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少額減価償却資産の特例って何?2026年最新の改正内容や注意点を解説

少額減価償却資産の特例って何?2026年最新の改正内容や注意点を解説

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減価償却の対象となる資産を取得した場合、原則として、法定耐用年数にわたって取得価額を経費に計上します。しかし、一定の要件を満たす場合は、固定資産を取得した際に少額減価償却資産の特例を適用することで、事業の用に供した年度に一括して経費に計上できます。

少額減価償却の特例を利用できれば、節税効果を得られる可能性があります。しかし、少額減価償却の特例が適用できる事業者や資産は限定されており、すべての事業者があらゆる固定資産に対しこの特例を適用できるわけではありません。さらに、2026年には少額減価償却の特例の改正も行われました。

そこで今回は、少額減価償却の特例の概要や2026年の改正ポイント、少額減価償却の特例の適用を受ける際の注意点などについて解説します。

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少額減価償却資産の特例とは?

少額減価償却の特例とはどのような特例なのでしょうか。まずは、少額減価償却の特例の概要からご紹介します。

少額減価償却の特例

少額減価償却の特例とは、青色申告を行う中小企業者等の法人や、一定の農業協同組合等、青色申告を行う中小事業者である個人事業主が10万円以上40万円未満の減価償却資産(10万円未満の資産や一括償却資産を除く)を取得した場合、資産を使い始めた年にまとめて経費に計上できる制度です。

本来、事業用資産を購入した際には、耐用年数に応じて取得価額を分割し、経費に計上しなければなりません。しかし、少額減価償却の特例を適用すると、耐用年数にかかわらず、使用を開始した年にまとめて経費に計上できるようになります。

少額減価償却の特例を利用するメリット

少額減価償却の特例を利用すると、10万円以上40万円未満の資産であれば、使用を開始した年度に取得価額を全額経費に計上できるため、その年の所得額を圧縮できます。つまり、課税所得額を圧縮できるため、節税効果を得られるのです。

また、税金の負担額が減ると、キャッシュフローを改善できる可能性があります。さらに、1年でまとめて経費に計上できると、翌年度以降の減価償却の計算が簡単になり、経理作業の負担も軽減できます。

少額減価償却資産の特例の2026年の改正内容

2026年の改正では、少額減価償却資産の特例の3つのルールが変更されています。

  • 適用期間

少額減価償却の特例は、有効期間を定めて制定された措置です。これまでも期限が切れるごとに延長されてきましたが、今回の改正により適用期限が2029年3月31日まで延長されました。

  • 上限額が30万円未満から40万円未満への引き上げ

これまで少額減価償却資産の特例の対象は、取得価額30万円未満の減価償却資産でしたが、2026年の税制改正によって上限が40万円未満に引き上げられました。この措置は、現状、2029年3月31日までの限定的な措置です。したがって、2026年4月1日から2029年3月31日までの間に取得し、事業の用に供した10万円以上40万円未満の減価償却資産は、所定の要件を満たす場合に一括して経費に計上できます。

  • 適用対象事業者(法人)の従業員数が400人以下に引き下げ

また、2026年の改正では、少額減価償却資産の特例を適用できる事業者の規模も変更されています。資本金または出資金が1億円以下の法人、または資本・出資を有しない法人で、改正後は常時使用する従業員数が500人以下の法人が対象でしたが、今回の改正により対象法人は、常時使用する従業員数の上限が400人以下に引き下げられ、適用対象が縮小されています。ただし、出資金等が1億円を超える組合等は300人以下であれば適用可能です。

参照元:中小企業庁「少額減価償却資産の特例を拡充しました」、国税庁「令和8年度法人税関係法令の改正の概要

少額減価償却資産の特例と一括償却資産の違い

少額減価償却資産の特例と似た減価償却資産の計算にかかわる制度に「一括償却資産」があります。

一括償却資産は、取得価額が10万円以上20万円未満の資産が対象となり、事業の用に供した年以後3年間にわたり、各年に取得価額の3分の1を均等に経費へ算入できる制度です。10万円未満の資産には、別途、全額を必要経費または損金に算入できる制度があります。

申告方法などによる限定は比較的少なく、一定の要件を満たす事業者が利用できる制度である点が少額減価償却資産の特例とは異なります。さらに、対象となる資産が10万円以上20万円未満に限定される点、耐用年数にかかわらず3年で1/3ずつ均等に経費に計上する点なども少額減価償却資産の特例と異なる点です。

