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新幹線の払い戻しが税務調査で発覚した場合のリスクと領収書の重要性

読了目安時間:約 6分

税務調査は、正しく申告および納税が行われているかどうかをチェックする調査です。納税額を不正に操作する場合、売上を過少に申告するか、経費を過大に申告するか、いずれかの手法が用いられます。そのため、税務調査が実施される場合は、新幹線の領収書も含め、経費として計上されている金額が正しいものであるかを厳しくチェックされることとなります。

税務調査では、新幹線の払い戻しが問題となるケースが見られます。新幹線の払い戻しが税務調査で発覚した場合、どのようなリスクが発生するのでしょうか。出張などで新幹線を使う機会が多い事業主の場合、新幹線の払い戻しと税務調査の関係は事前に把握しておいた方がよいでしょう。

そこで今回は、税務調査で新幹線の不正な払い戻しが発覚した場合のリスクや領収書の必要性について解説します。

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新幹線料金の払い戻しはなぜ起こる?

新幹線の払い戻しがなぜ起こるのでしょうか。企業において新幹線の払い戻しが起きる理由についてご説明します。

新幹線料金の払い戻しとは

遠方に出張する場合、新幹線や航空機などを使って移動をするケースが多いでしょう。新幹線を使って移動する場合、新幹線の料金については経費として扱うことができます。例えば東京駅から大阪駅まで乗車した場合、2026年2月現在、大人の乗車料金は指定席で14,720円となります。往復に必要な新幹線料金は、約3万円です。交通費としては大きな額が発生することが分かるでしょう。

新幹線料金の払い戻しが発生する理由は、従業員が、新幹線料金との差額を不正に受給しようとするからです。一度、不正受給に成功すれば、会社にバレないことに安心し、同じ手法を繰り返し、私腹を肥やす従業員も出てくるでしょう。

新幹線料金の払い戻しで経費の不正受給が行われるケース

新幹線料金の払い戻しが問題になるのは次のようなケースです。

・会社から支給された新幹線のチケットを払い戻して、より料金の安い高速バスで移動した

・往復の新幹線のチケットを受け取ったにも関わらず、復路はチケットを払い戻して在来線で帰宅した

・会社から支給されたのぞみのチケットを払い戻して、料金の安いこだまに乗車した

・会社から支給された指定席のチケットを払い戻して、料金の安い自由席に乗車した

・自分で新幹線のチケットを購入し、領収書を使って経費精算をしたが、実際には払い戻しをして乗車しなかった

新幹線料金の払い戻しの不正が行われる背景には領収書が関係している?

新幹線のチケットを払い戻しする際には、手数料が発生します。しかし、払い戻しをする際に領収書の提示を求められることはありません。そのため、自身で新幹線のチケットを購入し、払い戻しをしても、領収書は手元に残ります。

この払い戻しのルールを悪用し、領収書を使って経費精算を行い、新幹線を使って出張に向かったように見せかける事例もあるのです。

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税務調査で新幹線チケットの払い戻しが発覚した場合のリスクとは

新幹線チケットの払い戻しによる不正受給は、従業員個人の問題になると思われるかもしれません。新幹線チケットの払い戻しを含めた、不正な出張費用の請求を行うことを「カラ出張」と言います。しかし、カラ出張が税務調査で指摘された場合は、従業員個人だけではなく、会社に対してもペナルティが科される恐れがあるのです。

新幹線チケットの払い戻しについて税務調査で指摘を受けた場合のリスクは次のとおりです。

修正申告が求められる

新幹線チケットの払い戻しをし、従業員が不正に経費を受給していた場合、本来、業務のためには使用されていない支出を経費として計上していたこととなります。従業員が新幹線を使用したと申告していても、払い戻しがなされていれば、出張時に実際には新幹線は使用されておらず、その費用は発生していない状況です。そのため、税務調査で新幹線の払い戻しについて指摘された場合、経費として計上した額を見直さなければなりません。

