• 税務調査

小規模企業共済は個人事業主でも加入できる?加入方法や必要書類とは

小規模企業共済は個人事業主でも加入できる?加入方法や必要書類とは

読了目安時間:約 6分

個人事業主には退職金制度がありません。また、厚生年金にも加入していないため、リタイア後の生活に不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。

小規模企業共済は、名称に小規模「企業」とあるものの、個人事業主も加入できる制度であり、退職金制度のない個人事業主にとって魅力のある制度です。

今回は、小規模企業共済制度の概要や個人事業主が加入するメリットとデメリット、加入方法などについて解説します。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ
Youtubeでも様々な内容を解説しています!Youtube

小規模企業共済とは

小規模企業共済は、国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する制度です。

小規模企業共済は小規模企業の経営者や個人事業主を支える制度

小規模企業共済制度がスタートしたのは1965年のことです。小規模企業の経営者は、原則として労災保険や雇用保険の対象とはならず、社会保障制度によるサポートが手薄になっています。これは、小規模企業の経営者だけでなく、個人事業主にも同様のことがいえます。

小規模企業共済は、小規模企業の経営者や個人事業主が廃業・退職した後の生活の安定や、事業の再建などに備えるために設けられた制度です。

小規模企業の経営者や個人事業主のための退職金制度

日本の大手企業の多くは退職金制度を整備しています。退職金制度の導入は、義務ではありませんが、退職金には所得税や住民税の優遇措置もあり、退職後の生活を支える重要な資金の一つとなっています。

一方で、退職金制度のない小規模企業の経営者や個人事業主の退職金制度として活用できるのが小規模企業共済です。小規模企業共済は、毎月、自分で決定した掛金を積み立てると、廃業や引退をする際に、共済金としてお金を受け取ることができます。リタイア後の生活にも備えられる小規模事業者の退職金制度として広く認識されています。

小規模企業共済の仕組み

小規模企業共済の掛金は、月額1,000円~70,000円まで500円単位で設定でき、事業の状況に合わせて増額や減額をすることも可能です。また、事業の状況や健康、災害などの理由によって掛金の納付が難しい場合は、一定期間納付を停止することもできます。

共済金として受け取れる額は、基本共済金と付加共済金の合計額です。基本共済金とは、掛金の額や納付月数に応じて、小規模企業共済法施行令で定められた金額が支払われるものです。一方、付加共済金とは、運用収入の状況に応じて算定される金額となります。

共済金の受け取り方法

共済金の受け取り方法には「一括受け取り」「分割受け取り」「一括受け取りと分割受け取り」の3種類があります。

一括受け取りは、一時金としてまとめて受け取る方法であり、分割受け取りは、共済金を10年または15年にわたって受け取る方法です。さらに、一括受け取りと分割受け取りは、一部を一括で受け取り、残額を年金形式で受け取る方法となります。

個人事業主が共済金を受け取れるタイミング

個人事業主が共済金を受け取れるのは、個人事業を廃止したタイミングと個人事業主が死亡したタイミングです。この際に受け取れるのは、共済金Aと呼ばれる共済金です。また、65歳以上で180ヵ月以上掛金を納付していた場合は、老齢給付として、事業を継続中であっても共済金を受け取ることができます。この共済金を共済金Bといいます。

また、個人事業を廃止して法人化し、加入資格を失った場合には準共済金を受け取ることができます。そのほか、途中で解約した場合は、解約手当金という形でお金を受け取ることも可能です。

参照元:共済サポートnavi「共済金等請求・解約

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

小規模企業共済に加入できる個人事業主とは

小規模企業共済という名称であるため、企業でなければ加入できないのではないかと考える人もいるかもしれませんが、小規模企業共済は個人事業主も加入できます。ただし、加入には一定の要件を満たさなければなりません。

個人事業主の加入要件

小規模企業共済に加入できる個人事業主は、以下の要件を満たしている場合です。

・常時使用する従業員の数が基準以下である

・開業届を提出し、事業所得について確定申告をしている

・企業に所属しておらず、給与所得を得ていない

常時使用する従業員の数

常時使用する従業員の数は、業種によって以下のように設定されています。

業種 従業員数
建設業、製造業、運輸業、不動産業、農業、サービス業(宿泊業、娯楽業に限る)等 20人以下
商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業、娯楽業を除く) 5人以下

ただし、家族従業員やパート、アルバイト従業員などは従業員数に含まれません。

また、これは共済加入時の人数要件であり、加入後に従業員数が増加した場合でも、共済契約は継続できます。

参照元:共済サポートnavi「加入資格

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

個人事業主が小規模企業共済に加入するメリット

個人事業主が小規模企業共済に加入することで得られる主なメリットを4つご紹介します。

廃業後に備えられる

個人事業主は、会社員と異なり、厚生年金保険には加入していません。そのため、将来受け取れる年金の額は会社員よりも低くなります。また、退職金制度もありません。

小規模企業共済に加入すれば、月々、掛金を積み立てることで廃業後の生活に備えることができ、老後の不安を軽減できます。

掛金は全額所得控除の対象になる

小規模企業共済の掛金は、全額所得控除の対象となります。課税対象となる所得額から掛金分を差し引けるため、所得税、住民税の納税負担を大幅に軽減できます。

将来受け取れる共済金と所得控除の額を試算できるサイトも用意されているため、加入前には一度シミュレーションを行っておくとよいでしょう。

共済サポートnavi「小規模企業共済 共済金資産シミュレーション

共済金の受け取り方法の自由度が高い

共済金に満期や満額はなく、先ほどご紹介したように、一括、分割、一括と分割の併用といった3種類の受け取り方法が選べます。

一括で受け取る場合は退職所得として扱われるため、退職所得控除が適用され、税負担が大幅に軽減されます。また、分割で受け取る場合は、雑所得として扱われますが、公的年金等控除が適用される仕組みです。

