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SNSでは「給与所得と副業の赤字を相殺すれば税金が戻る」といった情報が拡散されています。損益通算そのものは税法上の制度ですが、実態のない損失や根拠のない経費を計上することは節税ではありません。
国税庁の「税務相談停止等命令」とは、不正な還付などにつながる税務相談の停止や、営業広告の削除などを命じる制度です。令和8年には、税理士でない者、いわゆるにせ税理士が不正還付につながる相談を行ったとして、税理士法第54条の2第1項に基づく税務相談停止等命令が2件公表されました。
SNSや知人から節税・還付の助言を受け、「申告して大丈夫だったのか」と不安な会社員や個人事業主もいるでしょう。すでに申告した場合も、放置せず申告内容を見直し、正規の税理士へ確認することが重要です。
この記事では、被処分者の氏名ではなく、公表された2件の勧誘・申告の手口、危険なSNS勧誘の見分け方、すでに還付を受けた場合の対応に焦点を当てます。「国税庁の税務相談停止命令とは何か」「にせ税理士による不正還付にどう対処すべきか」という疑問を整理します。
目次
国税庁が公表する「税務相談停止等命令」は、にせ税理士などによる不適切な税務相談を止め、納税義務の適正な実現に重大な影響が及ぶことを防ぐ制度です。根拠は税理士法第54条の2第1項にあります。
「国税庁 税務相談停止命令」と検索されることがありますが、制度上の正式な表現は「税務相談停止等命令」です。「等」には、事案に応じて営業広告の削除を命じる措置も含まれます。
税務相談停止等命令の対象は、税理士等ではない者による税務相談です。登録税理士に対する懲戒処分とは、対象者も制度の仕組みも異なります。
特にSNSを通じた不正還付の勧誘では、発信者が税理士かどうか分かりにくい場合があります。国税庁による命令の公表は、問題のある税務相談の拡大を防ぐための措置であり、利用者を処分する制度ではありません。
命令が公表されても、その助言を受けて提出した個々の申告書が自動的に訂正されるわけではありません。還付済みであっても、申告内容の正しさは利用者自身が確認する必要があります。
SNSや知人から節税・還付の助言を受けた方は、まず次の資料を確認してください。
根拠のない経費や損失が含まれている疑いがあれば、必要に応じて修正申告を検討します。判断に迷う場合は正規の税理士へ確認し、税務署から電話や書面が届いているときは放置せず、早めに対応することが大切です。
国税庁が令和8年に公表した税務相談停止命令は、福岡市と川崎市の者に対する2件です。いずれも、にせ税理士が給与所得者に具体的な申告方法を助言し、実態や根拠のない赤字を使って所得税の不正還付を受けさせていました。
福岡市の者は、他の者にSNSを通じた集客を依頼し、紹介された多数の個人顧客に税務相談を行っていました。給与所得から実態のない事業所得の損失を差し引く申告書を提出させ、所得税を不正に還付させた事例です。
国税庁は、税務相談の停止だけでなく営業広告の削除も命じました。詳しい内容は、国税庁の令和8年6月25日の命令で確認できます。
川崎市の者は、勤務先で担当した顧客に対し、不動産所得の経費として根拠のない金額を計上するよう税務相談を行っていました。それにより不動産所得を赤字にし、給与所得と損益通算して所得金額を圧縮していました。
その申告によって所得税を不正に還付させたとして、税務相談の停止を命じられています。詳細は、国税庁の令和8年8月26日の命令に掲載されています。
共通点は、給与所得者に還付を持ちかけ、実態のない事業損失または根拠のない不動産経費を使って給与所得を圧縮したことです。一般的な制度説明にとどまらず、顧客ごとの申告について具体的に助言していました。
税務署から還付金が振り込まれても、申告内容が適正だった証明にはなりません。SNSや知人から同様の助言を受けた方は、提出済みの申告書や収支内訳書などを確認し、必要に応じて正規の税理士へ申告内容の見直しを相談することが大切です。
損益通算そのものは、税法上認められた制度であり、給与所得と赤字を相殺する行為がすべて違法になるわけではありません。ただし、実態のない副業や根拠のない経費によって赤字を作れば、不正還付と判断される可能性が高まります。
違いは、実際の事業・不動産賃貸による損失であり、収入や支出を客観的な資料で説明できるかどうかです。所得区分、支出の経費性、損失を通算できる範囲は個別事情によって判断が変わるため、「赤字なら必ず給与と相殺できる」とは限りません。
実態を確認せず、赤字だけを人為的に作る申告は危険です。特に、SNSで「会社員なら誰でも還付される」などと勧誘された場合は、次のような点がないか確認してください。
国税庁の税務相談停止等命令(税務相談停止命令)の公表事例でも、実態のない事業損失や根拠のない不動産経費による不正還付が問題とされました。SNS上のにせ税理士に申告を任せた場合でも、申告内容に関する確認は納税者本人に求められます。
還付金の振込みは、申告内容の適法性が最終確定したことを意味するとは限りません。後日の確認や税務調査で、経費や損失の根拠を求められる可能性があります。
提出済みの申告書、決算書・収支内訳書、e-Taxの受信通知を受け取り、記載内容と証拠資料を確認することが大切です。実態と異なる申告に気づいた場合は放置せず、正規に登録された税理士へ早めに相談してください。
SNSで税制や申告期限などの一般情報を発信するだけなら、直ちに違法な税務相談になるわけではありません。一方、顧客の個別事情を聞き、税額・所得・控除・経費などについて具体的に答弁、指示、意見表明をする行為は、無資格者による税理士業務に該当する可能性があります。
