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FXで利益が出たら確定申告が必要?脱税がばれた場合のリスクとは

2024.07.23

FXは値動きが大きく、わずかな期間で大きな利益を得られる可能性を持つ投資法です。そのためFXの取引で利益を狙う個人投資家が増えていますが、FXの利益も課税対象になることを知らずに確定申告をしていない人やFXの利益が税務署にばれるはずがないと納税していない人は少なくありません。
FXの利益が出ても確定申告をしていなかった場合、税務調査で脱税を指摘される可能性があります。FXの利益を申告せずに、税務調査で脱税を指摘された場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
今回は、FXの確定申告の必要性や脱税を指摘された場合のリスクについてご説明します。

 

FX取引にかかる税金と税率

FX取引で一定以上の利益を得ている場合は、利益に対して税金が課せられます。国内FXで得た利益は「先物取引にかかる雑所得等」に区分され、所得税・住民税の課税対象となるのです。また、先物取引にかかる雑所得は、申告分離課税の対象となっています。
申告分離課税とは、他の所得とは分離して税額を計算する課税方式です。したがって、FX取引で得た利益は、給与所得や不動産所得などのその他の所得と合算する必要はなく、単独で税金の計算をします。
平成25年から令和19年までは、所得税と復興特別所得税を併せて申告・納税することになり、この期間の税率は20.315%です。

 

FX取引で脱税になるケース

FXで一定以上の利益を得ている場合は、確定申告を行い、所得税、住民税、復興特別所得税を納税しなければなりません。しかし、確定申告の必要があるにもかかわらず、確定申告を行わず、納税していなかった場合は脱税を指摘される可能性があります。では、FX取引ではどのような場合に脱税とみなされるのでしょうか。
FX取引で脱税を指摘されるケースは次のような場合です。

 

会社員がFXで脱税になるケース

会社員の場合、FXの利益を含め、給与所得以外に年間20万円以上の利益を得た場合、確定申告が必要です。例えば、FXで1年間に100万円の利益を得たにもかかわらず確定申告をせず、納税していなかったことが発覚すれば、脱税行為とみなされます。
また、たとえFXの利益が20万円以下であっても、副業の所得と合わせて20万円以上の利益を得ているようであれば確定申告をしなければなりません。この場合も、納税を逃れる脱税の行為とみなされるでしょう。

 

専業主婦など被扶養者となっている人がFXで脱税になるケース

配偶者や親の被扶養者となっている人は、FXの所得を含め、年間48万円以上の所得を得ている場合、確定申告を行わなければなりません。例えば、パートやアルバイトの年間所得を48万円未満に抑えた場合でも、FXの利益を合算することで年間所得が48万円を超えるときには、確定申告が必要なのです。被扶養者がFXの利益を含め、年間48万円以上の所得を得ているにもかかわらず、確定申告をしていない場合、脱税をしていることとなります。

 

FX取引で課税対象となる所得とは

確定申告を行う際には、FXによる所得を確定させなければなりません。所得とは、収入から必要な経費を差し引いた額であり、FX取引による所得額は次のように計算できます。

 

FXの課税所得の算出法

FXで課税対象となる利益は、為替差益とスワップポイントの2つとなります。為替差益とは為替レートの変動によって生じた利益で、スワップポイントとは2か国間の金利差によって発生する利益です。
FXでの課税対象所得は、次の計算式で求められます。

FXの所得=(為替差益+スワップポイント)-必要経費

 

必要経費として扱える支出

FXの利益がすべて課税対象になるわけではありません。課税対象となるのは、利益から必要経費を差し引いた所得額です。FX取引では、FX取引のために参加したセミナーの受講費や書籍などの購入費用、インターネットの通信費、取引時に発生した手数料などを経費として計上することができます。
FX取引のためにかかった費用を利益から差し引く行為は脱税にはあたりません。必要経費をしっかり差し引くことで所得額を圧縮でき、節税にもつながります。かかった経費はしっかり領収書などを残しておくようにしましょう。

 

FXの利益の確定申告をしなかった場合のリスク

FXの利益の確定申告をしなかった場合は、次のようなリスクが発生する恐れがあります。

 

税務調査で脱税を指摘される

FXで利益が出ている場合、税務署はその情報を掴んでいます。なぜなら、税務署はFXの事業者に顧客の情報を照会する権利があり、利益を得ている顧客の情報を把握できるからです。
そのため、FXによる利益の脱税の疑いがあれば、税務調査の対象となるケースが多く、FX取引についての詳しい調査が行われ、結果として脱税を指摘される可能性が高くなるでしょう。

 

追徴課税がなされる

税務調査時に確定申告を行っていないことが発覚すれば、本来の納税額に加え、無申告加算税の納税が課せられます。令和5年分以降の無申告加算税の税率は、50万円までの部分が15%、50万超~300万円までの部分が20%、300万円を超える部分が30%です。また、無申告加算税に加え、税金の納付が遅れたことに対するペナルティとして延滞税も課せられます。
さらに、仮装隠蔽行為が認められる悪質な脱税行為であると判断された場合には、無申告加算税に代え、より税率が重い重加算税が課せられるリスクもあります。無申告時の重加算税の税率は、40%です。

 

脱税は刑事罰が科せられるリスクも

税務調査で脱税を指摘された場合、検察の捜査によって起訴される可能性もあります。裁判によって有罪が確定すれば、FX取引の脱税は所得税法違反となり、懲役や罰金を科せられる恐れもあるのです。

 

FXの脱税を回避するためには確定申告が必須

FXで脱税を回避するためには、確定申告を正しく行うことが大切です。

確定申告にはメリットもある

FXで一定以上の利益が出ていない場合は、確定申告をしなくても問題はなく、脱税にもあたりません。しかしながら、FXで損失が出た場合は、確定申告をすると損失分を翌年以降3年に渡って繰越控除できます。繰越控除とは、損失を翌年以降の利益と相殺できる仕組みです。したがって、翌年から3年の間に利益が出た場合、利益から損失分を差し引きけるため、課税所得額を抑えられ、節税につなげられます。
FX取引をする場合には、一定以上の利益が出た際には確定申告を必ずしなければならないこと、損失が出た場合でも確定申告をすると繰越控除というメリットが受けられるという点を覚えておくとよいでしょう。


自主的な期限後申告で追徴課税額は軽減できる

これまでFXで一定以上の利益を得てきたにもかかわらず確定申告を行ってこなかった人は、できるだけ早めに期限後申告をすることをおすすめします。無申告加算税の税率は、50万円までは15%、50万円以上300万円以下までは20%、300万円以上は30%です。しかしながら、法定申告期限を過ぎた後でも税務調査の前に、自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税が5%に軽減されます。
繰り返しになりますが、税務署ではFXで利益を得ている人の情報を把握しています。これまで確定申告をせず、FXで一定以上の利益を得てきた方は、税務調査で脱税を指摘される前に自主的に期限後申告をした方がよいでしょう。

 

まとめ

2012年にはFX取引で得た約3億6,800万円を申告せず、約1億4,000万円を脱税したとして、会社役員が逮捕される事件も起きています。
FXの利益も、所得税、住民税、復興特別所得税の課税対象となります。FXで一定以上の利益を得ている場合は、確定申告をしなければなりません。万が一、税務調査で脱税を指摘されれば、多額の追徴課税を課せられ、刑事罰に処される恐れもあるのです。これまでFXで一定以上の利益を得ているにもかかわらず確定申告をしてこなかった場合は、早めに期限後申告をしましょう。
税理士法人松本では、期限後申告のサポートも行っています。税務調査の前に期限後申告を済ませ、納税額を極力抑えたいとお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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仮想通貨取引の脱税取り締まり強化の噂は本当?無申告のリスクとは

2024.07.01

仮想通貨取引は大きなリターンが得られる可能性があることから人気を集めており、仮想通貨取引を開始する人は年々増加傾向にあります。しかし、仮想通貨取引で利益を得ているにもかかわらず確定申告をせず、税務調査で脱税の容疑をかけられるケースも増加していることをご存じでしょうか。
仮想通貨にまつわる脱税行為が増加していることから、国税庁でも仮想通貨取引を行っている人に対する取り締まりを強化しています。せっかく仮想通貨で利益を得ても、正しく確定申告をせず、税務調査によって脱税を指摘されてしまえば、本来支払うべき税金よりも多い額を支払わなければならない可能性があります。
今回は、仮想通貨取引で確定申告が必要なケースや脱税を指摘された場合のリスクについて解説します。

 

なぜ仮想通貨の脱税が増加している?

仮想通貨取引で利益を得ても確定申告をせず、脱税を指摘されるケースが増加しているといいます。なぜ、仮想通貨の脱税が増えているのでしょうか。

 

仮想通貨の脱税が増加している背景

まず、仮想通貨は誰にでも始めやすい投資です。そのため、投資経験のない人が投資家になるケースも多く、利益が出たときには確定申告をしなければ脱税になるという認識を持っていない人が多いと考えられます。また、仮想通貨は、利益を円に交換するのではなく、別の仮想通貨へ交換するケースも多いことや海外取引も多いことなどから、円への換金時以外、確定申告の必要がないと誤認している投資家も多いようです。
さらに、利益を得たら納税が必要という認識を持つ人であっても、仮想通貨取引で得た利益は税務署にバレないと思い込んでいるケースも少なくないと考えられます。

 

国税庁の取り締まりも強化

国税庁は、仮想通貨取引の利益は雑所得に該当するという見解を公表し円に換金せず、別の仮想通貨へ交換した場合でも課税対象となることを示しています。しかし、仮想通貨取引の広がりに伴い、仮想通貨で利益を得ているにもかかわらず、正しく納税をしていない投資家は後を絶ちません。そこで、2019年に国税庁では仮想通貨取引などを含めた個人所得の税務調査を強化するプロジェクトを発足させ、情報収集を強化することを公表しました。
また、2020年には国税通則法が改正されました。この改正により、これまで事業者に対して行っていた任意の協力要請依頼に関する権限が法律上明確化され、税務署は事業者に対し、多額の利益を得た顧客の情報の照会を求められるようになったのです。

 

仮装通過取引を巡る脱税事件の事例

2020年3月には、金沢国税局が石川県の57歳の会社役員が仮想通貨取引で得た所得を隠し、約7,700万円の脱税をしたとして、所得税法違反で告発しています。金沢地裁は、懲役1年、執行猶予3年、罰金1,800万円の有罪判決を下しました。
また、福岡国税局管内では2021年7月~2022年6月までの1年間で、約20人に対し、合計約17億円もの仮想通貨取引の申告漏れを指摘しています。このうち40代の医師は、4年間で約1億円の脱税を指摘され、約6,000万円の追徴課税がなされました。この医師は、仮想通貨で得た利益を一切申告していなかったとされています。
また、70代の自営業男性も3年間で約1億2,000万円の申告漏れを指摘され、約6,000万円の追徴課税がなされました。この男性の場合、円に換金した部分の利益については申告していたものの、別の仮想通貨へ交換した部分については申告をしていませんでした。

 

仮想通貨取引の利益も、確定申告が必要

仮想通貨取引で一定以上の利益を得た場合は、確定申告をしなければなりません。

 

仮想通貨取引の利益は雑所得扱いに

仮想通貨取引で得た利益は、原則として雑所得に区分されます。会社員の場合など、給与所得を得ている人が仮想通貨取引を含む年間20万円を超える雑所得を得た場合、所得税の課税対象となり、確定申告が必要です。

 

仮想通貨で利益が発生するのは売却時だけではない点に注意

仮想通貨で利益が発生するのは、仮想通過を売却し、換金したときだけではない点に注意が必要です。仮想通貨で利益が発生する主なタイミングは、次の3つです。

・仮想通貨を売却した場合
・仮想通貨を他の仮想通貨に交換した場合
・仮想通貨を使って商品やサービスを購入した場合

 

仮想通貨取引による所得額の計算方法

仮想通貨取引による所得額の計算方法は、利益が生じた理由によって異なります。

 

仮想通貨の売却による所得額の計算

仮想通貨を売却し、円に換金した場合の計算方法は次の通りです。

仮想通貨の売却価額 − 仮想通貨1単位あたりの所得価額(手数料込)×数量

 