新幹線の払戻額を経費計上額から除外すると、その分、経費として計上できる額は低くなります。法人税は、売上などの収入から必要経費を差し引いた所得額に税率をかけて算出する税金です。経費が減れば、収入から差し引ける金額は少なくなるため、課税所得額は高くなります。課税所得額がアップすれば、当然、納めるべき税額も高くなるのです。

したがって、税務調査時に新幹線の払い戻しを指摘され、従業員の経費の不正受給が発覚した際には、正しい経費の額を計算し直す修正申告を行い、不足分の税金を納めなければなりません。

過少申告加算税が課される

税務調査時に新幹線の払い戻しについて指摘をされ、修正申告を行った場合、求められるのは不足分の税額についての納税だけではありません。納税が不足したことに対するペナルティとして過少申告加算税の納税も求められることとなります。

税務調査で指摘を受け、過少申告加算税が課された場合の税率は、原則として追加で納付する税額の10%です。ただし、追加で納付する税額が当初の申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については、15%の税率が課されます。

重加算税が課される

重加算税は、仮装・隠蔽がなされた場合などに課されるペナルティです。新幹線の払い戻しをするために偽造した領収書が作成されている場合などは、重加算税が課される可能性があります。

重加算税が課された場合、過少申告加算税よりもさらに重い税率が適用されます。過少申告加算税に代えて重加算税が課される場合、税率は35%にも上ります。

不納付加算税が課される

不納付加算税とは、源泉所得税を期限までに納付しなかった場合に課されるペナルティです。新幹線の払い戻しが発覚した場合、従業員に経費として支給した費用は、給与に該当するとみなされる場合があります。新幹線の料金が給与として扱われる場合、給与からは源泉所得税を徴収しなければなりません。したがって、税務調査で新幹線の払い戻しが指摘されると源泉所得税の納税額が不足する可能性があるため、源泉所得税の追加納付が求められるとともに、不納付加算税の納税も求められる可能性があります。

税務調査で指摘を受けた際に課される不納付加算税の税率は未納税額分の10%です。

延滞税が課される

延滞税は、税金の納付が遅れたことに対して課されるペナルティです。税務調査で過少申告加算税や重加算税が課される状態は、税金の納付が不足している、つまり税金の納付が遅れている状態でもあります。そのため、過少申告加算税や延滞税に加え、延滞税の納付も求められることになるのです。

延滞税は、納期限の翌日から2ヶ月目までと納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降で大きく税率が変わります。延滞税の税率は毎年見直しがなされているものの、令和8年1月1日から12月31日までの期間は次のように決められています。

・納期限の翌日から2ヶ月まで 年2.8%

・納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降 年9.1%

また、延滞税は、延滞日数に応じて課される仕組みです。そのため、納税が完了する日まで日割りで計算され、納税が遅れるほど延滞税の額は高くなります。

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税務調査で新幹線の払い戻しを指摘された場合に必要な修正申告

税務調査で新幹線の払い戻しを指摘された場合のリスクとして、修正申告が求められる旨をご紹介しました。しかし、カラ出張の指摘によって必要となる修正申告は、法人税の申告分だけではありません。経費の額が変更になる場合、次の税目について申告を修正しなければなりません。

法人税の修正申告

先ほどご説明したように、経費として計上できる交通費の額が低くなるため、課税所得額が高くなり、法人税の額も変更となります。そのため、法人税の修正申告が必要です。

消費税の修正申告

新幹線の料金には消費税額が含まれているため、消費税の課税事業者であった場合、新幹線の料金は仕入税額控除の対象となります。税務調査で新幹線の払い戻しが指摘された場合、仕入税額控除の額も変わってくるため、消費税の納税額も変わります。そのため、消費税の申告書についても該当箇所を修正し、申告をしなければなりません。

法人事業税の修正申告

法人事業税は、法人税、消費税とは異なり、都道府県に納める地方税です。税務調査では、法人税や消費税の修正申告が必要ですが、課税所得額が変わると法人事業税の所得割額も変わります。そのため法人事業税についても修正申告と不足分の納税が必要になります。