判断のポイントは、不特定多数への一般的な制度解説か、特定の人の申告内容に踏み込んだ助言かという違いです。税務代理、税務書類の作成、税務相談は、原則として税理士、税理士法人、所定の通知をした弁護士等が行う業務です。
たとえば「あなたの場合はこの支出を経費にできる」「この控除を入れれば還付額は○円になる」など、事情に即して結論を示す行為は注意が必要です。SNS上の「節税コンサル」であっても、実態によってはいわゆるにせ税理士の問題になります。
無料であっても、無資格者が税務相談を「業として」行えば問題になる可能性があります。「業として」には、反復継続して行う場合だけでなく、反復継続する意思がある場合も含まれるためです。
料金名目が「申告代行料」でないから安全とは限りません。紹介料、コンサル料、会費、還付額に応じた成功報酬などを受け取っている場合も、名称ではなくサービスの実態で確認する必要があります。
2026年時点で、税理士法第52条に違反して無資格で税理士業務を行った場合、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される場合があります。国税庁による税務相談停止命令と、この刑事罰は同じ制度ではありません。
実際にSNSを通じて不正還付につながる相談を受けた場合でも、利用者側の扱いを一律には判断できません。申告内容、助言者とのやり取り、本人の認識などを整理し、提出済みの申告書に問題がないかを正規の税理士へ確認してください。
SNSや知人から節税・還付の勧誘を受けたら、契約前に資格、申告内容の根拠、書類の交付方法を確認してください。「必ず戻る」「税務署には分からない」と断言された場合は、その場で契約や送金をしないことが重要です。
実態や証拠を確認せず、一律に還付できると説明する勧誘は危険性が高いと考えられます。次の項目に一つでも当てはまる場合は、正規の税理士へ申告方法を確認しましょう。
国税庁による税務相談停止等命令の公表事例でも、SNSによる集客を通じた不正還付の相談が確認されています。にせ税理士による勧誘では、肩書よりも資格と申告根拠を確認する必要があります。
相手の身元と資格を確認したうえで、経費や所得区分の判断根拠を具体的に質問してください。説明が曖昧な場合や書面を渡さない場合は、手続きを止めて別の税理士に相談するのが安全です。
当事務所に寄せられるご相談の傾向として、「自分の規模では調査は来ない」と考えていた個人事業主・副業の方が目立ちます。調査対象になるかは事業規模だけでなく申告状況にも左右されるため、不自然な還付方法を勧められたときは税理士へ確認してください。
まず申告書と証拠書類を確認し、提案された経費や損失に客観的な根拠があるかを確かめてください。還付を受けたことだけで「不正」と決めつけず、現在の状況に応じて早めに対応することが大切です。
契約や支払いをいったん止め、正規の税理士からセカンドオピニオンを受けましょう。申告を依頼すると決めるまでは、重要な個人情報を渡さないでください。
提出済みの申告書一式を入手し、事業所得や不動産所得の収入・経費を項目ごとに確認してください。身に覚えのない金額があれば、正規の税理士または税務署へ早めに相談しましょう。
還付額だけでなく、申告書に記載された所得と経費を確認する必要があります。根拠のない損失や経費が含まれている場合は、税理士に確認したうえで修正申告を検討してください。
国税庁の税務相談停止命令では、にせ税理士がSNSで集客し、実態のない損失などにより不正還付を受けさせた事案が公表されています。ただし、修正が必要かどうかは個別の申告内容と証拠に基づいて判断されます。
依頼先に申告書などの交付を求め、e-Taxの利用履歴や通知も確認してください。税務署へ利用できる確認手続きを問い合わせ、書類をそろえて正規の税理士へ相談しましょう。
申告内容、取引の実態、依頼先とのやり取りが分かる資料を可能な範囲で用意してください。資料が不足していても放置せず、現時点でそろっているものから早めに相談することが重要です。
一般的な税制度の説明と、個人の具体的な事情に基づいて税額・所得・控除・経費などを判断する税務相談は区別されます。無料であっても、税理士業務を「業として」行っているかが重要であり、投稿内容、個別対応の方法、反復継続性やその意思などによって判断が異なり得ます。
国税庁の税務相談停止命令では、SNSで集客した顧客へ不正還付につながる相談を行った事案も公表されています。個別の発信や対応が税理士法上問題となるかは、正規の税理士や税務署へ確認してください。
損益通算そのものが直ちに違法になるわけではありませんが、実際の事業・賃貸実態、所得区分、経費の根拠などを確認する必要があります。実態のない事業損失や根拠のない不動産経費を使った不正還付は、国税庁が公表した税務相談停止命令の対象事案にも含まれています。
還付金の振込後でも、申告内容に誤りがあり、納める税額が少なかった場合などは修正申告を検討します。具体的な手続きや納付額は申告内容によって異なるため、提出済みの申告書や経費資料をそろえ、正規の税理士または税務署へ確認してください。
相手の氏名と事務所名を確認し、日本税理士会連合会の公式な税理士検索手段で登録の有無を調べる方法があります。紹介者や運営会社だけでなく、実際に相談や申告を担当する人物が登録税理士本人であるかも確認してください。
「必ず還付される」などの説明だけで判断せず、申告の根拠や担当者の資格を確かめることが大切です。資格や申告内容に疑問が残る場合は、その相手とは別の正規の税理士または税務署へ相談してください。
税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。
受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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