他の仮想通貨に交換した場合の所得額の計算

仮想通貨を他の仮想通貨に交換した場合の所得額は次の計算式で求めます。

新たに交換する仮想通貨の時価-保有している仮想通貨の取得価額

 

仮想通貨を使って商品やサービスを購入した場合の所得額の計算

所有する仮想通貨を商品やサービスの購入費用に充てた場合の所得額は、次のように計算します。

購入商品・サービスの価格-仮想通貨の1単位あたりの取得価額×数量

 

仮想通貨取引で脱税を指摘された場合のリスクとは

仮想通貨取引で得た利益の確定申告を行わず、正しく納税をしていない脱税の状態を税務調査で指摘された場合、次のようなリスクが発生します。

 

多額の追徴課税がなされる可能性がある

追徴課税とは、本来納めるべき税金の差額や正しく納税を行わなかった場合に課せられるペナルティ分の税金のことです。仮想通貨取引で利益を得ていたにもかかわらず、確定申告をしていなかった場合に加算される税金には次のようなものがあります。

・無申告加算税
期限内に確定申告をしなかった場合に課せられる税金です。無申告加算税の税率は、納付すべき税額の50万円までの部分は15%、50万円を超える部分については20%となります。ただし、令和6年1月1日以降に法定申告期限が到達するものに関しては、50万円までは15%、50万~300万円までの部分は20%、300万円を超える部分には30%が加算されます。

・延滞税
延滞税とは、期限内に確定申告をしなかった場合に、利息に相当する額が自動的に課されるものです。税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までと2ヶ月を経過した日以降で異なります。納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までの税率は、令和4年1月1日から令和6年12月31日までの期間は年2.4%です。しかしながら、2ヶ月を経過した日以降は税率が年8.7と高くなります。
延滞税は、法定納期限から納付が完了する日まで課せられるため、納税が遅れれば遅れるほど延滞税の負担額は大きくなるという点に注意が必要です。

・重加算税
仮装や隠蔽があった場合などは、無申告加算税に代えてより重い税率の重加算税が加算されます。無申告加算税に代わる場合の重加算税の税率は、本来納めるべき税額の40%となります。

 

有罪が確定すれば刑事罰が科される

脱税が発覚した場合、刑事告発がなされ、検察官の捜査によって脱税容疑が強まれば逮捕に至る可能性もあります。起訴後、裁判で有罪が認められれば、所得税法違反となり、追徴課税の処分に加え、懲役や罰金といった刑事罰も科されます。
仮想通貨取引で得た利益を正しく申告せず、脱税の罪が確定した場合には、犯罪者として大きなリスクを背負うことになるのです。

 

まとめ

仮想通貨取引で一定以上の利益を得たときには確定申告を行い、適切な額の納税をしなければなりません。仮想通貨取引を始める投資家は増加しているものの、正しく確定申告を行わず、脱税をしているケースも多いことから、国税庁でも仮想通貨取引に関する監視の目を強めています。
仮想通貨取引では、円に換金した場合だけでなく、仮想通貨を別の仮想通貨に交換した場合、仮想通貨で商品やサービスを購入した場合も利益が発生したとみなされる点に注意が必要です。
仮想通貨取引でせっかく利益を得ても、正しく確定申告をしていなければ、無申告加算税や重加算税が課され、本来よりも多額の税金を納めなければならなくなります。また、脱税は犯罪行為であり、刑事罰が下されれば今後の社会活動にも影響が出るでしょう。
これまで仮想通貨で利益が出ていて、確定申告をしてこなかった場合でも税務調査の前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は軽減されます。
早めに税理士に相談することをおすすめします。

 

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無申告加算税の税率と重加算税|税率改正の理由とは

2024.05.03

確定申告の期限までに申告されなかった際に課せられるのが、無申告加算税です。

無申告が故意によるものであると判断されると、
さらに重加算税が課され、負担が大きくなってしまいます。

無申告加算税は2024年1月より、税率が変わりました。

なぜ無申告加算税の税率改正が行われたのかという背景、新たな税率や重加算税について、まとめました。

無申告は故意であるものばかりではないので、確定申告の期限を過ぎてしまったらどう対処していくべきかという対処法についてもお伝えします。

無申告重加算税とは

無申告重加算税とは

確定申告の義務があるにも関わらず、期限内に申告が行われなかった際に課せられるのが無申告加算税です。

日本は申告納税制度が採用されており、納税者が税額を自ら計算し、納税しなければいけません。

自主申告が必要になりますが、行おうとしない人がいるため無申告加算税は抑止力になります。

無申告を防ぎ、適正な申告・公平な課税を行うために、無申告加算税が設けられています。

無申告加算税と重加算税

無申告加算税と重加算税は、加算税の種類のひとつであり、それぞれ別物であると考えましょう。

重加算税とは、納税に意図的な仮装・隠ぺいがあると判断された場合に課されるペナルティです。

悪質な意図がある無申告加算税に、重加算税がプラスされる形となります。

重加算税が課せられると、悪質な事業者であると判断され、将来的にも税務調査の対象になりやすくなってしまうという懸念もあります。

2024年1月に無申告加算税の税制改正

無申告加算税は、2024年1月に税率が改正されました。

加重措置がとられるようになり、以下のように税率が上げられました。

無申告加算税の税率

無申告加算税は、2024年1月以前と以後で以下のように税制改正されています。

無申告加算税 50万円以下 50万円超300万円以下 300万円超
2023年12月31日以前 15% 20% 20%
2024年1月1日以降 15% 20% 30%
参照:財務省|加算税の概要

税制改正により、300万円を超える部分に対する無申告加算税が、20%から30%に引き上げられています。

ただし、納税者の責めに帰すべき事由がないと認められる場合は、300万円超の判定から除外されるケースもあります。

具体的には、会社の倒産や災害、その他のやむを得ない事情により申告が不可能であった場合が該当します。

無申告加算税・税制改正の理由

無申告加算税・税制改正の理由

無申告加算税は、なぜ税制改正が行われたのでしょうか。

加重措置が設けられるようになった背景には、以下のような理由が考えられます。

  • 高額所得や繰り返し無申告の急増
  • 改正前の無申告加算税は効果がなかった
  • 抑止力にするため

高額所得や繰り返し無申告の急増

確定申告を行わない、無申告な事業者の中には、高額所得を隠ぺいしようとしたり、複数回に渡り繰り返し無申告を続けるといった悪質な事業者が問題となっていました。

インターネットの普及により、多くの人が所得を得るようになったという時代の背景も無関係とはいえません。

また過去に無申告加算税が課せられているのに、無申告を繰り返している人は、故意に無申告を繰り返していると判断されても仕方がないでしょう。

高額な所得を得ている事業者、無申告を繰り返している事業者に、適正な納税を促す目的があったと考えられます。

改正前の無申告加算税は効果がなかった

加算税には、他にも種類があります。

故意に過少申告をする「過少申告加算税」、期限内に納税をしない「不納付加算税」です。

これらは故意の仮装や隠ぺいが疑われやすいですが、無申告加算税は「申告を忘れていた」という証拠を示すのが困難です。

2023年12月31日以前の税制では、成果が発揮しきれていませんでしたので、他の納税者との公平感を欠かないよう、税制改正が行われました。

抑止力にするため

無申告加算税の目的は、確定申告を適正に申告してもらうという点です。

納税すべきなのに無申告である高額所得のある事業者や、複数回に渡り無申告を繰り返す事業者に対する、
抑止力とするために税制改正されました。

高額な無申告に対応した改正点

無申告加算税改正点

高額所得のある事業者に対し、無申告加算税の税率が引き上げられました。

税制改正のポイントのひとつである、高額な無申告に対する税制改正についてご説明します。

  • 無申告加算税は30%に
  • 納税者が無自覚の無申告への対応

無申告加算税は30%に

2024年1月1日以降は、納付すべき税額に対して300万円超の部分について、30%の割合で無申告加算税が課せられるようになりました。

20%だった部分が30%という割合になったため、大幅な税率アップといえるでしょう。

未納であった税額の30%が追加本税となりますが、納めるのは追加本税だけではありません。

重加算税が課せられる場合は、無申告加算税の場合は追加本税に対して40%の納付額となります。

さらに延滞税もかかってきますので、無申告加算税そのものの税率アップは、追徴課税の合計金額を大幅に引き上げることになります。

納税者が無自覚の無申告への対応

無申告加算税は、納税者が故意ではない、悪質な無申告ではない場合に課されます。

「確定申告をする必要がないと思っていた」
「誤った情報を鵜呑みにしていた」「忘れていた」という理由などで、無自覚に無申告になってしまう納税者もいます。

追徴課税をしてもらうと、申告が必要であると理解してもらえるようになるでしょう。

無申告が無自覚ではなく、悪質であり、故意な隠ぺいであれば、無申告加算税にプラスして重加算税が課せられます。

繰り返し無申告に対応した改正点

繰り返し無申告をする事業者に対する課税の強化も、
改正の目的のひとつであるといえます。

改正前の税率では繰り返し無申告をする事業者がいたため、プラス10%の税率改正が行われました。

特定無申告加算税等10%が創設

改正前の無申告加算税は、「過去に何度無申告をしているか」という回数は問われず、全て一律で税率が計算されていました。

繰り返し無申告をする事業者への抑止力にはなっていなかったため、税率改正が行われました。

3年連続で繰り返し無申告を行う事業者はプラス10%の税率となり、無申告加算税としては最大40%の税率がかかるようになりました。

無申告加算税 50万円以下 50万円超300万円以下 300万円超
2023年12月31日以前 15% 20% 20%
2024年1月1日以降 15% 20% 30%
10%加算後 25% 30% 40%
参照:財務省|加算税の概要

無申告加算税にかかる重加算税

無申告加算税にかかる重加算税

無申告加算税に重加算税がさらに課せられると、追徴課税の額が大きくなります。

重加算税の税率について、ご説明します。

  • 無申告加算税の重加算税は40%
  • 最大で50%の無申告重加算税

無申告加算税の重加算税は40%

重加算税の税率は、どの加算税に課せられるかによって異なります。

  重加算税の税率
無申告加算税 追加本税の40%
過少申告加算税 追加本税の35%
不納付加算税 追加本税の35%
参考:財務省|加算税の概要

無申告加算税に重加算税が課される場合は、追加本税の40%の税率がかかります。

過少申告加算税や不納付加算税よりも税率が高く、重いペナルティであるとわかります。

最大で50%の無申告重加算税

繰り返し無申告を繰り返す事業者には、無申告加算税が10%プラスされると先述しました。

同様に、悪質な事業者であると判断されると、重加算税も10%とプラスされてしまいます。

  重加算税の税率 プラス10%
無申告加算税 追加本税の40% 追加本税の50%
過少申告加算税 追加本税の35% 追加本税の45%
不納付加算税 追加本税の35% 追加本税の45%
参考:財務省|加算税の概要

つまり、無申告加算税においては最大で50%の追徴課税を課せられる可能性があります。

確定申告の期限が過ぎたら

確定申告の期限が過ぎたら

故意でなく、無申告になってしまうケースもあります。

税務調査があってから申告をする場合と、期限が過ぎていたとしても自主的に申告する場合では課されるペナルティが異なります。

確定申告の期限が過ぎた際の対処法やペナルティの違いについて、ご紹介します。

  • 自主的に申告をした場合
  • 期限を過ぎるとかかる延滞税
  • 青色申告者の場合

自主的に申告をした場合

確定申告の申告期限が過ぎた後に、自主的に申告をするとペナルティとして課される無申告加算税の割合が軽減されます。

「期限後申告」という扱いになり、税率は5%になります。

本来無申告加算税は15%~30%かかるので、税務調査が入る前に自主申告をした方が追徴課税の負担を抑えられます。

また期限後申告は延滞税がかかってきます。

納税日が早い方が延滞税も抑えられますので、無申告に気付いたら1日も早く申告・納税しましょう。

期限を過ぎるとかかる延滞税

延滞税とは、納税期限までに納付されない場合に加算されるもので、利息に相当する税金です。

法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税が課され、2ヶ月を経過するまでは7.3%なのに対し、2ヶ月を経過すると14.6%と税率が上がります。
(参照:国税庁|延滞税について

確定申告の提出や納税が遅れてしまうと、日数に応じて延滞税が加算されます。

例えば、税務調査で5年前まで遡って調査された際に追徴課税された場合は、5年分の延滞税が課されてしまいます。

青色申告者の場合

青色申告の事業者となると、最高で65万円の控除が受けられるというメリットがあります。

しかし青色申告者が期限を過ぎてから確定申告をすると、控除額が10万円となってしまいます。

最大で55万円分の控除額が減る計算になりますので、
納めるべき税金の額が増えてしまう可能性があります。

期限を過ぎても無申告加算税がかからない条件

期限が過ぎると無申告加算税の対象ですが、以下のような条件に該当する場合は無申告加算税の対象にはなりません。

  • 無申告に正当な理由がある
  • 期限後申告から自主的に1ヶ月以内に申告されている
  • 過去5年間で無申告加算税・重加算税が課せられていない
  • 期限後申告の後、税額を期日までに納付している

参照:国税庁|No.2024 確定申告を忘れたとき

ここでの正当な理由とは、災害発生または交通や通信の途絶などが該当します。

期限後申告から1ヶ月以内に自主的に申告をすれば、
無申告加算税は課せられませんので、早めの申告を心がけましょう。

無申告加算税に関するよくある質問

無申告加算税に関するよくある質問

無申告加算税に関するよくある質問を集めました。

  • 無申告加算税は非課税になりますか?
  • 無申告がバレない方法はありますか?
  • 無申告は何年前まで遡りますか?