参照元:国税庁「確定申告書等作成コーナーよくある質問

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少額減価償却資産の特例を適用できる事業者と対象資産

少額減価償却資産の特例を適用するには、一定の要件を満たす必要があります。

適用可能な事業者

まず、少額減価償却資産の特例を適用できるのは、青色申告を行う中小企業者です。また、一定の農業協同組合等も対象に含まれます。

そのうえで原則として、資本金または出資金の額が1億円以下で、常時使用する従業員が400人以下であることなどの要件が求められます。また、資本金や出資金が1億円以下であっても、1つの大規模法人に発行済株式等の2分の1以上を所有されている場合や、複数の大規模法人に発行済株式等の3分の2以上を所有されている場合、複数の大規模法人から2/3以上の出資を受けている場合などは、対象となりません。そのほか、適用除外事業者の要件にも該当していないことが必要です。

中小企業だけでなく、個人事業主も、青色申告を行い、租税特別措置法上の中小事業者に該当する場合は適用できます。

適用の対象となる資産

少額減価償却資産の特例の対象となる資産は、取得価額が10万円以上40万円未満の減価償却資産です。(主要な事業として行う貸付けを除き、貸付けの用に供した資産は対象外です。また中小企業経営強化税制のE類型の適用を受ける場合、投資計画の期間中は少額減価償却資産の特例を適用できません。)ただし、2026年3月31日までに取得した資産については、30万円未満の資産が対象となります。

減価償却資産とは、時間の経過や使用によって価値が目減りしていく事業用の資産を指します。具体的には、建物や機械、設備、パソコン、デスク、営業車などの有形固定資産のほか、ソフトウェア、特許権といった無形固定資産も該当します。

個人事業主の事業用車の減価償却方法については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。

【関連記事】個人事業主は車にかかる費用を経費にできる?仕訳や減価償却を解説

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少額減価償却資産の特例利用時の注意点

少額減価償却資産の特例を適用できれば、減価償却の手間が減り、節税効果も得られる可能性があります。しかし、少額減価償却資産の特例を利用する際には、以下の点に注意することを忘れないようにしましょう。

上限額が決まっている

少額減価償却資産の特例には適用限度額が決められています。事業年度あたり、または年分あたりの限度額は原則として300万円です。対象資産の金額については40万円未満までと上限額が増加しましたが、全体の適用上限額は変わりません。対象の減価償却資産を複数取得しても、対象になるのは合計で年間300万円までになるのです。

例えば、1台18万円のパソコンを20台取得した場合、取得合計額は360万円です。少額減価償却資産の特例は上限額300万円までであり、全額を対象とすることはできません。このとき、少額減価償却資産の特例の適用対象となるのは、16台分(288万円)です。合計金額の360万円のうち、300万円分を適用できるのではなく、取得した資産ごとの適用になる点に注意しましょう。

また、年の途中から事業を開始し、事業年度が1年に満たない場合は上限額も変わります。300万円は1年の上限額であり、法人の事業年度が1年未満の場合は、300万円を12で割り、その事業年度の月数を掛けて適用限度額を算出します。例えば、事業開始から10ケ月後に決算を迎える場合の年間上限額は、25万円×10=250万円です。

青色申告者のみに適用できる

少額減価償却資産の特例は、中小企業や個人事業主が利用できる制度です。しかし、資本金や出資金、従業員の人数といった要件を満たすだけでは適用されず、青色申告を行っていなければなりません。

特に個人事業主の場合、青色申告ではなく比較的手間をかけずに申告ができる白色申告を行っているケースもあるでしょう。個人事業主であっても、白色申告者は適用対象外となります。

経費化できるのは取得した年ではなく、使用を開始した年から

少額減価償却資産の特例では、減価償却資産を取得して「事業の用に供した場合」に適用できる特例です。例えば、2026年に取得した設備であっても、2026年中に使用を開始していなかった場合は、2026年分の経費には計上できません。資産を取得した日ではなく、使用を開始した年に経費として計上するようにしましょう。

税込経理と税抜経理で取得価額の判定が変わる

経理処理には、消費税を含めて記録する「税込経理」と消費税を含めずに記録する「税抜経理」の2つの方法があります。

少額減価償却資産の特例は、取得価額が10万円以上40万円未満の減価償却資産(10万円未満の資産や一括償却資産を除く)に適用できる制度です。しかし、この取得価額を税込み・税抜きのどちらで判定するかは、採用している消費税の経理方式によって異なり、経理処理の方法に合わせて判別することとなります。

例えば、本体価額が39万円のサーバーを購入したと仮定します。このとき、税抜経理を採用している場合は、取得価額が39万円となるため、少額減価償却資産の特例の対象となります。しかし、税込経理を採用している場合は、取得価額が42.9万円となり、少額減価償却資産の特例の上限である40万円を超えるため、特例を適用することはできません。

