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税務署は、申告書の有無だけでなく、支払調書などの資料情報と申告データを照合し、無申告や申告額の不一致を把握しています。資料情報とは、支払者や金融機関、取引先、海外の税務当局などから収集される、収入や取引に関する情報のことです。
国税庁70年史によると、国税庁が収集する資料情報は年間5億枚に到達しています。これらは無申告者の把握に限らず、申告額の適否の検討、税務調査、文書や電話による行政指導にも活用されています。
ただし、無申告が必ずバレるとも、一定金額以下なら税務署に把握されないとも断定できません。個人口座への入金や売上除外、副業・フリーランス収入に不安がある方も、放置せず状況を整理することが重要です。
この記事では「税務署は無申告をどう見つけるのか」を軸に、支払調書とデータ照合の仕組み、海外口座に関するCRS、暗号資産等に関するCARF、把握後の簡易な接触や税務調査の流れを解説します。税務署による把握を免れる方法ではなく、現在無申告の場合に取るべき適切な対応を確認し、判断に迷うときは税理士へ相談しましょう。
申告書を出していなければ税務署に収入が分からない、という認識は正確ではありません。税務署は、本人の申告データだけでなく、支払者・金融機関・取引先・海外税務当局などから得る資料情報も活用し、無申告や売上除外、個人口座への入金を把握する手掛かりとしています。
国税庁の公表資料によると、収集する資料情報は年間5億枚に到達しています。本記事では、主な入手先、申告データとの照合方法、無申告者への接触・調査の流れ、気づいた場合の対応を順に解説します。「必ずバレる」と不安をあおるのではなく、公表資料に沿って仕組みを整理します。
目次
税務署は、本人の申告書だけでなく、支払者などから集まる資料情報と申告・納税データを照合して無申告を把握します。「申告しなければバレるのか」と不安な場合、税務署は取引の相手側に残る情報も見ていると考える必要があります。
税務署は、申告書の提出の有無だけで申告漏れと判断するわけではありません。支払者側の資料情報と、受取人側の申告内容を照らし合わせて確認します。
たとえば、支払者側に報酬を支払ったことを示す資料がある一方、受取人側に対応する申告が見当たらなければ、確認対象となる可能性があります。売上を申告から除外した場合も、取引先側の記録との不一致が手掛かりになり得ます。
ただし、資料情報があるだけで、直ちに無申告や申告漏れが確定するわけではありません。主に次の事情を踏まえた確認が必要です。
個人口座への入金も、それだけで所得と確定するものではありません。入金の理由や申告との対応を資料に基づいて説明できるかが重要であり、判断に迷う場合は税理士へご相談ください。
国税庁が収集する資料情報は年間5億枚に到達しています。申告に関するデータとともにシステムで一元的に管理され、無申告者の把握などに活用されています。
国税庁70年史「資料情報事務」によると、資料情報は申告額が適正かどうかの検討、税務調査、行政指導にも使われます。ただし、年間5億枚のすべてが無申告者に関する資料という意味ではありません。
資料情報とは、企業や官公署などから税務署に集まる、収入・取引に関する情報です。国税庁は年間5億枚に到達する資料情報を収集し、申告額の確認や無申告者の把握などに活用しています。
法定資料とは、所得税法や相続税法などに基づき、企業などが税務署へ提出する資料です。報酬・料金の支払調書などが該当します。
ただし、支払調書があるだけで、申告義務や税額が自動的に決まるわけではありません。所得の種類、必要経費、ほかの収入などを含めた個別判断が必要です。
資料情報の入口は、本人が提出する申告書だけではありません。取引関係、税務調査で把握した取引先情報、行政機関が保有する情報などから、取引実態が確認される場合もあります。
国税庁70年史「資料情報事務」では、海外企業との取引、海外投資、インターネットを利用した電子商取引も収集対象として挙げられています。このため、「現金取引なら把握されない」「ネット上の取引なら分からない」とは言い切れず、個人口座への入金も含め、無申告が税務署にバレる可能性を否定できません。
資料情報が見つかっても、それだけで申告漏れが確定するわけではありません。売上・収入は受け取った金額を指し、所得は原則としてそこから必要経費を差し引いた金額であるため、資料記載額がそのまま所得や納付税額になるとは限りません。
税務署から確認を受けた場合に取引内容を説明できるよう、次の根拠資料を整理しておくことが重要です。
資料との食い違いや申告義務の判断に不安がある場合は、自己判断せず税理士へ相談することをおすすめします。
海外口座や暗号資産の取引も、税務署が把握する可能性があります。国内の資料情報だけでなく、海外税務当局との情報交換も、無申告や申告内容を確認する手段となるためです。
国税庁「租税条約等に基づく情報交換」では、情報交換を次の3種類に整理しています。海外取引なら税務署に「バレる」ことはない、とは考えないほうがよいでしょう。
CRSは「共通報告基準」であり、これに基づいて金融口座情報の自動的情報交換が行われています。ただし、海外口座を持つこと自体が違法なのではありません。
重要なのは、口座から生じた所得などについて、日本で申告義務があるかを確認することです。売上や報酬が個人口座へ入金されている場合も含め、取引履歴と申告内容の整合性を確認してください。
CARFは暗号資産等報告枠組みで、国税庁が案内する国際的な情報交換の枠組みです。暗号資産取引も国内の申告データだけで判断される仕組みではありませんが、個々の取引が必ず把握されるとまでは断定できません。