無申告加算税は非課税になりますか?

無申告加算税は、5,000円未満の場合は非課税となり納付は不要です。(国税通則法第119条による)

また本来の税金が1万円未満の場合も、無申告加算税はかかりません。

国税は端数を切り捨てるというルールがありますので、課税額が少額だと結果的に非課税となります。

無申告がバレない方法はありますか?

無申告がバレない確実な方法はありません。

銀行のお金の流れやクレジットカードの利用履歴を見ていたり、取引先が税務調査の対象になったためにバレてしまうというケースもあります。

利益が少ないから税務調査の対象とならないというわけでもありませんので、無申告を隠そうとせずに、気付いたら早めに自主申告するようにしましょう。

無申告は何年前まで遡りますか?

所得税や法人税の無申告の時効は、法定申告期限から
5年となっています。

法定納期限から5年経過すると、国税の徴収権が時効により消滅します。

ただし、悪質であると判断されると7年遡って、未納付分の税金と重加算税を納付します。

無申告の重加算税を防ぐには

無申告加算税が課せられないようにするには、
期限までに確定申告をし、適正な納税をするようにしましょう。

2024年1月1日からは税制が改正され、加重措置がとられるようになりました。

無申告加算税だけでなく、重加算税が課されるとさらに税率は高くなり、延滞税もかかるため大きな負担となります。

自主申告をすれば追徴課税が抑えられますので、無申告に気付いたら早めに申告をするようにしましょう。

また税務調査への対応が得意な顧問税理士を依頼するのも、対策のひとつとなります。

知識や経験の豊富な税理士を探し、クリーンな申告ができるようにしておきましょう。

 


 

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インフルエンサーにも税務調査が入った!売上の計上漏れは悪質な脱税と見られるのか

2024.01.24

SNS上で多数のフォロワーを持つ人物はインフルエンサーと呼ばれています。2023年、インフルエンサーの女性9人が税務調査によって多額の申告漏れを指摘されたことがニュースとなりました。インフルエンサーとして商品などの宣伝をしたことで得た報酬を正しく申告しなかった場合、脱税の罪に問われることになるのでしょうか。
今回は、税務調査でインフルエンサーの申告漏れが指摘されたニュースをもとに、SNSと税務調査のつながりについてご説明します。



税務調査でインフルエンサー9人に合計3億円の申告漏れの指摘

東京国税庁が行った税務調査の結果、9人のインフルエンサーが2021年までの6年の間に、合計3億円もの申告漏れがあったことがニュースとなりました。このニュースの概要を確認してみましょう。

インフルエンサーの報酬の仕組み

インフルエンサーは、SNS上で多数のフォロワーを持ち、大きな影響力を持つ人です。インフルエンサーがSNSで紹介した商品は、フォロワーの目に留まり、購買活動につながります。そのため、多くの企業がインフルエンサーを活用した宣伝活動を始めるようになりました。
インフルエンサーは、ほとんどの場合、直接的に企業と契約をするのではなく、広告代理店を通じて宣伝業務を請け負います。代理店経由で紹介された商品やサービスを所有するSNSで紹介すると、フォロワー数などに応じて報酬を受け取ることができるというわけです。

税務調査でインフルエンサーの申告漏れが多数発覚

東京国税局では、インフルエンサーを対象に税務調査を行ったところ、そもそも確定申告をしていなかったケースや報酬の一部を申告していなかったケースが発覚しました。中には、SNSの宣伝活動で得た報酬を海外のペーパーカンパニーの収入のように装っているケースもあったようです。

インフルエンサーに課された追徴税額は合計8,500万円ほどに

税務調査によって確定申告を正しく行っていないことが発覚し、納税額が不足していた場合には、不足分の税額を納めなければなりません。さらに、確定申告をしていなかった場合には無申告加算税、所得を低く申告していた場合には過少申告加算税、納税が遅れたことに対して課せられる延滞税などの加算税の支払いも必要となります。インフルエンサー9人に対して課せられた追徴税額は、合計すると8,500万円程度に上るとされています。

インフルエンサーに税務調査が入った理由とは

インフルエンサーのほとんどは、個人のSNSアカウントで商品やサービスを紹介する個人事業主に該当します。なぜ、企業ではなく、個人のインフルエンサーに税務調査が入るようになったのか疑問を感じる人がいるかもしれません。しかし、税務署はインフルエンサーに注目し、積極的に税務調査を行っているのです。

SNS広告市場の急激な拡大

インフルエンサーが税務調査の対象になるケースが増えている背景には、SNS広告市場の急成長が挙げられます。インフルエンサーを活用したプロモーション施策などを行っている株式会社サイバー・バズが2022年に行った国内ソーシャルメディアマーケティングの市場動向調査では、2020年に5,971億円だったソーシャルメディアマーケティング市場は、2023年には2倍近くの10,899億円にまで成長するとされています。さらに、2027年には1兆8,868億円にまで成長すると予測されているのです。
このデータは、ソーシャルメディアマーケティング全体の市場を示すものです。そのため、この数字にはインフルエンサーを活用した宣伝活動だけでなく、ソーシャルメディアに出稿するソーシャルメディア広告なども含まれています。
では、インフルエンサーを活用したインフルエンサーマーケティングだけに注目してみると市場規模はどのように変化しているのでしょうか。
同調査によると2020年のインフルエンサーマーケティング市場は332億円でした。しかし、2023年には2020年の2倍以上となる741億円、2027年には約4倍の1,302億円にまで増大すると推測しているのです。

出典:サイバー・バズ/デジタルインファクト調べ

税務調査官もSNSをチェックしている

税務調査の目的は、公正な納税を実現することです。不正を行い、正しく納税しない人や企業がそのまま黙認されていれば、正しく納税している人や企業が損をする社会となってしまいます。
SNSの利用が拡大し、SNSに自分の生活の様子を頻繁にアップする人が増えてきました。中には、豪華なマンションに住み、高級な車を所有し、高級ブランドのバッグやアクセサリーなどを披露している人もいます。そのような人が確定申告をしていなかったり、申告をしていても申告額が小額だったりする場合、申告内容と生活レベルの整合性が取れません。
SNSでの豪華な生活ぶりをきっかけに、脱税行為が発覚し、逮捕された事件を覚えている方もいらっしゃるでしょう。青汁王子として知られるこの人物は、架空の広告宣伝費を計上し、2年の間に約1億8,000万円の法人税の支払いを免れたとして、法人税法違反、いわゆる脱税の容疑で逮捕されたのです。東京地方裁判所は、懲役2年、執行猶予4年、法人に対して罰金4,600万円の有罪判決を言い渡しました。
また、このほかにも、裁判の証拠として国税側がSNSを記録した画像を提出し、証拠として認められたケースもあります。また、SNSをきっかけに確定申告をしていなかったことや過少に申告していた事例も多数発覚しており、税務調査官は不正を調べる手段としてSNSを活用していると考えられるのです。
SNSを税務調査官がチェックしていれば、インフルエンサーが収入を得ていることについても情報を得られるでしょう。インフルエンサーの申告漏れが発覚した理由については明確にされていません。
しかし、インフルエンサーにとって収入を得る手段であったSNSを調査官がチェックしていたことで不正が発覚したとも考えられるでしょう。

広告代理店の税務調査から発覚する例も

インフルエンサーのほとんどは、広告代理店から宣伝業務を委託され、SNSで商品やサービスの紹介をしています。広告代理店は、インフルエンサーへの宣伝を希望する企業から広告費を受け取り、その一部をインフルエンサーに報酬として渡しているのです。
インフルエンサーと広告主の橋渡しをしている広告代理店に税務調査が入れば、取引の状況がチェックされ、報酬を支払ったインフルエンサーの名前が分かります。インフルエンサーの申告状況をチェックすれば、報酬として支払われた額と所得として申告された額の違いが判明し、不正が発覚するでしょう。
インフルエンサーの売上計上漏れは、契約を結んでいた広告代理店に対して行われた税務調査から発覚している可能性も考えられます。

密告から不正が発覚するケースもある

国税庁では、課税や徴収漏れに関する情報を受け付けています。国税庁のホームページにも情報提供フォームが用意されており、個人情報を漏洩する恐れはないことを示したうえで、不正をしていると思われる人や企業を報告できるようになっているのです。 実は、第三者の密告から税務調査が行われ、不正が発覚するケースは少なくありません。
インフルエンサーとして多額の収入を得て豪勢な生活をしているにもかかわらず、正しく納税をしていないことを知る人がいれば、税務署に密告される可能性もあるでしょう。インフルエンサーの不正は、密告がきっかけで発覚したとも考えられます。

インフルエンサーでも確定申告は必要

会社員として働く場合、勤め先の企業が給与から所得税や住民税を差し引き、納税をしているため、1社だけで働いている会社員は、確定申告は不要です。しかし、個人事業主やフリーランスの場合、会社員のように収入から自動的に所得税や住民税を引かれることはありません。そのため、1年間の所得額を計算し、所得額に応じた所得税や住民税の額を算出して納税する必要があるのです。この手続きを確定申告と言います。
また、個人事業主やフリーランスの人、全員に確定申告の義務があるわけではありません。
確定申告が必要になるのは、個人事業主またはフリーランスのインフルエンサーとして活動し、1月1日から12月31日までの間に48万円以上の所得を得た場合です。また、会社員として働き、副業でインフルエンサーとしての報酬を得ている場合は、給与以外に年間20万円以上の所得を得た場合に、確定申告をしなければなりません。



インフルエンサーの売上の計上漏れは、脱税になるのか?