また、年間上限額である300万円についても採用している経理方式の金額で計算していくため、税抜経理の場合は税抜価格の合計が300万円まで、税込経理の場合は税込価格の合計300万円までが上限となります。

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少額減価償却資産の特例を適用したい場合の申告手順

少額減価償却資産の特例は、事前に何らかの申請が必要なわけではありません。そのため、少額減価償却資産の特例の要件を満たすかを判断したうえで、確定申告書類を作成することとなります。ここでは、少額減価償却資産の特例を適用させたい場合の手順をご紹介します。

適用要件を満たしているか確認する

まず、少額減価償却資産の特例の適用要件を満たしているか、以下の要件を中心に確認しましょう。

・法人の場合、資本金・出資金が1億円以下である

・法人の場合、常時使用する従業員が原則として400人以下である

・法人の場合、大規模法人の支配下にはない

・青色申告を行っている

取得資産の要件を確認する

事業主が少額減価償却資産の特例の適用要件を満たしていても、取得した資産が要件を満たしていなければ特例を適用することはできません。取得した資産が以下の要件を満たしているか確認しましょう。

・税法上の減価償却資産に該当する

・取得価額が10万円以上40万円未満である

・自社の経理処理基準に基づいて、金額を判断している

・取得した資産を事業の用に供した年または事業年度である

使用を開始した事業年度に全額を経費として計上する

要件を満たすことが確認できたら、損金経理を行い、必要な明細書を確定申告書等に添付したうえで、使用を開始した事業年度に損金算入します。通常の減価償却のように、法定耐用年数にわたって費用を配分する必要はありません。

確定申告書を作成する

少額減価償却資産の特例を適用させる場合、法人と個人事業主では確定申告書の作成手続きが若干異なります。

法人の場合

まず、法人の場合は原則として「別表十六(七)少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書」を作成し、確定申告書と併せて提出します。明細書は、国税庁のホームページからダウンロードが可能です。e-Taxで申告をする場合も明細書を作成して提出します。ただし、一定事項を別表十六(一)・(二)等の備考欄に記載し、明細を保存する方法で代替できる場合があります。

国税庁「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書

また、明細書の「当期の少額減価償却資産の取得価額の合計額((7)の計)」の欄に金額を記載した場合には、「事業年度分の適用額明細書」の添付も求められます。事業年度分の適用額明細書も国税庁のホームページからダウンロードできます。また、e-Taxで申告する際にも添付が必要です。

国税庁「事業年度分の適用額明細書

事業年度分の適用額明細書には以下の事項を記載する必要があります。

「租税特別措置法の条項」の欄:第67条の5第1項

「区分番号」の欄:00277

「適用額」の欄:少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書の「当期の少額減価償却資産の取得価額の合計額((7)の計)」に記載した金額

参照元:国税庁「適用額明細書の記載の手引(令和8年4月1日以後終了事業年度分)」

個人事業主の場合

個人事業主は、青色申告決算書の「減価償却の計算」の欄に、減価償却資産の名称や数量、取得年月日、取得価額などを記載します。

「減価償却資産の名称等」の欄には、少額減価償却資産、「取得価額」には該当資産の合計金額、「償却方法」には少額と記載します。

「本年分の必要経費算入額」の欄には、全額を事業用に使用する場合は取得価額と同額を記載します。事業用と家事用を兼用する場合は、事業専用割合を考慮した金額を記載し、摘要欄に「措法28の2」と記載し、「明細は別途保管」と書き添えます。措法28の2は、租税特別措置法第28条の2を適用する旨を示すものです。原則として明細書の添付が必要ですが、青色申告決算書の『減価償却費の計算』欄に一定事項を記載し、明細を保管することで、添付に代えることができます。

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まとめ

少額減価償却資産の特例は、取得価額が10万円以上40万円未満の減価償却資産(10万円未満の資産や一括償却資産を除く)について、法定耐用年数にかかわらず、年間300万円までであれば使用を開始した年に一括して経費に計上できる制度です。

取得価額をまとめて経費化できるため、利益が出ている年度には節税効果を期待できます。ただし、この制度を利用できるのは一定の要件を満たす中小企業や個人事業主です。
少額減価償却資産の特例は、必ず利用しなければならない制度ではなく、通常の減価償却を行うことも可能です。どちらで処理をすべきか、判断が難しいケースもあるため、税負担を抑えるうえで、どの方法が適しているか判断が難しい場合などは、税理士への相談をおすすめします。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

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