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ニュースなどで、税務調査による脱税や申告漏れの発覚に関する話題が流れると「追徴課税」という言葉を耳にするケースがあります。追徴課税という文字は、税金を後から徴収するようなイメージを連想させるものの、追徴課税の意味を正確には理解していない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、追徴課税の意味や税務調査で追徴課税が生じた場合の対処法やリスク、追徴課税を避けるための対策などについて解説します。
目次
追徴課税とは、税務調査の際に、申告内容の誤りや無申告状態を指摘された場合に、本来納めるべき税金との差額の徴収を受けることです。ただし、追徴課税は不足分の税金の納付だけを求められるわけではありません。追徴課税がなされる際には、不足分の税金に加え、加算税や延滞税の納付が求められるケースもあります。
納期限までに税金を納付しなかった場合や納めるべき税額が不足していた場合にペナルティとして課される税金が付帯税です。
付帯税は大きく分けると「加算税」「延滞税」「利子税」の3つに分けられます。このうち利子税については、延納や納税申告書の提出期限の延長が認められた場合に課される付帯税となるため、税務調査時に追徴される付帯税には該当しません。
したがって、税務調査の追徴課税で納付が求められる可能性がある付帯税は、加算税と延滞税になります。
税務調査で何らかの不備を指摘され、追徴課税が発生する場合に課される可能性がある付帯税は、以下の5つです。
それぞれの詳細についてご説明します。
法人は事業年度終了日の翌日から2か月以内、個人事業主は2月16日~3月15日までの間に申告を済ませなければなりません。無申告加算税は、この期限内に申告をしなかった場合に課される加算税です。
無申告加算税の税額は、納めるべき税金に税率をかけて算出しますが、期限後に申告をするタイミングと税額によって適用される税率が変わります。
まず、税務調査で無申告が発生し、追徴課税が発生する場合に課される無申告加算税の税率は以下のとおりです。
・税額が50万円以下の部分 15%
・税額が50万円超300万円以下の部分 20%
・税額が300万円を超える部分 30%
また、税務調査の事前通知を受けてから、調査が実施されるまでの間に自主的に期限後申告をした場合の税率は次のように軽減されます。
・税額が50万円以下の部分 10%
・税額が50万円超300万円以下の部分 15%
・税額が300万円を超える部分 25%
さらに、税務調査の事前通知を受ける前に、納税者が自主的に期限後申告をした場合は、無申告加算税の税率は、金額に関わらず一律5%にまで軽減されます。
参照:財務省「加算税制度の概要」
過少申告加算税は、期限内に申告はしたものの、申告内容に不備があり、納税額が本来よりも少なかった場合に課される税金です。また、還付申告をし、還付される税金が多すぎた場合にも過少申告加算税が課されます。
過少申告加算税の額は、追加で徴収される税額に税率をかけて算出しますが、無申告加算税同様、修正申告のタイミングや徴収される税額によって次のように変わります。
税務調査で追徴課税が発生する場合に課される過少申告加算税の税率は、次のように決められています。
・追加の徴収額が50万円または期限内申告税額のいずれか多い額までの部分 10%
・追加の徴収額が50万円または期限内申告税額のいずれ大きい方を超える部分 15%
また、税務調査の事前通知を受けてから調査が実施されるまでの間に修正申告を行った場合の税率は、以下のように軽減されます。
・追加の徴収額が50万円または期限内申告税額のいずれか多い額までの部分 5%
・追加の徴収額が50万円または期限内申告税額のいずれ大きい方を超える部分 10%
さらに、税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をした場合は、過少申告加算税は課されません。
参照;財務省「加算税制度の概要」
不納付加算税は、従業員に支払う給与から源泉徴収した所得税を期限までに納付しなかった場合に課される加算税です。不納付加算税の額は、期限までに納付しなかった源泉所得税の額×税率で算出します。
不納付加算税の税率は、納付のタイミングによって以下のように変わります。
・税務調査後に納付 10%
・税務調査前に納付 5%
ただし、不納付加算税の額が5,000円未満であり、過去1年間に納付遅れがなく、納期限から1か月以内に納付している場合は、不納付加算税は課されません。
重加算税は、税務調査時に意図的な仮装や隠蔽などが発覚した場合に課される最も重いペナルティです。重加算税は、無申告加算税、過少申告加算税、不納付加算税に代えて課されます。重加算税の税額は、追加で徴収される税額に税率をかけて算出し、税率は次のように決められています。
・無申告加算税に代えて重加算税が課される場合 40%
・過少申告加算税に代えて重加算税が課される場合 35%
・不納付加算税に代えて重加算税が課される場合 35%
延滞税は納期限までに税金を納付しなかったペナルティとして課される税金です。延滞税は、納付が遅れた日数に応じて課されるため、延滞税の額は、追加で徴収される税額に延滞税の税率と延滞税の日数を乗じ、365日で除して算出します。
延滞税の税率は毎年変動しますが、2026年1月1日~2026年12月31日までの延滞税の税率は以下のとおりです。
・納期限の翌日から2か月を経過する日まで 年2.8%
・納期限の翌日から2か月を経過する日の翌日以降 年9.1%
参照元:国税庁「延滞税の割合」
追徴課税には3つの原則と呼ばれる以下のルールがあります。
この原則を理解していない場合、延滞税が増え続け、預貯金や不動産などが差し押さえられる恐れもあります。追徴課税が発生した場合のルールをしっかり理解しておくようにしましょう。