インフルエンサーの売上の計上漏れが発覚した場合、脱税の容疑で逮捕に至る可能性はあるのでしょうか。税務調査で不正が発覚した場合のリスクをご説明します。

不正が発覚した場合は、加算税が課せられる

税務調査によってインフルエンサーの不正が発覚した場合、正しい所得額を計算して、確定申告をし直し、納税する必要があります。
そもそも確定申告をしていなかった場合には、所得額に応じた所得税と無申告加算税、延滞税を加えた額の納税が必要です。無申告加算税とは、確定申告をすべき期限までに確定申告をしなかったことに対するペナルティで、課税割合は税額によって異なります。本来納めるべき税額との差額に対して、50万円までの部分には15%、50万円以上300万円以下の部分には20%、300万円超の部分には30%の割合が加算されます。
また、確定申告をしていたものの所得を低く申告していた場合には、過少申告加算税と延滞税が加算されます。過少申告加算税は、期限内に申告はしたものの内容に不備があり、修正申告が必要になった場合に課される加算税で、課税割合は本来納めるべき税額との差額に対して10%です。しかし、差額が期限内に申告した税額または50万円のうち、いずれかよりも大きい金額であった場合には、課税割合は15%となります。
延滞税は、税金の納付が遅れたことに対するペナルティで、利息に相当する額が課せられます。

インフルエンサーの不正が脱税と判断されるケース

脱税とは、納めなければならない税額を納めず、所得税法や法人税法などに違反して、起訴され、有罪になる行為です。脱税の罪に問われると、無申告加算税や過少申告加算税に代えて、より課税割合の重たい重加算税が加算されます。無申告であった場合の重加算税の割合は40%、過少申告だった場合の重加算税の割合は35%です。
しかし、全ての過少申告や無申告が脱税の罪に問われるわけではありません。脱税と判断されるのは、仮装隠蔽があり、悪質性が高いと判断された場合です。一般的に、1億円以上の課税逃れがあった場合で、手口が悪質であると判断された場合には、起訴されることが多くなります。また、脱税は犯罪であり、脱税の可能税が高い場合には税務署ではなく国税庁が調査を担当し、任意の税務調査ではなく、事前通知なしに急に調査が始められる強制調査が実施されます。
インフルエンサーであっても、故意に所得を隠した場合で、1億円以上の課税逃れが発覚した場合には、脱税と判断されるのです。

脱税と判断された場合のリスク

脱税が発覚すれば、重加算税や延滞税を加えた追徴課税が行われるだけではありません。刑事事件となることもあるため、裁判に訴えられ、罰金や懲役が科される可能性があるのです。インフルエンサーとしてSNSで手軽に報酬を得られるようになった今、確定申告の必要性を知らなかったという理由や報酬が税務署にバレるはずはないだろうといった理由で確定申告をしていない人もいるでしょう。しかし、これだけSNSが普及していることから税務調査官もインフルエンサーをはじめとした、インターネット上の取引に目を光らせています。インフルエンサーとして収入を得ているけれど、確定申告をしていないという方は、早めに税理士に相談し、税務調査が行われる前に申告することをおすすめします。

まとめ

インフルエンサーが税務調査の対象になり、多額の申告漏れが指摘されました。年々、インターネットで収入を得る人は増えており、申告漏れが目立つようになってきたことから、インフルエンサーを対象とした税務調査も増えています。税務調査で確定申告をしていなかったり、所得を過少に申告していたことが発覚すれば、無申告加算税や過少申告加算税が課せられ、本来の税額よりも多くの税金を納めなければならなくなります。
また、課税逃れの額が大きく、悪質性が高いと判断されれば、脱税とみられる可能性もあります。 税務調査の目に自主的に修正申告をすることでペナルティを軽減できる可能性があります。インターネットで収入を得ているにもかかわらず正しく納税してこなかった場合は、早めに税理士法人松本にご相談ください。



税務調査で接待交際費が否認された!否認されやすい交際費ポイントについても解説

2024.01.10

接待交際費は、他の勘定科目と間違えて計上してしまう場合や、接待交際費としては計上できない支出を計上してしまうことなどが多く、税務調査ではチェックされやすい科目です。実際に、税務調査で接待交際費が否認されるケースは少なくありません。では、税務調査では接待交際費のどのような点がチェックされやすいのでしょうか。
今回は、税務調査でチェックされやすい接待交際費のポイントと、接待交際費が否認された場合のリスクについてご説明します。



接待交際費とは

接待交際費とは、法人が事業に関係する人を対象として接待をした場合や、贈り物をした場合などに発生した費用を計上する勘定科目です。しかし、接待交際費の基準をしっかり理解していないために、接待交際費としては計上できない支出も接待交際費として計上してしまうケースも少なくありません。税務調査で否認されないためにも、接待交際費として処理できる費用と接待交際費としては扱うことができない費用を確認しておきましょう。

交際費についての定義

国税庁では交際費について次のように示しています。

・交際費等とは
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入れ先その他事業に関係のある者などに対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「接待等」といいます。)のために支出するものをいいます。

・交際費等の範囲から除かれるもの
1. 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
2. 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員もしくは従業員またはこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
3.その他の費用
(1)カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
(2)会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
(3)新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、または放送のための取材に通常要する費用
(注) 上記2の費用の金額基準である5,000円の判定や交際費等の額の計算は、法人の適用している消費税等の経理処理(税抜経理方式または税込経理方式)により算定した価額により行います。

参照元:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

これらの情報を読み取ると、接待交際費として扱える費用と扱えない費用は次のように分けることができます。

接待交際費に含まれるもの

接待交際費として扱える支出は次のようなものです。
・取引先企業が主催するイベントの参加費
・取引先に送るお中元・お歳暮の費用
・1人当たり5,000円以上の取引先との食事会の費用
・取引先に招待されたゴルフコンペの費用
・仕入れ先の新社屋完成に伴うご祝儀
・取引先担当者が逝去した場合の香典

接待交際費には含まれないもの

次のような支出は、接待交際費としては認められません。
・従業員の慰安を目的に開催したイベントの費用
・取引先に配布するための社名入りのカレンダーや手帳の作成費
・取引先から接待を受けるために発生した交通費
・応援する政治家や政党への献金
・個人的に贈るプレゼントやお中元・お歳暮の費用

法人の規模によって異なる接待交際費の会計処理

接待交際費は、法人の規模によって損金として算入できる額が異なります。

期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人の場合

期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人の場合は、次の①、②のいずれかの金額を損金として計上することができます。
①接待交際費等の額のうち、年間800万円までの金額
②接待交際費等のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用の50%相当額

期末の資本金の額または出資金の額が資本金1億円超100億円以下の法人の場合

資本金1億円超、100億円以下の法人では、接待交際費等のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用の50%相当額を上限として損金計上が可能です。

期末の資本金の額または出資金の額が資本金100億円超の法人の場合

資本金100億円超の法人では、接待交際費を損金として算入することはできません。取引先や仕入れ先などを招待して食事会を開催した場合も、その額を経費として扱うことはできないため注意が必要です。

税務調査で接待交際費がチェックされる理由

接待交際費は税務調査でチェックされやすいポイントです。接待交際費には、事業に関係する人たちを接待するための会食費用やプレゼントの費用、ご祝儀・香典など、幅広い範囲が含まれます。そのため、飲食費用や旅行代金、プレゼント代など、プライベートの支出などを接待交際費として計上し、損金として扱おうとするケースが後を絶たないのです。プライベートの費用と事業のための費用の線引きが難しい側面があることから、税務調査では接待交際費を厳しくチェックされることが多いのです。



税務調査で接待交際費が否認されやすいケースとは

では、税務調査で接待交際費が否認されやすいのはどのようなケースでしょうか。具体例をいくつかご紹介しましょう。

プライベートな食事会の費用を接待交際費として計上している

社長や役員が個人的に行った食事会の費用は、接待交際費として計上することはできません。接待交際費として計上できるのは、取引先など、事業と関係している人を接待するためにかかった費用です。税務調査で社長や役員のプライベートな支出であると判断された場合は、損金として計上できず、臨時に支給される役員報酬として計上するように言われてしまうこともあります。

従業員だけが参加した忘年会の費用を接待交際費として計上している

従業員を対象とし、従業員の慰安を目的に開催した忘年会の費用は接待交際費ではなく、福利厚生費となります。

プライベートな目的で購入したプレゼント代を接待交際費として計上している

取引先や仕入れ先などへの贈り物ではなく、家族や知り合いなどに贈るために購入した品物の経費を接待交際費として計上しているケースがあります。接待交際費として計上できるのは、事業に関連する人に対しての贈り物にかかった費用のみです。プライベートな支出は接待交際費としては扱えません。

接待のために行った食事会の費用を1人当たり5,000円以下になるよう偽装した

1人当たり5,000円以下の飲食代は、接待交際費として計上せず、会議費として計上するケースが多くなっています。会議費は損金算入ができ、接待交際費のような総額の上限がありません。そのため、人数を水増しし、1人当たりの金額が5,000円以下になるように偽装するケースがあります。
税務調査で人数を水増ししたことが発覚すれば、会議費としての計上は否認され、接待交際費として処理しなければなりません。

取引先との飲食費用を福利厚生費として計上している

取引先を招いた接待の費用を、接待交際費として計上すると上限額を超える可能性がある場合、従業員の慰安を目的とした食事会と偽り、費用を福利厚生費として計上するケースがあります。福利厚生費として計上できる忘年会や新年会などの費用は、社員全員が参加可能な場合です。参加人数等からして従業員全員が参加する規模の食事会ではないと判断されれば、その費用は接待交際費または損金に計上できない費用として取り扱われることとなります。

事業とは関係のない相手に贈ったお歳暮・お中元を接待交際費として計上していた

規模の小さい法人の場合、取引先だけでなく、知人や親戚に送ったお歳暮やお中元の費用も接待交際費として計上しているケースがあります。売上規模から考えた時に接待交際費の額が大きい場合は、プライベートの費用も含めて計上しているのではと疑われる可能性があります。
事業に関係のない相手に送ったお中元・お歳暮の費用は、接待交際費としては計上できません。

役員に対する渡し切り交際費を接待交際費として計上していた

役員に対し、接待に使う費用として前渡しする費用で、使途や使用金額を問わない費用を渡し切り交際費といいます。渡し切り交際費は、使用後に清算することもないため、接待交際費として計上することはできません。渡し切り交際費を接待交際費として計上していた場合、接待交際費は否認され、支給された渡し切り交際費は臨時に支給される役員報酬として扱われます。

税務調査で接待交際費が否認された場合のリスク

もし、税務調査で接待交際費が否認されてしまった場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。

所得金額が増えるため、追徴課税がなされる

法人税は、課税所得×法人税率で計算されます。課税所得とは益金から損金を差し引いた金額です。課税所得額が大きくなればなるほど、納めるべき税金は高くなります。
税務調査で接待交際費が否認された場合は、損金としての計上ができない可能性があります。損金が減れば課税所得額が大きくなるため、法人税の納税が不足することとなります。そのため、接待交際費が否認された場合は、不足分の法人税と過少申告加算税、延滞税などの加算税を加えた額の納税が求められる可能性があります。

接待交際費の上限を超えた場合は、損金として計上されない

本来は接待交際費として計上すべき額を会議費や福利厚生費などとして計上していたことが発覚した場合、接待交際費として計上し直さなければなりません。期末の資本金の額または出資金の額が1億円以下の企業では、損金として計上できる接待交際費の額は、年間800万円、または飲食代の50%までのいずれかです。接待交際費として使用した飲食代が1,600万円以上の場合は問題ありません。しかし、年間の接待交際費の総額が800万円以内であった場合、別の勘定科目で処理していた費用を接待交際費として計上しなければならなくなった時、接待交際費の総額が800万円を超えてしまうケースもあります。その場合は、800万円を超えた分は損金として計上できないのです。
例えば、税務調査後に年間の接待交際費が1,000万円と修正された場合、上限の800万円との差額である200万円分は損金不算入となるため、課税所得額が200万円増え、不足した分の追徴課税がなされます。

役員報酬とみなされた場合は、役員の所得税・住民税の追徴課税がなされる

接待交際費の否認が影響を与えるのは、法人税だけではありません。役員のプライベートな支出であると判断され、接待交際費が否認された場合、接待交際費として計上していた費用が臨時的な役員報酬として扱われた場合、役員報酬は損金算入ができないため、法人税の追徴課税がなされますが、役員の所得額もアップするため、役員個人が支払う所得税額や住民税額も高くなります。したがって、税務調査で役員報酬と認定された場合、役員個人に対しても追徴課税がなされる可能性があるのです。

税務調査に不安を感じたら税理士に相談を

税務調査では、接待交際費が本当に事業に関連した支出であるのか、プライベートな支出を計上していないか、細かなチェックがなされます。また、接待交際費を低く装うために本来は接待交際費として計上すべき支出を、他の勘定科目に計上していないかという点も確認されます。
税務調査で接待交際費を否認されないためには、領収書や支払いの目的などを示す書類を残すだけでなく、接待の場に参加した人の勤務先や参加した人の氏名や人数、自社との関係性などについても記録しておくことが大切です。また、接待交際費として計上してよい支出かどうか判断が難しいケースもあるでしょう。そのような場合は、適切な処理の方法について税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

接待交際費はプライベートな支出との線引きが難しいケースもあり、他の支出との区別が難しいケースもあることから、税務調査では必ずと言っていいほどチェックされる項目です。税務調査で接待交際費が否認された場合には、不足分の税金の納税に加え、過少申告加算税や延滞税などの支払いも必要になります。また、接待交際費が否認されて役員報酬と認定された場合には、役員個人の所得税や住民税に対しても追徴課税が行われます。
税務調査で接待交際費を否認されないためには、事業に関連した支出であることを証明するため、領収書の他に参加者の名前や人数なども記録しておくことが大切です。
税理士法人松本は、税務調査に強い税理士集団です。接待交際費の処理にお悩みの場合や、すでに税務調査が入り、接待交際費についての指摘を受けてお悩みの場合などは、お気軽にご相談ください。初回の電話相談は無料で承っています。



無申告でも税務署に目をつけられず、副業分の収入を確定申告しなくてもバレない方法ってあるの?