海外口座や暗号資産に関する無申告が不安な場合は、取引履歴や入出金記録を整理し、申告義務の有無を税理士へ確認することが大切です。
税務署は、収集した資料情報を申告データと照合し、申告額の適否や無申告の可能性を確認します。その結果は、行政指導や税務調査の対象を検討するために活用されます。
国税庁は、年間5億枚に到達している資料情報と申告に関するデータを、システムで一元的に管理しています。無申告者の把握や申告内容の確認にも、この仕組みが活用されています。
照合の基本となるのは、次のような情報の対応関係です。
ただし、税務署内の具体的な判定基準や調査対象の選定基準は、公表資料で確認できる範囲を超えて推測できません。詳しくは国税庁70年史「資料情報事務」で確認できます。
たとえば、個人への報酬の支払いが確認できる一方、対応する申告が見当たらなければ、申告義務の有無や取引内容が確認されます。入金があるだけで直ちに所得と判断されるわけではなく、その性質も確認対象です。
ネット取引の収入と申告額に差があるように見える場合は、売上・経費・所得区分が確認されます。海外投資に対応する所得の申告が見当たらない場合は居住地や所得内容、金融口座や個人口座の情報と申告が整合しない可能性がある場合は、資金の性質や所得の有無が確認されます。
これらは仕組みを理解するための例であり、個別案件が調査対象に選ばれると断定するものではありません。
調査や接触の基準となる具体的な金額は、一律には公表されていません。「いくら以下なら安全」「少額なら税務署にバレることはない」という基準はありません。
金額だけでなく、資料情報と申告の不一致や取引の継続性などが、確認のきっかけになる可能性があります。売上除外や無申告に不安がある場合は、資料と申告内容を整理したうえで、個別の申告義務を税理士に確認することが大切です。
税務署が無申告の可能性を把握しても、直ちに実地調査が行われるとは限りません。資料情報と申告データを照合したうえで、文書・電話・来署依頼による確認、必要に応じた実地調査、申告・納税手続きへと進みます。
対応は、おおむね「情報収集、データ照合、簡易な接触、実地調査、申告・納税」の順に進みます。ただし、資料の内容や申告状況によって、最初から実地調査の対象となる可能性もあります。
無申告者への対応は、実地調査だけではありません。国税庁が2026年時点で公表している令和6事務年度の所得税・消費税調査等では、簡易な接触が実地調査を大きく上回っています。
出典:国税庁「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
文書や電話だから放置してよいわけではありませんが、連絡を受けただけで直ちに不正が確定したわけでもありません。まず通知内容と回答期限を正確に確認し、推測で回答しないことが大切です。
連絡を受けたら、誰から何について確認されているのかを整理してください。次の項目を記録し、通知書や手元の資料と照らし合わせます。
現場の実感として、無申告期間が長い方ほど「何から手を付ければよいか分からない」という段階で相談に来られます。まず現状を棚卸しし、自分だけで申告義務や回答内容を判断しにくい場合は、税理士への相談を検討しましょう。
無申告に気づいたら、まず資料を集めて申告義務と対象年分を確認し、早めに税務署または税理士へ相談してください。税務署から連絡がある場合は放置せず、期限内に資料に基づいて対応することが重要です。
売上や報酬だけでなく、必要経費を裏付ける資料も年分ごとに整理します。個人口座への入金がある場合も、事業収入か、借入金など収入以外の入金かを確認してください。
入金額の合計だけで税額を決めてはいけません。所得区分や必要経費によって計算が異なるためです。税務署が資料情報から無申告を把握し、「バレるのでは」と不安でも、記憶だけでなく資料に沿って整理しましょう。
取るべき対応は、税務署から連絡が来ているか、調査を求められているかによって異なります。分からないまま放置したり、事実と異なる説明をしたりすることは避けてください。
税額や附帯税は個別事情で異なるため、根拠のない概算は避け、税務署または税理士に確認してください。対象年分が複数ある場合は、特に専門家への相談が有効です。
「必ずバレる」とは断定できませんが、税務署は本人の申告書だけでなく、年間5億枚に到達する資料情報と申告データを一元的に管理し、無申告者の把握などに活用しています。支払者、取引先、金融機関、海外税務当局などから情報が入る可能性があるため、「申告しなければ分からない」と考えるのは適切ではありません。
支払調書は、税務署が収集する資料情報の一つにすぎません。取引先や官公署などから得る情報のほか、海外取引については外国税務当局との情報交換もあるため、支払調書がないことを理由に申告義務がなくなるわけではありません。
海外口座だから把握されないとは限らず、国税庁は租税条約等に基づく情報交換を行い、CRSに基づく金融口座情報の自動的情報交換などを実施しています。暗号資産等報告枠組み(CARF)もあるため、海外口座への入金や暗号資産取引を含めて申告に不安がある場合は、資料を整理したうえで税理士へ相談することをご検討ください。
税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。
受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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