法人住民税の修正申告

法人住民税も法人事業税と同様、都道府県と市区町村に納める地方税です。法人住民税は、資本金の額や従業員の数で決まる均等割と法人税の額に税率をかけて算出する法人税割の2つから構成されます。新幹線の払い戻しが発覚すると法人税の額が変わるため、法人税割も変わります。そのため、法人住民税についても修正申告と追加納付が必要です。

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税務調査でカラ出張を指摘される前にできる対策

税務調査で新幹線の払い戻しによる不正が指摘されると、各税金の修正申告、不足分の税金の納付、ペナルティ分の税金の納付とさまざまなリスクが生じます。税務調査で従業員の経費の不正受給が発覚すれば、他の従業員にも衝撃が走るでしょう。また、取引先や顧客などに情報が洩れれば、従業員の管理体制が疑われ、信頼を大きく失う可能性もあります。そのため、税務調査でカラ出張を指摘される前に、自社内の管理を徹底し、新幹線の払い戻しを含めた経費の不正受給を事前に防ぐことが大切です。

ここでは、新幹線の払い戻しを含めた経費の不正受給を防ぐ対策を3つご紹介します。

新幹線の領収書は必ず提出を義務付ける

インボイス制度では、仕入税額控除を適用させるために、原則としてインボイスの保存が求められます。しかしながら、公共交通機関の特例として、一取引あたりの税込3万円未満の場合、領収書がなくても、帳簿に記載するだけで消費税の仕入税額控除が認められるルールです。そのため、経費処理の簡便化を図るため、従業員に対し、新幹線を利用した場合でも領収書の提出を求めないケースがあるかもしれません。

しかし、領収書の提出を不要とすれば、新幹線チケットの払い戻しなどの不正を増長させる可能性があります。新幹線を使用する際には、領収書の提出を必ず義務付けるようにしましょう。

また、提出された領収書については、しっかりと保管しておくことが大切です。万が一、税務調査でカラ出張の疑いを抱かれた場合でも、領収書が保管されていれば、経費の正当性を主張しやすくなります。

新幹線のチケットは法人カードで購入する

新幹線のチケットは、インターネットでも購入が可能です。法人カードを使って新幹線のチケットを購入すれば、払い戻しをした場合、チケット代は現金で払い戻されるのではなく、カード会社経由で口座に振り込まれることとなります。そのため、たとえ従業員が会社で支払ったチケットを窓口で払い戻したとしても、法人カードがなければ手続きを行うことができません。また、従業員に法人カードを持たせている場合でも、払い戻した額は現金で支払われず、払い戻しの履歴がカードの明細に残ることとなります。

そのため、新幹線を利用する機会が多い場合などは、法人カードでの購入を検討するとよいでしょう。

ICカードで新幹線を利用する

インターネットから新幹線のチケットを申し込み、交通系のICカードと座席の情報を紐づけておけば、チケットを発券することなく新幹線に乗車することができます。ICカードを使用した場合、利用履歴が残るため、新幹線のチケットを払い戻すといった不正は行いにくくなります。ICカードによる新幹線のチケットレス乗車を新幹線利用時の原則とする規定を定めることも、新幹線を巡る経費の不正受給を防ぐ一つの対策となるでしょう。

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まとめ

新幹線のチケットを払い戻し、実際には新幹線を利用せず、差額をポケットマネーとするような不正が行われている場合があります。従業員の不正については、会社にとって大きな問題には発展しないと思われるかもしれません。しかし、税務調査で新幹線の払い戻しなどの不正を指摘された場合、さまざまなリスクが生じます。

従業員の経費申請をしっかり管理できない状態であれば、税務調査時に新幹線の払い戻し以外にも何らかの経費の不正や計上ミスが行われているのではと疑われる場合もあります。

リスクを最小限に抑えるためには、新幹線を含め、経費が発生した際には、領収書の提出を義務付け、適切に保管するなど、経費処理に関する基本的なルールを徹底することが大切です。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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