2023.11.06
無申告のままバレない方法ってそもそもあるの

確定申告は、慣れないうちは大変に面倒な作業であるため、本業分は会社が行う年末調整で完了しているので、副業分の収入を確定申告しなくてもバレない方法があるなら知りたい、と考える方も多いのではないでしょうか。
ここでは、申告をしない無申告の状態でもバレない方法の有無や、バレる場合の事例などについて紹介しています。現在、確定申告をしておらず、無申告のままでよいのか気になっている方にも役立つ内容となっています。
もし、これまで無申告をずっと続けており、対応に困っているお客様は初回電話相談無料にて、いますぐ相談予約をしてください。 お客様のお近くのエリア担当から折り返しご連絡させていただきます。



無申告のままバレない方法はある?

無申告のままバレないかどうかは運によるところが大きい

「副業分の収入はそもそも申告をしていないのだから、税務署にバレることはないだろう」という考えは、完全に間違っているとは言い切れない部分もあります。
なぜなら、税務調査の対象となるのは、前年度に確定申告をおこなった事業者が対象となるため、税務署が事前に調査対象を絞り込む段階では、無申告の人がピックアップされることはないからです。 実際に、無申告を何年も続けているのに何も起こっていない人もいるため、「下手に申告期限を過ぎてから申告した方が、税務署に目をつけられるのではないか」と考えたくもなるでしょう。

既に税務署が無申告を突き止めている場合も

結論からいうと、無申告がバレない確実な方法は存在しません。 ただ、たまたま税務署のチェックをすり抜けていて、現時点では調査対象となっていないケースは実際にあるため、「とりあえず無申告のままでいて、バレるまで運を天に任せる」というのが唯一の方法と言えなくはないでしょう。
しかし、後で解説するように、たとえ申告していなくても税務署はあらゆる方法を駆使して無申告者の存在を確認しています。現在バレていないと思っているだけで、実はすでに無申告であることが税務署にバレており泳がされている状態かもしれないのです。
もし、すでに税務調査が入っており、対応に困っているお客様は初回電話相談無料にて、いますぐ税理士法人松本までお電話ください。 お客様のお近くのエリア担当者から折り返しご連絡させていただきます。



無申告がバレてしまうのはどんな時?

無申告がバレない確実な方法はありませんが、バレてしまう事例は非常に多いものです。以下に例として、無申告がバレたケースをいくつか挙げていきましょう。

通帳などの銀行口座からお金の動きを見ている

税務署では、銀行口座などについて、その動きをチェックすることが可能です。数百万など大きな額の入金があったり、毎月定期的に一定の業者から送金を受け取っていたりする場合、そこから名義人の申告状況をチェックして無申告がバレることがあります。
また、昨今のデジタル化に伴い、銀行間のやり取りもオンラインで取引されるようになり、紙媒体で行われていた時よりもスムーズに調査が行えるようになっています。 税務署から税務調査の連絡を受けた段階で、銀行で取引している入出金履歴については、ある程度把握されていると考えておいた方がよいでしょう。

車や住宅ローンを組んだ内容もチェックされる

車や住宅など、ローンを組んで何かを購入する際、所得を証明する書類が必要となります。 賃貸住宅を契約する際にも、前年度の確定申告書控えなどは必須となっているケースがほとんどであるため、税務署にバレていなくても申告せざるを得ない状況となってしまうことは多いでしょう。
また、住宅を購入した場合、税務署では購入資金がどこで調達されたものかをチェックすることがあります。ローンも組んでおらず、銀行から大きな額の出金もないのにどうやって住宅を購入したのかが不明な場合、実際には収入があるのに無申告なのではないかと疑われる要因となるでしょう。

クレジットカードの使用もチェックされる

クレジットカードは何枚持っていても便利ですよね。税務署の人はクレジットカードの使用額にも目をつけています。クレジットの使用額がとてつもなく高いのに、申告した収入がその使用額に見合っていないと、さすがに税務署の人も気付いてしまいます。また、口座にお金を入れていないのに、日ごろからカードやキャッシュレス決済で買い物をしてしまうと、記録が残ってしまいます。その記録から、税務署はどんな生活をしているかが想像出来てしまうのです。申告実態に乖離したクレジットカードの使用はしていませんか。
実は、副業分の収入を申告せずにごまかしていました、あるいはカードの使用額がすごい金額になっていますという方、申告しいた収入と乖離があったとしても、修正申告を行うことでまだ間に合います。税理士法人松本では、修正申告のサポートも行っております。不安に思った方、ぜひお電話またはLINEにてお問い合わせください。

得意先への調査からチェックされる

反面調査で無申告がバレるのも要因の1つです。 取引をしている得意先に税務調査がやってきて、帳簿や口座の履歴などを確認した結果、自分のところへも税務調査がやって来る場合があります。 「得意先に税務調査が入ったと聞いたが、自分のところへは何も連絡がない」という場合でも、油断はできません。 その時点で無申告であることを掴んでいても、税務署はすぐには調査に訪れず、数年ほど様子を見ることもあるからです。 無申告の期間が長期化するほど、重加算税や延滞税、無申告加算税などの課税額は大きくなります。また、違法性や悪質性の度合いも高まるため、税務署がより確信を持って税務調査に訪れる機会をうかがっている可能性は高いでしょう。
最近では、副業先の取引先に税務調査が入り「自分にも税務調査が入るのではないか」「取引先に税務調査が入り、自分にも税務調査の連絡がきた」など多くの問い合わせをいただいております。副業の収入だから申告しなくてもいいかは通用しないのが現在の状況です。 取引先に申告していないことがバレて、信用問題に発展しかねないので、注意が必要です。 このほかにも、マイナンバーやネットの掲載情報、第三者からのリーク、税務署が持つ権限など、さまざまな方法を駆使して、税務署は無申告状態を突き止めます。 税制改正やチェック機能の刷新なども定期的におこなわれているため、無申告は年々バレやすくなっています。 周囲の人から無申告をすすめる情報や、バレない方法などについては鵜呑みにせず、「無申告はいつか必ずバレる」と理解しておきましょう。

知人や友人からのタレコミ情報

税務署へのタレコミから税務調査が行われるケースもあります。国税庁の公式サイトには情報提供に関するフォームが用意されており、そちらに入力して送信することで簡単にタレコミをすることが可能です。そのため、税務署・国税庁には、知人や友人などの第三者による恨みや妬みからくるタレコミ情報が多く寄せられています。タレコミ情報には、信憑性が高いものからデマの情報まで、さまざまな内容が寄せられているため、税務署も実際に動くかは慎重に検討しています。
また、副業などでかなりの収入を上げているにもかかわらず、無申告状態のままSNS上でキラキラ投稿を繰り返していた場合、投稿を目にした税務署には目を付けられていると考えましょう。

副業収入分を確定申告していない方は注意が必要

1年間副業で稼いだ所得が20万円を超えると確定申告が必要になります。 しかし、20万円を超えていないから申告をしなくてもいいというわけではありません。所得金額の合計額(給与所得や退職所得以外)が20万円以下の場合申告が不要なのは所得税の規定で、住民税にはそのような規定はないため、所得があれば申告は必要なんだと覚えておきましょう。
副業収入分を確定申告せず無申告でいると、申告によって本来支払うべきだった金額に、次のようなペナルティを上乗せして支払う可能性があります。

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・副業で確定申告していない人は多い?

無申告から抜け出すにはどうしたらいい?

いつバレるかわからない状態で、ドキドキしながら無申告を続けるよりも、早い段階で自主的に申告するのが最善であることは言うまでもありません。 「違法だから誰にも相談できない」「重い税金を払える自信がない」という方は、以下に紹介する方法を検討してみましょう。

差し押さえなどのリスクを回避するためには専門家へ相談を

無申告であることを不用意に打ち明けると、そこから悪い事態へ進み、家族や取引先に迷惑をかけてしまうと考え、誰にも相談できずに悩みを抱えるケースは多いものです。 納税の義務は重く、現在支払えるだけの余裕がなかったとしても、税務調査で資産や銀行口座、年金や保険金まで差し押さえられることもあります。 そうなる前に、まずは無申告から期限後申告までのサポートを依頼できる専門家の窓口へ繋がることが大切です。

合法的に節税対策を取って期限後申告を

信頼できる税理士事務所へ依頼すれば、長年無申告を続けている人であっても、合法的に節税対策を取りつつ、正しい申告書類を作成して納税額を見積もることができます。 ペナルティとなる税率は、納めるべき税金に対して課税されるため、収支を明らかにして税額が判明すれば、思ったよりもずっと少ない額の追徴課税で済む可能性もあるのです。 税務署では、自主的に申告する場合、過去5年分までの期限後申告を受け付けています。まずは無申告の取り扱いに実績のある税理士事務所の無料相談を利用して、勇気を持って現状を打ち明けてみるところから始めましょう。

まとめ

無申告のままでバレない確実な方法はなく、いつかは必ずバレる可能性の方がはるかに高いものです。 無申告状態ではローンや各種契約などもできないケースが多いため、不自由な生活を強いられる機会も多いでしょう。
こうしたリスクや負担を換算した場合、しっかりと節税対策をして申告した方がずっと費用対効果は高いといえます。自分の力ではどうしたらよいかわからない時は、信頼できる税理士事務所の無料相談をぜひご利用ください。

帳簿がないのに税務調査の連絡が入ったらどうする?対処法とは

2023.11.01

税務調査とは、納税者が申告した内容が正しいかどうかをチェックする国税庁が管轄する税務署などの機関による調査です。税務調査では、事業の取引やお金の流れなどを記録した帳簿を確認しながら、申告内容と相違がないか細かな確認を行います。
本来、事業による所得があれば、しっかりと帳簿をつけて、日々の資産状況の変化を記録していかなければなりません。しかし、納税者の中にはそもそも確定申告をしていなかったり、帳簿をしっかりとつけていなかったりしたために、税務調査の連絡を受けても帳簿がないと焦ってしまうケースがあります。もし、帳簿がないにもかかわらず、税務署から税務調査に入る旨の通知を受けた場合にはどのように対処すればよいのでしょうか。
今回は、帳簿がない場合の税務調査時の対応方法についてご説明します。



税務調査で必要な帳簿とは

税務調査では、調査官が事務所や店舗を訪れ、さまざまな帳簿を確認しながら申告内容の確認をしていきます。税務調査で確認されることの多い帳簿や書類は次のようなものです。

・総勘定元帳
・入出金振替伝票
・現金出納帳
・当座預金出納帳
・受取手形記入帳
・支払手形記入帳
・売掛帳
・買掛帳
・棚卸表
・見積書
・注文書
・契約書
・納品書
・請求書
・領収書
・決算書 など

税務調査で帳簿がない場合のリスク

令和4年度税制改正によって、帳簿がない状態や記帳が正しく行われていない状態を防ぐため、過少申告加算税と無申告加算税の加重措置が講じられることとなりました。
つまり、税務調査において必要とされる帳簿がない場合のリスクが大きくなったのです。

無申告加算税と過少申告加算税

令和4年度の税制改正についてご説明する前に、まずは確定申告を正しく行わなかった場合のリスクからご説明しましょう。
確定申告が必要であるにもかかわらず、確定申告をせずに、納税していなかった場合にはペナルティとして「無申告加算税」が課せられます。令和5年分以降に関しては、納付すべき税額に対して50万円以下の部分に関しては15%、50万円超~300万円以下の部分に関しては20%、300万円超の部分に関しては30%(一定の場合は20%)の無申告加算税が加算されます。
また、確定申告はしたものの、申告内容に誤りがあり、実際よりも少ない額を申告した場合には「過少申告加算税」が課せられます。過少申告加算税が課せられると、本来納めるべき税金との差分を納める際に、差額の10%相当額を加えた額を納めなければなりません。また、期限内確定申告額と50万円のいずれか多い金額を超える分に関しては15%の割合で課税されます。

