512億7,400万円にも達しました。利用者口座数は、全体で1,418万口座にも上り、活発な取引が行われている状況です。現物と証拠金を合わせると取引規模は、月間約1.5兆円にも達し、暗号資産市場は拡大を続けています。

参照元:一般社団法人日本暗号資産等取引業協会「統計調査

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暗号資産で利益が出たら確定申告が必要

暗号資産の取引では、確定申告が必要になるケースがあります。確定申告が必要であるにもかかわらず、確定申告をしない場合、無申告状態となり、税務調査が実施されるリスクが高くなるため注意が必要です。

暗号資産取引で確定申告が必要になるのは、次のようなケースです。

暗号資産を売却して利益が出た場合

暗号資産を売却して、一定以上の利益が出た場合は確定申告をしなければなりません。ただし、確定申告が必要になる売却益の額は、働き方によって変わってきます。

まず、会社員などの給与所得者の場合は、暗号資産による売却益が年間20万円を超えたときに確定申告が必要です。

また、個人事業主の場合や無職の人の場合は、令和8年分、令和9年分については年間104万円を超えたら確定申告をしなければなりません。ただし、暗号資産による売却益だけでなく、事業所得など、その他の所得を含めた額が104万円を超えた場合である点に注意が必要です。

暗号資産を使って商品代金を支払った

暗号資産を利用し、商品を購入した場合も確定申告をしなければなりません。これは、商品代金の支払いのために暗号資産を売却したとみなされるためです。暗号資産を利用した場合は、商品代金として支払った額から暗号資産の取得価額を差し引いた額が一定額を超えている場合に確定申告が必要です。会社員の場合は20万円、個人事業主や無職の人の場合はその他の所得と合わせて104万円を超えた場合に確定申告をしなければなりません。

保有する暗号資産を別の暗号資産に交換した

保有している暗号資産を別の暗号資産に交換した場合も、確定申告が必要になります。これは、新たな暗号資産を購入するために保有している暗号資産を売却したとみなされるためです。

給与所得者は、交換時の暗号資産の時価額から暗号資産の取得時の価額を差し引いた額が20万円を超えた場合に確定申告をしなければなりません。また、無職や個人事業主の場合は、この額とその他の所得を合わせた額が104万円を超えた場合に確定申告が必要です。

マイニング報酬を得た

暗号資産では、取引履歴をブロックチェーンに記録しますが、記録をするためにはコンピューターを使って取引データの検証や承認などを行う計算処理が必要です。最も早く取引データの承認をした人には、マイニング報酬が支払われます。

マイニング報酬を得た場合も会社員の場合は20万円、個人事業主や無職の人の場合はその他の所得と合わせて年間104万円を超えた場合に確定申告をしなければなりません。

レンディングで報酬を得た

暗号資産では、保有している資産を取引所やレンディングサービス業者に貸し出す際に対価として賃借報酬を受け取ることができます。この仕組みをレンディングといいます。預けるだけで報酬が発生するため、手間をかけずに収益を得たい方などが利用する仕組みですが、レンディング報酬も会社員では20万円、個人事業主や無職の人の場合はその他の所得と合わせて104万円を超えると確定申告をしなければなりません。

ステーキング報酬を得た

暗号資産の中には、暗号資産をネットワークに預け入れ、ブロックチェーンの運用に貢献することでステーキング報酬と呼ばれる対価を受け取れる仕組みをもつものがあります。マイニングと同様、暗号資産の取引を承認してネットワークの安全性を維持するために必要な仕組みですが、ステーキングの場合、資産の保有量が多いほどネットワークに貢献しているとされ、承認者として選ばれやすくなります。

国内取引所を利用した場合は、口座に対象の暗号資産を保有し続けるだけで報酬を受け取れますが、ステーキング報酬もレンディング報酬などと同様に、報酬の額が一定額を超えた場合は確定申告が必要です。

 

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暗号資産に対する税務調査の状況

税務調査とは、正しく税金を納めているかどうかをチェックする税務署による調査です。令和7年12月に公表された「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、国税庁がインターネット取引を行っている個人に対する税務調査状況の項目で、暗号資産取引をしている個人に対して実施した税務調査の状況を公表しています。

暗号資産の取引をしている個人に実施された税務調査件数は613件

それによると、令和6事務年度に暗号資産取引をしている個人に対して実施された税務調査の件数は613件です。件数自体はそれほど多くはないように感じるかもしれませんが、注目すべきは非違件数の割合と追徴課税の額です。

申告漏れの額は総額156億円

税務調査の実施結果、申告漏れなどの非違件数は、575件と93.8%にも上っています。つまり、暗号資産の取引をしている人に税務調査を実施した結果、約100人に94人の割合で、申告漏れや申告のミスなどが発覚したのです。

また、申告漏れ所得金額は156億円、追徴税額は総額46億円、1件あたりの申告漏れ所得金額は2,538万円、追徴税額は745万円に上っています。この追徴税額745万円は、所得税の税務調査全体の追徴税額299万円の約2.5倍に該当する金額です。

参照元:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

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暗号資産の確定申告をしないとどうなる?