追徴課税は、原則として、現金での一括納付が求められます。長年にわたり不正に申告をしており、重加算税と延滞税が課された場合、追徴課税の額は多額に上る恐れがあります。その場合、一括納付できるだけのお金を用意できないケースも出てくるかもしれません。
一括納付が難しい場合は、納税の猶予の申請をし、認められれば追徴課税を1年以内に分割して納付することが可能です。しかしながら、申請を行っても必ず承認されるわけではない点を理解しておかなければなりません。
追徴課税のうち、加算税については、決定の通知を受け取った日の翌日から1か月以内に納付しなければなりません。加算税は、延滞税以外の無申告加算税、過少申告加算税、不納付加算税、重加算税です。
1か月以内に納付を完了させない場合、督促状が発行されます。督促状が届いても納付に応じない場合は、財産の差し押さえに発展する可能性があります。
繰り返しになりますが、1か月以内に一括で多額の追徴課税を納付することが難しいケースも出てくるでしょう。正しく申告をせず、税務調査で追徴課税が発生した場合、多大なリスクが生じることを理解しておかなければなりません。
追徴課税は、原則として免除されることはありません。たとえ、経済的な理由から納付が難しい状況であっても、追徴課税の納付が免除されることはなく、支払うことができない場合は財産が差し押さえられることになります。また、追徴課税を納付せず、滞納を続けていても、時効が成立することはありません。
税務調査で何らかの不備を指摘され、追徴課税が発生した場合の対処法としては以下の3つの方法が考えられます。
税務調査終了後、追徴課税が確定すると、決定通知書が送付されます。税務署からの指摘内容に納得できる場合は、決定通知書を受領してから1か月以内に、現金で追徴課税の納付をします。
追徴課税を納付する意思があっても、現金の準備ができない場合、納付することができません。その場合、納税の猶予制度や換価の猶予制度を利用すると、分割払いや差し押さえの一定期間の回避が認められる場合もあります。
しかし、いずれも厳しい要件が定められているため、申請したからといって承認されるわけではありません。また、担保の提供が求められる点も理解しておく必要があるでしょう。
税務調査の結果、追徴課税が発生することに納得できない場合は、不服の申し立てを行います。不服申し立ては、税務署長に再調査の請求をする方法と、国税不服審判所長に審査請求をする方法があります。税務署長に再調査の請求をした場合でも、再調査請求に対する決定に納得できない場合は、国税不服審判所長に審査請求を行うことも可能です。
国税不服審判所の審査請求の裁決に不服がある場合は、訴訟を起こし、裁判で争うこととなります。しかし、不服の申し立てを行っている間も延滞税は加算され続けている点に注意しなければなりません。そのため、不服申し立てを行う場合は、追徴課税を納付してから申し立てを行い、追徴課税が取り消された場合は返還を求める方が不利益を最小限に抑えることができます。
ここまでご説明してきたように、税務調査で追徴課税が発生すると大きなリスクが生じます。追徴課税の納付ができなければ、預貯金のほか、自宅や車などの財産が差し押さえられる可能性もあります。追徴課税のリスクを避けるためには、次のような対策が有効です。
日頃から正しく記帳し、正確に経理処理を進めれば、正しい申告が可能になり、税務調査の対象に選ばれるリスクも、税務調査で追徴課税が発生するリスクも抑えられます。忙しいからといってまとめて記帳をしたり、領収書や請求書の管理を怠っている場合、申告期限の直前に業務が集中し、売上の申告漏れや経費の二重計上などのミスが生じる恐れもあります。
日頃から正しく経理処理を進めることが、追徴課税を回避する最も基本的な対策です。
何らかの事情により申告期限までに申告書を提出できなかった場合や申告書提出後にミスに気が付いた場合は、できるだけ早く期限後申告や修正申告を行うようにしましょう。無申告加算税や過少申告加算税、不納付加算税は、税務調査の通知を受ける前に自主的に期限後申告や修正申告を行うことで、税率が大きく軽減されます。追徴課税のリスクを最小限に抑えるためには、申告遅れや申告ミスに気が付いたタイミングでできるだけ迅速に対応することが大切です。
正しく申告をしているつもりでも、誤った解釈などから意図せず、申告漏れなどが発生する可能性もあります。悪意のないミスであっても納税額が不足していれば、税務調査で追徴課税が発生します。日頃から税理士に相談できる環境を整えておけば、誤った申告書を提出するリスクは抑えられます。税務調査の対象となれば、さまざまな準備が発生し、業務に支障が生じるケースも少なくありません。税理士との連携体制の整備も検討しておくとよいでしょう。
税務調査で無申告や申告内容の不備が指摘されると、不足分の税金の納付のほか、ペナルティとして延滞税や加算税の納付が求められます。税務調査後に追加で税金を徴収されることを追徴課税といいます。
追徴課税は、通知書を受け取ってから1か月以内に現金での一括納付が求められます。追徴課税の額が高額になると、1か月以内に多額の現金の準備ができないケースも出てくるでしょう。しかし、追徴課税は原則として免除されることはなく、納付ができない場合、財産の差し押さえに発展する可能性があります。
税務調査での追徴課税を避けるためには、日頃から正しく経理処理を行っておくこと、申告忘れやミスに気が付いたら迅速に対応することが大切です。また、経理処理に不安がある場合は税理士との連携体制の整備も検討した方がよいでしょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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