税務調査に必要な帳簿がない場合の加算税

税務調査で必要な申告をしていなかったことが発覚した場合には無申告加算税、正しい税額よりも少ない税額で申告していたことが発覚した場合には過少申告加算税の納付が必要です。これらは、本税(本来納めるべき税金)に加えて納付が必要になる税金であり、正しく申告を行わなければ納税者の負担は大きくなります。
さらに、税務調査が行われた際に必要な帳簿の提出を求められたものの、帳簿がない状態だった場合には、無申告加算税または過少申告加算税に10%を加重することが令和4年度の税制改正で決定しました。この決定により、帳簿がない場合の税負担はさらに重くなるのです。
なお、この措置は令和6年1月1日以降に法定申告期限となる所得税、法人税、消費税について適用されます。

青色申告が取り消しになる可能性も

確定申告はしていたものの、税務調査で帳簿がないことが発覚した場合、青色申告の取り消し処分を受ける可能性があります。青色申告は、正しい会計処理の元で申告・納税をしている場合に赤字を繰り越しできたり、青色申告特別控除を受けられたりといった特典が用意されている申告方法です。国税庁では、次のような場合に青色申告の承認を取り消すとしています。
・税務調査において帳簿書類を提示しない場合
・税務署長の指示に従わずに、帳簿の記録、保存をしていなかった場合
・隠ぺいまたは仮装の場合
帳簿がないという状態は、帳簿の記録、保存をしていなかった状態に該当します。従って、税務調査で帳簿がないことが発覚すれば、青色申告が取り消される可能性がもあります。

推計課税がなされる可能性がある

推計課税とは、青色申告ではなく帳簿などの資料が十分でない場合に、同規模同業者の状況や売上、仕入れの単価などから、収入や経費を推計し、課税する方法です。推計課税がなされれば、売上額が実際の状況よりも高く設定されてしまうことが多く、売上が高くなれば、所得も高くなり、課税される額も高くなってしまいます。
また、推計課税がなされれば消費税の仕入税額控除も受けられなくなる可能性が高くなり、消費税の負担額も大きくなるリスクがあります。

帳簿がないのに税務調査の通知が入ったら

税務調査が入るときには、税務署から事前通知がなされるケースがほとんどです。事前通知では、税務調査に入る日時や調査を行う場所、調査期間などが伝えられます。このとき、調査対象となる帳簿書類についても説明があるはずです。
本来、お金の流れについては帳簿に記載し、必要な期間、帳簿は保管しておかなければなりません。しかし、帳簿がない場合、税務調査時にはどのように対応すればよいのでしょうか。
帳簿がない状況で税務調査の連絡が入った場合に取るべき対応をご紹介します。

今ある書類を元に収益の集計をしておく

帳簿がない場合も、手元にある契約書や請求書、領収書などの書類を準備し、売上や必要経費の集計をしておきましょう。青色申告でもなく、まったく書類がない状況であれば、推計課税がなされる可能性が高くなってしまうため、少しでも税務調査を円滑に進めるために、あるだけの書類を使って、できる範囲で帳簿を作成しておくようにしましょう。

請求書や領収書などの書類を準備しておく

請求書や領収書などは、お金の動きを証明する書類でもあります。少しでも売上や経費の額を証明できる書類を準備しておけば、申告内容の根拠を示すことができます。また、社内資料などでも1件当たりの平均売上額や取引件数などを示す書類があれば、ある程度の年間売上額を算出できる可能性があります。
事業に関する数字を示す書類があれば、税務調査までに準備しておくとよいでしょう。

税務調査に強い税理士に相談をする

税務調査では、調査官が訪れ、必要な帳簿の提出を求めます。帳簿がなければ、帳簿がない旨を伝えなければなりません。少しでも追徴税額を抑えるためには、現状ある資料で用意した帳簿や領収書等の書類を提出した方がよいでしょう。
しかし、正しい帳簿の作成方法が分からなければ、調査官を納得させられるほど精度の高い帳簿は作れない可能性が高くなります。また、税務調査当日は、調査官からさまざまな質問がされますが、会計や税に詳しくない方の場合適切な対応ができないケースも少なくありません。
税務調査の経験が豊富な税理士であれば、帳簿がない場合の税務調査時の対応についても熟知している可能性があります。少しでも追徴税額を抑えるためのアドバイスも受けられるはずです。何より、税務調査当日に税理士に立ち会ってもらえれば、分からない質問がなされた場合にもサポートしてもらえるため、精神的にも心強いでしょう。
帳簿がない状態で税務調査の通知を受けた場合には、まずは税理士に相談してみることをおすすめします。

まとめ

納税の義務のある法人や個人であれば、誰もが税務調査の対象になる可能性があります。そのため、日ごろから帳簿をしっかりとつけておくことが大切です。しかし、税や会計についての正しい知識がないために、必要な帳簿がないまま税務調査を迎えてしまうケースもあるでしょう。
そのような場合は、税務調査の経験豊富な税理士法人松本にお気軽にご相談ください。これまでの豊富な税務調査の対応経験から、帳簿がない場合の対応についてのノウハウも保有しています。初回の電話相談は無料で承っています。土日祝日も対応していますので、税務調査にお悩みでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。



税務調査における反面調査とはどんな内容なのか?

2023.10.31

税務調査では、「反面調査」と呼ばれる調査が行われることがあります。反面調査はどのような理由で行われ、また実施された場合にどのようなリスクがあるのでしょうか。
ここでは、税務調査の反面調査の内容やリスク、注意点などについて解説しています。 取引先に税務調査が入り、自分のところにも税務調査がくることになりお困りの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



そもそも反面調査とは?

反面調査とは、税務調査の際に実施される調査の一つで、調査対象となった事業者の取引先に対して行われるものです。反面調査では調査対象者ではなく、調査対象者と関係のある取引先などに対して調査が行われます。もちろん、反面調査が行われるときには、調査対象となる納税者に対しても調査は実施されていますが、それだけでは十分な情報を得られない場合に反面調査が行われるのです。

通常の税務調査は自社が対象

通常の税務調査では、調査の対象となるのは自身の会社や事務所です。パソコンや各種書類、帳簿や通帳などから、過去の取引について申告内容と合致しているかを確認されることとなります。 調査対象となっている事業者や会社に残っているデータだけを調べても実態解明が難しい場合や、疑わしい点についてさらに情報が必要と判断された場合に、反面調査が実施されるのです。

反面調査では、得意先や銀行などへ問い合わせが行われる

反面調査では、得意先や金融機関など、調査対象と取引のある企業などに対して行われます。文書や電話で問い合わせをすることもあれば、相手先まで訪問して調査を実施することもあるのです。また、場合によっては自社の従業員や退職した従業員、その家族にまで聞き取りが行われるケースもあります。 反面調査では、得意先や銀行に対して、主に調査対象者との取引について確認や質問が行われます。

反面調査の方法

反面調査の方法は、通常の税務調査と同様です。 口頭で取引についての質問がなされ、帳簿や請求書など、調査対象者との関係性を示す書類の提示が求められます。

すべての税務調査で反面調査が実施されるわけではない

税務調査では、通常反面調査まで行われることはなく、対象となる事業者が保有している書類やデータのみの確認となるのが一般的です。
では、反面調査はどのような場面で実施されるのでしょうか。反面調査が実施されやすいケースについて、次章でさらに詳しく解説していきましょう。

反面調査が行われやすいケースとは?

反面調査が行われるケースとは、調査対象者の事務所や店舗などを対象に行った調査だけでは事業実態の把握が難しいと判断されたケースです。具体的には、税務調査において、以下のような状況となった場合は、関係先に対して反面調査が行われる可能性が高いでしょう。

過去の書類やデータが残っていない

税務調査では、過去3~5期分まで遡って調査や確認が行われます。この期間に起きた取引に関する情報や書類について、紛失や破棄といった理由で確認が困難となった場合、反面調査を実施する可能性が高まるでしょう。
また、過去の書類やデータを保管しているつもりでも、一部紛失していたり、データの削除や記入ミス、計上漏れなどによって事実関係が把握できなかったりする際にも、反面調査の対象となりやすいものです。

税務調査に対して協力的な態度でない

税務調査で求められた書類を提出しない、質問に答えない、威嚇や恫喝など穏やかなやり取りができないなど、調査に対して非協力的な態度を取っている場合も、対象者からは必要な情報が得られないと判断され、反面調査の対象となることがあります。

悪質な所得隠しなどが疑われる場合

提示する書類やデータが揃っており、税務調査で穏やかに対応していたとしても、反面調査の対象となるケースがあります。税務署の方で事前に多額の脱税や所得隠しといった情報を掴んでおり、税務調査でその事実確認ができない場合、取引先に対して反面調査が実施されやすいでしょう。 調査対象となる期間中に無申告期間が含まれる、過去に意図せず脱税が認められる行為が発覚したというケースでも、反面調査の可能性が高まります。
このように、反面調査が行われるケースは限定的であり、通常であれば取引先にまで連絡がいくことはありません。
ただし、税務署の方で反面調査が必要と判断された場合には、たとえ取引先と関係が悪くなる可能性があったとしても連絡されてしまうため注意が必要です。 取引先の税務調査で自分にも税務調査の連絡がきた方は税理士法人松本までいますぐお電話ください。



反面調査を回避するための対処法は?

反面調査が行われると、取引先から虚偽の申告をしているのではと思われ、信用を失ってしまうケースがあります。信用低下により、取引が停止してしまう可能性もあるでしょう。
また、銀行に反面調査が入ったことによって、融資がストップしてしまう恐れもあります。取引や融資に影響が生じれば、事業運営にも大きな影響が生じるでしょう。反面調査が行われると、さまざまなリスクが生じることを忘れてはいけません。
そのため、税務調査の対象となった場合には、反面調査が行われないように誠意をもって対応する必要があるのです。 反面調査のリスクを回避するためには、以下のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。

書類やデータはすべて保管しておく

過去の請求書、領収書といった書類や帳簿データは、申告が終わった後も必ず保管しておくようにしましょう。 月別や項目ごとにわかりやすくファイリングし、確認を求められたらすぐに提示できるような状態にしておくことも大切です。 通常の税務調査では、調査担当者が訪問する前に事前連絡があります。数日~1週間程度なら訪問日の調整にも対応してくれるため、税務調査が決まったら、3~5年分の書類はいつでも提出できるようにチェックしておきましょう。

調査時には協力的な態度で臨む

税務調査は、指定された日時に税務署の担当者が事務所を訪れ、1日~数日程度かけて実施されます。 調査中に受ける質問や確認事項については可能な限り協力し、曖昧な返事や感情的な態度を取らないようにしましょう。
とはいえ、担当者の中には威圧的な態度で調査を進めたり、はじめから疑ってかかるような質問をされたりするケースもあります。 調査に対して協力的な態度で臨むことは、税務署の言いなりになってすべて認めることではありません。 受けた質問が事実とことなる場合はしっかりと否定し、税務調査に必要ないと感じる要求には、毅然とした態度で応じましょう。

顧問税理士に同席を依頼する

顧問契約を結んでいる税理士がいる場合、税務調査の際に同席を依頼しましょう。税務調査の対応実績がある税理士なら、税務署からの質問や要求に対して、どのように対応すればよいかを熟知しています。税務のプロのサポートがあれば、反面調査を避けられる可能性も高まるでしょう。 現在顧問契約している税理士がいない場合や、契約していても同席に対応してくれない税理士の場合は、税務調査のサポート実績がある税理士事務所へ相談することをおすすめします。



反面調査を受ける場合の注意点と対処法

税務調査の際、調査に協力的でなかったり、申告内容を審査するための十分な資料がなかったりした場合は、取引先などに対して反面調査が行わる可能性があります。 反対に、取引先に税務調査が入った場合は、関係先の一つとして税務調査から反面調査を受ける可能性もあるでしょう。反面調査を受ける場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。 反面調査を受ける際の注意点と対処法についてご説明します。