暗号資産取引で一定以上の利益を得た場合は、確定申告をしなければなりません。では、確定申告が必要であるにもかかわらず、確定申告をしなかった場合はどのようなリスクが生じるのでしょうか。

税務調査の可能性が高まる

暗号資産の税務調査の状況をご紹介しましたが、税務調査の対象に選ばれた人のうち93.8%もが申告漏れや申告ミスを指摘されています。納税の義務がある人は誰でも税務調査の対象になり得ますが、この非違件数の高さを見ると税務署では正しく確定申告をしていない人の情報を把握している可能性があります。つまり、暗号資産の利益について確定申告をしないとバレて税務調査に発展する可能性が高いのです。

無申告加算税などの追徴課税がなされる

税務調査で申告漏れが発覚すると、不足分の税金に加え無申告加算税や延滞税などの納付も求められます。税務調査で無申告がバレたときに課される無申告加算税の税率は、税額によって次のように3段階に分けられています。

・50万円以下の部分 15%

・50万円超300万円以下の部分 20%

・300万円超の部分 30%

また、確定申告はしていたものの納税額が少なかった場合には過少申告加算税が課されます。税務調査で申告漏れが発覚した場合の過少申告加算税の税率は、次のように定められています。

・当初の申告税額と50万円のいずれかより多い金額以下の部分 10%

・当初の申告税額と50万円のいずれかより多い金額を超える部分 15%

そのほか、納税が遅れたことに対するペナルティとして延滞税の納付も必要です。

重加算税が課される場合もある

暗号資産の取引によって多額の利益を得ていたにもかかわらず、偽装・隠蔽行為によって正しく確定申告をしていなかった場合は無申告加算税や過少申告加算税に加えて、より税率の重い重加算税が課されます。

例えば海外の暗号資産取引所で得た利益を隠して申告をしないケースやプライバシーコインを悪用して利益を隠すなどの行為が見られた場合は、脱税行為とみなされ、重加算税が課される恐れが高くなります。

重加算税の税率は、過少申告加算税に代えて課される場合は35%、無申告加算税に代えて課される場合は40%です。

<関連記事>ビットコインなど仮想通貨取引の脱税取り締まり強化の噂は本当?無申告のリスクとは

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暗号資産取引の確定申告をしないとバレる理由は?

暗号資産取引で利益を得ても確定申告をしていない場合、税務調査で不正が発覚する可能性が高い状況です。高い確率で税務調査対象者の非違が発覚していることから税務署では正しく確定申告をしていない人の情報を把握していると考えられます。

暗号資産取引で確定申告をしていないことが税務署にバレる主な理由を3つご紹介します。

取引所から支払調書が提出されている

日本国内の暗号資産の交換業者は、顧客の取引情報を記載した支払調書を税務署に提出しています。支払調書は、利用者に支払った金額や支払いの内容、支払いを受けた人の名前、住所、マイナンバーなどが記載された書類です。支払調書をもとに、支払いを受けた人の確定申告の状況を確認すれば、正しく納税をしていないことは簡単にバレてしまいます。

CRSに基づく自動情報交換が行われている

海外の取引所を利用して得た利益なら、税務署にバレないだろうと思う人もいるようです。しかし、税務署では海外取引所の利用情報も把握しています。なぜならOECD(経済協力開発機構)は、CRS(共通報告基準)と呼ばれる外国の金融機関を利用した脱税や租税回避などを防ぐための国際ルールを策定しているためです。

CRSには、日本を含む100以上の国や地域が参加しており、参加各国の金融機関には、非居住者でありながら自国に口座を保有している外国人の口座情報を税務当局に報告することが義務付けられています。報告された情報は、口座を保有している人の居住国に自動的に共有される仕組みです。

したがって、海外の取引所を使って暗号資産の利益を得ている場合も税務署ではその情報を把握しており、確定申告をしなければ、税務調査の対象となる確率が高まります。

ブロックチェーンに取引情報は記録されている

暗号資産は、ブロックチェーンに取引情報がすべて記録される仕組みです。税務署では、暗号資産の取引追跡にブロックチェーン解析ツールなどを活用し、取引履歴を追跡しています。

暗号資産の送金や受け取りに使うウォレットアドレスは、ブロックチェーン上に公開されており、誰でも見られる状態です。アドレスの名前や住所などの個人情報は含まれていないものの、解析ツールを利用すれば簡単に本人確認済みの取引所の情報と紐づけることができます。したがって、暗号資産の特徴の一つであるブロックチェーンを解析する手法によっても、税務署は暗号資産取引の情報を把握しているといえます。

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まとめ

暗号資産取引によって一定額以上の利益を得た場合は、確定申告をしなければなりません。確定申告が必要であるにもかかわらず、期限までに正しく確定申告をしていなかった場合は税務調査の対象になる可能性があります。税務調査で無申告や過少申告が発覚した場合は、多額の追徴課税がなされる恐れもあります。

税務署では暗号資産の取引情報を相当程度正確に把握できる状況です。これまで正しく確定申告をしてこなかったという方は、税務調査が入る前に自主的に期限後申告や修正申告を行うとペナルティが軽減されます。期限後申告や修正申告のやり方が分からない場合にはお気軽に税理士法人松本にご相談ください。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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