反面調査は突然行われる

税務調査は、一般的に税務署から事前の連絡があり、実地調査を行う日時が伝えられます。そのため、納税者は必要な帳簿や書類などの準備を行うことができるとともに、税理士に連絡を取って対応法を協議するといった準備もできます。
しかし、反面調査では予告は行われることはありません。もし、反面調査に入る旨の通知をすれば、取引先と事前に口裏合わせをしたり、調査官の目に触れてほしくない書類を隠蔽したりといった行為を招く恐れがあるからです。反面調査の目的は、調査対象者の事業の状況や資金の流れを正確に把握することであり、事前の通知によって不正が行われれば反面調査を行う意味がなくなってしまいます。
そのため、反面調査は突然行われることがほとんどであるということを覚えておきましょう。

反面調査は拒否できない

税務調査官による突然の訪問があり、反面調査が行われる場合、原則として反面調査を拒否することはできません。税務調査も任意調査ではありますが、税務調査を簡単に拒否できないことと同じように、反面調査も正当な理由なく拒否することはできないのです。もし、反面調査を拒否した場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
ただし、突然の対応となるため、業務が忙しくて対応できない場合や担当者が不在のために対応できないケースもあるでしょう。そのような場合は、税務調査官にその旨を伝え、調査官が正当な理由であると判断すれば、日時を変更できる可能性があります。

反面調査では調査目的を確認し、必要な内容にのみ対応する

反面調査では、調査目的以上のことをしてはいけません。そのため、調査官の説明をしっかりと理解したうえで、反面調査に必要とされる帳簿や資料のみ提示するようにしましょう。反面調査に関係のない書類を提出すると、自社の情報や取引先の情報が漏洩する可能性があります。後々のトラブルを防ぐためにも、反面調査の際には調査に必要であると納得できた場合のみ、関係する帳簿や書類だけを提出することが大切です。
また、帳簿や書類を渡す際にもコピーを取って、調査官とのやり取りの証拠を残すことも忘れないようにしましょう。

質問には誠実に対応する

反面調査では、帳簿や書類の提示だけでなく、調査官から取引内容などについての質問がなされます。質問内容に対しては、虚偽の回答をすることなく、事実をそのまま伝えるようにしましょう。取引先とよい関係性を築いている場合などは、取引先を擁護したい気持ちから、調査官に対して不誠実は対応を取ってしまうこともあるかもしれません。
しかし、真摯な態度で反面調査に臨まない場合、隠していることがあるのではないかと疑いを強めてしまうこともあるでしょう。
また、質問への回答を拒否したり、虚偽の情報を提供したりすると、罰則が科せられる可能性もあります。質問に対しては、必要なことを事実に基づき、正しく説明するようにしましょう。

まとめ

反面調査とは、税務調査で自社だけでなく、取引先や銀行などにも問い合わせされる調査のことです。通常の税務調査だけでは実態の把握が難しいと税務署が判断した場合に、反面調査が実施されます。納税者は税務調査に協力する義務があるため、反面調査を拒否することは難しいものですが、税務調査への対応を熟知している税理士であれば、反面調査のリスクを回避するためのアドバイスを受けることも可能です。
税理士法人松本なら、無申告、脱税を続けて誰にも相談できない状況にも対応しています。初回の電話相談は無料で利用可能ですので、お気軽にお電話ください。



税務調査で個人通帳を見せろと言われた!見せなきゃいけないの?

2023.10.31

税務署から税務調査が入った際、資料として通帳の提示が求められるケースがあります。事業用の口座だけではなく、個人名義の通帳を見せるように言われたら、必ず見せなければならないのでしょうか。
ここでは、個人事業主に税務調査が入った際、税務署に通帳の提示を求められる可能性や対処法などについて解説しています。



税務調査で個人通帳の提示を求められることはある?

結論から言うと、個人事業主のもとへ税務調査が入った場合、個人名義の通帳や取引履歴を見せるように求められる可能性はあります。

税務調査で調査官が通帳を確認する理由とは

税務調査で、調査官から通帳の提示を求められるケースは少なくありません。なぜ、調査官は通帳を税務調査の資料として利用するのでしょうか。それは、通帳は他の帳簿や書類と違い、改ざんしにくい資料だからです。帳簿は、個人事業主が入力する数字で作られています。そのため、事業の状況に合わせて数字を調節し、改ざんすることもできてしまうのです。
しかしながら、通帳は取引内容が自動的に印字されるもので、個人事業主が勝手に通帳の数字を操作することはできません。従って、通帳を確認するとお金の動きを把握しやすいのです。

個人名義の通帳の提示を求める理由は?

個人事業主に対し、個人名義の口座の通帳の提示を求める場合、帳簿に記載されている額と整合性が取れているか、不審なお金の動きはないかという点を確認したいという目的があります。 申告書に記載されている所得と比べて入金されている額が大きかったり、定期的に入金があったりする場合は、所得を低く装っているか、どこか別のルートで所得を得ている可能性があると考えられるのです。

税務調査で通帳を見せるように言われたらどうすればよい?

税務調査の際に通帳を見せるように言われたら、求めに応じて通帳を見せなければならないのでしょうか。通帳を提示する必要性について、ケースごとにご説明します。

事業用の通帳は提示しなければならない

事業用と個人用の口座を分けている場合、事業用の通帳の提示を求められた場合には、求めに応じて調査官に通帳を提示しなければなりません。事業用の通帳は、国税通則法第74条において定められている「その者の事業に関する帳簿書類その他の物件」に含まれるものであると考えられています。
そのため、税務調査時に調査官から、事業用の口座の通帳を見せるよう求められたら、応じなければならないのです。

個人通帳の提示を求められても拒否できるケースとは

事業用の通帳は、求められれば調査官に提示しなければなりません。では、個人名義の口座の通帳の場合はどうなのでしょうか。 個人名義の通帳の場合は、税務調査で提示を求められた場合に拒否できるケースがあります。それは、個人名義の口座と事業用の口座を完全に区分して管理している場合です。
そのような場合は、税務調査で個人名義の通帳や取引履歴の提示を求められたとしても、「個人の通帳は事業に使用していません」と伝えて、拒否することができます。

株式会社の税務調査でも個人通帳の提示を拒否できるケースは?

個人事業主に限らず、株式会社など法人企業に税務調査が入った場合でも、代表者名義の個人通帳の提示を求められるケースがあります。
そのようなケースでも、代表者名義の個人通帳は一切事業に使っておらず、事業用と個人用の口座を区別しているのであれば、通帳の提示を拒否できます。 自宅の家賃や水道光熱費、生活費に使用しているクレジットカードの引き落としなど、事業と関係のない入出金だけである場合、個人口座は税務調査でチェックするべきものではないからです。
ただし、個人の通帳に売上が入ってしまっており、どうしたらよいか不安な方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



税務調査で通帳の提示を拒否できるのは、あくまでも「事業用と個人用の通帳が明確に分けられている場合」に限られます。
しかし、自分では明確に分けているつもりでも、実際にはしっかりと区分されていないケースもあるかもしれません。税務調査で個人通帳の提示を拒否できないケースはあるのでしょうか。

個人通帳の提示をしなければならないのはどんなケース?

税務調査で個人通帳を見せる必要があるケースには、以下のようなものが挙げられます。

自宅をオフィス使用し、家賃を按分している

個人事業主の場合、自宅兼オフィスのような形で一部を仕事部屋にし、自宅の家賃を按分して地代家賃として計上している人もいるでしょう。この家賃の引き落としを個人口座から行っている場合は、該当する箇所の通帳履歴を提示する必要があります。

水道光熱費を按分している

自宅の一部をオフィスとして使用している場合、家賃と同様に、電気代や水道代などを生活費と事業用経費で按分しているケースもあるでしょう。水道光熱費を個人口座から引き落とししている場合も、個人名義の口座を事業用に使用していることになります。この場合も、該当する箇所の通帳の履歴を提示する必要があります。

売上の一部が個人口座に入金されている

得意先によっては、振込時に手数料が発生するために事業用の口座を開設している銀行ではなく、指定の銀行に口座を開いてほしいと希望されるケースがあります。そのような場合、個人名義で指定銀行に口座を開設していれば、個人口座を振込先として利用することもあるでしょう。このような事情がある場合でも、売上が個人口座へ入金されていれば、求めに応じて該当部分の通帳を提示する必要があります。

文房具や備品などを個人口座のカードで支払った

プライベートな買い物のついでに、デビットカードなどを使用してビジネス用の備品や消耗品、文房具、書籍などを購入した場合も、口座取引の履歴確認を求められる場合があるでしょう。

現金取引が多いなど収支の履歴が曖昧な場合

売上や仕入れに現金取引が多く、事業用の口座だけでは取引の確認がしづらい場合や、所得隠しが疑わしいような場合にも、個人通帳を見せるように求められる場合があります。

個人名義の通帳の提示の必要性を判断するポイント

税務調査で個人名義の通帳を提示するよう求められた場合、通帳の提示を拒否できるかできないかの判断のポイントは、次の2点です。
・個人名義の銀行から事業に関連する入出金を行っていないか
・事業用と個人用で使用する口座を明確に分けているか
前述したように、自分では明確にプライベートと事業用で口座を分けているつもりでも、家賃や光熱費を按分しており、個人名義の口座から引き落とししている場合は、明確に分けているとは言えません。 個人口座の通帳はプライベートな支出や入金が分かるものでもあり、プライバシーを保護したいという気持ちが強いのであれば、事業用と個人用の口座を明確に区分しておくようにしましょう。

個人通帳の提示を拒否できるのに提示を求められたら?

事業用と個人用で通帳をしっかり分けて使用しているなら、本来個人用の通帳はプライベートなものであり、税務調査で見せる必要のないものです。
しかし、税務調査にあたる調査官によっては、特に根拠がなくても個人通帳の提示を求められる可能性もあります。

提示する根拠がない場合は拒否できる

税務調査を受けているときは何となく緊張したり焦ったりして、言われたことにはすべて従わなければならないような気持ちになる場合も少なくないでしょう。
とはいえ、提出するべき根拠のないものやあらぬ疑いについては、しっかりと説明した上で毅然とした態度を取ることが大切です。 個人用の通帳は事業用途に一切使っていないのであれば、その旨を伝えましょう。それでも提示を求められる場合は「提示するべき根拠はあるのでしょうか」と質問をします。根拠を要求しても調査官から明確な根拠が示されないときには、通帳の提示を拒否することもできます。

国税庁の通帳の提示に対する見解

国税庁でも、調査目的で資料の提示を求める際には、しっかりと根拠を説明した上で調査対象事業者の理解を得るよう努めるといった趣旨の説明がなされています。

国税庁ホームページ:税務調査手続に関するFAQ
この国税庁のQ&Aの中には、通帳の提示についての質問と回答例も掲載されています。法人税の調査と記載されていますが、個人事業主を対象とした税務調査でも同様であると解釈できる例をご紹介しましょう。

問7 法人税の調査の過程で帳簿書類等の提示・提出を求められることがありますが、対象となる帳簿書類等が私物である場合には求めを断ることができますか。

答え:法令上、調査担当者は、調査について必要があるときは、帳簿書類等の提示・提出を求め、これを検査することができるものとされています。
この場合に、例えば法人税の調査において、その法人の代表者名義の個人預金について事業関連性が疑われる場合にその通帳の提示・提出を求めることは、法令上認められた質問検査等の範囲に含まれるものと考えられます。
調査担当者は、その帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、ご理解を得られるよう努めることとしていますので、調査へのご協力をお願いします。

つまり、個人口座の通帳の開示が必要になるのは、事業との関連性が疑われる場合に限られるわけです。個人名義の通帳と、事業との関連性が疑われるような根拠が特にないのであれば、プライベートでのみ使用している銀行口座を見せる必要はないと理解してよいでしょう。

見られても問題ないなら提示した方がスムーズな場合も

とはいえ「個人用通帳を見せてほしい」と税務調査で言われる場合、税務署の方でも何か不明点や疑わしい点があり、その点をクリアにして早く調査を先へ進めたいと考えているケースが多いものです。 あまり頑なに拒否し過ぎることで、かえって疑惑を深めてしまう可能性もあるため、特に通帳を提示しても問題がない場合は、見せた方がスムーズだと言えるでしょう。

根拠の判断が難しい場合は税理士へ相談を

経営者や代表として働いていると、通常の業務や営業で忙しい中、帳簿や取引のすべてを完全に把握するのは難しいケースもあります。 事業と個人の口座はしっかりと分けているつもりでも、もしかしたらうっかり見落としていることもあるかもしれません。特に税務署との交渉においては、税金や会計に関する知識が足りないと、知らないうちに生活費と経費が混同されている場合もあるでしょう。 税務調査が入る場合、比較的丁寧に帳簿を管理している事業者ほど、重箱の隅をつつくような追及にあうことも少なくありません。個人口座と事業との関連性について、根拠の判断が難しい場合や、税務署との交渉に不安を感じるなら、一度税務調査の対応に強い税理士へ相談してみるとよいでしょう。



まとめ

税務調査で個人名義の通帳を見せるように言われても、事業と完全に切り離して使用している口座であれば見せる必要はなく、提示を求められても拒否することが可能です。ただし、うっかり事業用に使っている場合や、税務署から根拠となる関連性について納得できる説明を受けた場合には、個人通帳を提示する必要があります。 個人通帳と事業とが完全に分けられているか、税務調査で指摘を受ける要素がないかなど、少しでも不安な点がある場合は、税理士事務所でアドバイスを受けてみましょう。

国税局の査察調査と税務署の税務調査の違いとは?

2023.10.31

税務調査は、事業を営んでいる納税者なら、誰でも受ける可能性があるといわれています。しかし、実際には国税局が行う「査察調査」や税務署が行う「税務調査」などの種類があり、それぞれ異なる調査の側面があるのも事実です。
そこで、ここでは国税局の査察調査と税務署の税務調査は何が違うのかについて、わかりやすく紹介しています。 すでに調査が入っていて、今後の対応にお困りの方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。



似ているようで違う査察調査と税務調査

査察調査も税務調査も税に関する調査です。しかし、両者は似ているようで大きな違いがあります。まず、それぞれの違いを知る前に査察調査と税務調査の概要をご紹介しましょう。

査察調査とは

査察調査は、意図的に売上や所得を隠蔽し、税金を免れようとしたいわゆる脱税の疑いがある企業や個人事業主に対して行う調査です。脱税は犯罪であり、査察調査の目的は正しい税金を納めさせるだけではありません。査察調査では、捜索や差押などを行って証拠の収集を行い、検察へ告発することも目的としています。つまり、査察調査は脱税犯の摘発を目的とし、その他の犯罪の捜査と同じような方法で調査が行われるのです。
ただし、査察調査で脱税が発覚した場合、その他の事件のようにその場で脱税を犯した人を逮捕するわけではありません。脱税の証拠がそろったら検察庁に告発し、検察官による操作が行われた後に、逮捕に至ります。

税務調査とは

税務調査は、納税者が所得税や法人税、消費税を正しく申告をしているか、申告漏れがないかどうかの確認をすることを目的とした調査です。税務調査と査察調査の区別がしっかりついていない場合は、テレビなどで見かけることがある査察調査と同じようなイメージをお持ちになるケースもあるでしょう。
しかし、税務調査は査察調査のように、いきなり複数の捜査員が事務所や店舗などに入り込むことはありません。税務調査では、犯罪捜査のように捜索や差押などが伴うことはなく、検察に告発されるケースもないと考えてよいでしょう。税務調査は刑事事件にまで発展する査察調査とは異なり、申告内容が正しいかどうかのチェックを行い、申告漏れが生じていた場合には、正しい額の納税を求めることを目的とした調査なのです。

ここが違う!査察調査と税務調査

査察調査と税務調査では、以下のような点が異なります。

査察調査は国税局、税務調査は税務署の管轄

税務調査は、事業者を管轄している各税務署に所属する調査官によって行われます。一方、査察調査は国税局の査察部が行う調査です。
そのため、税務調査で調査に訪れる職員は税務署の職員となり、査察調査で訪れる職員は国税局の査察官となります。

査察調査は強制、税務調査は任意で行われる調査

査察調査は、国税局の査察部によって行われる強制的な調査です。裁判所から操作・差押などに関する許可状を得て行われる強制調査であるため、査察調査を拒否することはできません。
一方、税務調査は納税者の任意で行われる調査です。ただし、任意調査とは呼ばれているものの、納税者は税務調査を拒否することはできません。
しかし、任意調査である以上、査察調査のように調査官が事務所などを訪れ、納税者の許可を得ずに、勝手に帳簿を抜き出したり、書類を持ち出すたりすることはできないのです。

査察調査と税務調査は基づく法律も異なる

査察調査と税務調査は、基づく法律もそれぞれ異なります。税務調査は国税通則法に則って手続きが取られることとなり、査察調査は国税犯則取締法を基にして行われます。 2つの法律の名称を比較するだけでも、税務調査と査察調査が違った目的で行われていることがわかるのではないでしょうか。 基本的に、税務調査は適正な申告や納税ができているか、間違っていた場合には指摘や指導をしていくという目的で行われるものです。会社やフリーランスなど、事業を営んでいる法人、個人事業主すべてが調査の対象となります。
一方で、査察調査は悪質かつ多額の脱税行為が疑われる場合に、犯罪の証拠を押さえる目的で行われるという違いがあるのです。

流れで比較!査察調査と税務調査の違い

査察調査と税務調査は、調査の流れにも以下のような違いがあります。

税務調査の流れ

税務調査でもっとも多く行われるのは「任意調査」と呼ばれるものです。任意調査の流れをご紹介します。

税務調査では事前通知がなされる

税務調査では、ほとんどのケースにおいていきなり調査官が現場を訪れることはありません。税務署から「〇月〇日に税務調査で訪問したい」という連絡が事前に入ってから調査が行われます。 事前連絡は調査日の1週間ほど前くらいに電話などで受けるのが一般的で、調査日についても、業務上の理由や健康上の理由などで都合がつかないなど、正当な理由があれば延期や変更なども可能です。

必要な帳簿や書類を準備する

税務署からの事前通知の際、税務調査時に必要となる書類や帳簿が伝えられます。調査をスムーズに進めるためにも、会社の組織図や帳簿、決算書類など、必要な書類を事前に準備しておきます。

実地調査は2日程度

調査当日は、税務署から調査官が派遣されます。「帳簿を見せてもらえますか」「売上の入出金履歴を確認してもいいですか」など、調査の説明や確認も同意を取りながら進められるでしょう。
ただし、任意調査とはいえ、調査の実施については拒否することはできません。納税者には「受忍義務」と呼ばれる義務があり、税務調査の依頼があれば、協力しなければならないと法律で定められているからです。 帳簿やパソコンのデータなども、確認してよいか同意を求められるため、見せたくなければ拒否することが可能です。しかし、ケースによっては調査を妨害しているとみなされ、ペナルティの対象とされる可能性もあるため注意が必要となります。 必要に応じて実地調査後にも確認の連絡が入るケースもありますが、税務調査にかかる期間は2日から数日程度です。

調査結果の説明

調査が完了したら、税務署から結果が報告されます。申告内容に問題がなかった場合には、是認報告が届きます。是認報告が届いた場合は特に必要な対応はありません。
また、申告内容に不備があると指摘された場合には、税務署から指摘された箇所について修正申告を行い、必要に応じて不足分の税金や加算税を支払えば、税務調査は終了です。

査察調査の流れ

査察調査は、上記で説明した税務調査とは異なり、何の前触れもなくある日突然、査察官が乗り込んできます。査察調査は犯罪の証拠を押収したり、脱税の疑いがある事業者の逃亡を阻止したりする目的を持つ、強制的な調査となるからです。

査察部門による情報収集

査察部門では、水面下で脱税に関する情報収集を行います。税務調査の結果、多額の脱税が発覚し、手口が悪質であると判断された場合は、査察部門に情報が引き継がれるケースもあります。

裁判所へ許可状の請求

強制調査の際に差押や捜索などを行うため、裁判所に許可状を請求します。

強制調査

裁判所の許可状を元に、強制調査が行われます。査察調査では、本社や事務所のみならず、工場や支店、店舗、共謀の疑いがある取引先、社長の自宅なども調査の対象となります。証拠隠しや逃亡を防ぐため、同じタイミングで一斉に調査が行われるのです。 テレビや映画、ニュースなどで、スーツを着た大勢の査察官が一斉に乗り込み、大量の書類が入った段ボールや金庫などを押収していくシーンなどを目にすることがあります。こうした映像は、税務調査ではなく査察調査で見られる光景です。 各種帳簿やファイルなどは同意なく押収され、パソコンごと持ち出される場合もあります。調査にかかる期間は短い場合でも数ヵ月を要し、長い場合は1年以上におよぶことも少なくありません。

検察への告発

検察との間で協議が行われ、告発が容認された場合、査察部門が検察に告発をします。

検察による捜査・起訴

告発を受けると、検察官による捜査が行われます。再度、捜索や差押、取り調べが行われ、場合によっては脱税容疑で逮捕・勾留がなされるケースもあります。勾留期間中に起訴・不起訴の判断が行われ、起訴することが決まれば刑事裁判に訴えられることとなります。

地方裁判所での刑事裁判・判決

起訴されると、被告人の立場となり、刑事裁判が行われます。脱税が認められ、有罪の判決が下されると、最長で懲役10年と罰金が科されます。 令和4年度の場合、一審判決では起訴された61件全てに有罪判決が言い渡されており、査察事件単独で最も重いものは懲役1年4ヶ月でした。

調査完了後は、多くの場合脱税に関して刑事告発され、懲役や罰金などの刑事罰に処される可能性があるのも、査察調査が税務調査と大きく異なる点であるといえるでしょう。

税務調査と査察調査での対処法はどう違う?

税務調査と査察調査は、それぞれ異なる点があるものの、基本的な対処法は以下の通りとなります。

調査には協力しても、毅然とした対応を

税務調査も査察調査も、調査を妨害しているとみなされる行為はペナルティの対象となってしまうため、調査中は協力しなければなりません。しかし、調査官や査察官の追及や指摘について、何でも認めなければならないわけではありません。
計上ミスや勘違い、申告漏れなどを意図的に操作したり、悪意を持ってごまかしたりしているのではないか、といった疑いを持たれることもあるでしょう。そうした場合でも、事実でなければ毅然と対応することが大切です。 攻撃的な態度を取るのではなく、事実に基づいた主張をする、という姿勢で対応します。調査で追及されて怯えたり、緊張してしまったりして何でも認めてしまう、または曖昧な返事をする、といった対応は避けましょう。
調査段階では、事前に証拠を掴んでいるケースも多いですが、悪質性が高い可能性があるかどうかを探りながら調査している場合もあります。 脱税しているといえるか微妙なラインや、修正が必要な申告の額について、実際よりも多く見積もられているなら、正当な主張をして交渉が必要となるでしょう。

対応に不安がある場合は税理士へ相談しよう

「調査中にしっかりと対応できる自信がない」「何を認めてよいのかわからない」など、査察調査や税務調査に不安がある場合は、税金の専門家である税理士へ相談することをおすすめします。 査察調査を受けた場合、これまでの状況を見るとかなりの高い確率で検察に告発されることとなります。納税者側の主張を正しく伝えるためにも、査察調査のサポートをしている税理士に一度相談してみるのも手段の1つです。
また、税務調査の場合には、税務署から事前通知が行われます。税務調査の日時を調整することもできるため、税理士に相談をし、税理士が立ち会える日時で調査日を調整するとよいでしょう。 税務調査や査察調査の対応実績がある税理士事務所なら、調査への同席や意見書の提出など、税務署や国税局への対応に心強いサポートを受けることができます。



まとめ

国税局の査察調査と税務署の税務調査は、管轄や法律、調査方法など、異なる点が多くあります。基本的に、どちらの調査も拒否することはできませんが、事実と違う疑いをかけられた場合には、毅然とした対応が必要です。 調査の対応に不安がある場合には、税務署との交渉に強い税理士へ相談しながら進めていくとよいでしょう。

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