貸付制度も利用できる

小規模企業共済のもう一つの魅力が、貸付制度です。個人事業主は事業規模が小さく、取引先の影響や経済環境の変化を受けやすい状況にあります。小規模企業共済には、資金繰りに困った場合などに低金利で利用できる共済契約者貸付けの仕組みが用意されています。

一般貸付制度

加入後12ヵ月以上の掛金を納付しており、貸付限度額が10万円以上に達した場合に利用できる制度です。急いで資金が必要になる場合、掛金の範囲内で10万円以上2,000万円以内の範囲で借り入れができます。

特別貸付制度

特別な事情によって資金が必要になった場合に利用できる貸付制度です。具体的には以下の6つの貸付制度があります。

・緊急経営安定貸付け

経営環境の変化等による一時的な売上減少など、資金繰りが悪化した場合の経営の安定化を目的とした貸付制度です。

・傷病災害時貸付け

病気や怪我等による入院、災害等による被害によって経営が悪化した場合に利用できる貸付制度です。

・福祉対応貸付け

契約者や同居の親族の福祉向上のために、住宅の改造や福祉機器の購入資金を借り入れられます。

・創業転業時・新規事業展開等貸付け

新規に開業する際や転業する際、事業を多角化する際などに利用できる貸付制度です。

・事業承継貸付け

事業継承に必要となる資金を借り入れることができます。

・廃業準備貸付け

個人事業を廃止する際に必要となる資金を借り入れられます。

それぞれの貸付制度によって借入資格要件は異なるものの、いずれも低い金利で利用できます。

参照元:共済サポートnavi「契約者貸付の概要

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

個人事業主が小規模企業共済に加入するデメリット

さまざまなメリットがある小規模企業共済ですが、しっかり考えたうえで加入しないとデメリットが生じる場合もあります。

個人事業主が小規模企業共済に加入する際に生じるおそれがある主なデメリットは以下の2つです。

元本割れのリスクがある

小規模企業共済は、途中で解約することが可能です。その際、解約手当金が支給されますが、解約手当金は掛金納付月数が240ヵ月未満の場合、元本割れとなります。つまり、一度加入した後は、原則として20年間加入を続けなければ、任意解約時に掛金合計額以上の解約手当金を受け取ることはできないのです。

解約手当金の額は、掛金の納付月数に応じて、納付した掛金の80%~120%相当額が支給されます。掛金の納付月数が短いほど、支給される解約手当金の額は低くなり、損をするおそれが高くなります。また、掛金納付月数が12ヵ月未満であった場合は、解約手当金は支給されず、納付した掛金は掛け捨て扱いとなります。

小規模企業共済は、長期加入を前提に、万が一の事態に備える制度です。途中で解約するおそれが高い場合や事業を長期的に続ける可能性が低い場合などは慎重に加入を検討した方がよいでしょう。

突発的に資金が必要になったときには利用できない

小規模企業共済には、貸付制度があります。掛金納付月数や掛金納付額に応じて、低金利で資金を借り入れることはできます。しかし、資金が必要になったときに、貯蓄のように積み立てていた掛金を引き出すことはできません。

共済金を受け取れるのは、個人事業を廃業したときや個人事業主が死亡したとき、65歳以上で、掛金を180ヵ月以上納付したときなど、限定的です。そのため、事業資金だけでなく、子どもの進学や家族の介護などの生活資金が必要になった場合であっても、掛金を引き出すことはできない点に注意しなければなりません。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

小規模企業共済の加入方法・必要書類

メリットとデメリットの両方を理解したうえで、加入を決定したときには、加入手続きを取ります。ここでは、個人事業主が小規模企業共済に加入する際の手続きや必要書類についてご紹介します。

加入はオンラインまたは窓口で

小規模企業共済は、オンラインまたは窓口で申し込みができます。

オンラインの場合

オンラインで申し込む場合は、小規模企業共済オンライン加入受付サービスにアクセスし、メールアドレスを登録した後、申請を行います。この際、マイナンバーカードとマイナポータルアプリをインストールしたスマートフォンやICカードリーダライタが必要です。

必要事項を入力し、加入資格証明書類をアップロードした後、掛金を引き落とす口座を設定します。その後、中小機構側で加入資格の審査を行い、問題がなければ40日~60日後に審査結果が通知され、無事加入資格の確認が完了した場合には契約証書が送付され、手続きが完了します。

窓口で申し込む場合

中小機構と業務委託契約を締結している団体または金融機関の本支店の窓口で申請をします。手続きができる団体や銀行としては以下のような場所があります。

・商工会

・商工会議所

・青色申告会

・事業協同組合

・損害保険ジャパン株式会社

・アクサ生命保険株式会社

・都市銀行

・信託銀行

・地方銀行

・信用金庫

・信用組合

・農業協同組合など

詳細は、代理店(金融機関)一覧から確認できます。

共済サポートnavi:代理店(金融機関)一覧

窓口に必要書類を提出すると、中小機構に書類が送付され、審査が開始されます。オンライン申請の場合と同じく、申し込み後、40~60日程度で審査結果が通知され、問題がなければ加入手続きは終了します。

加入に必要な書類

個人事業主が小規模企業共済に加入する際に必要な書類は以下のとおりです。

・契約申込書

・預金口座振替申出書

・確定申告書の控えまたは開業届の控え

契約申込書については、窓口で配布されています。オンライン申請の場合は、契約申込書を準備する必要はありません。また、オンライン上で手続きを進めるため、預金口座振替申出書の提出も不要です。しかし、確定申告書の控えや開業届の控えは、提出する必要があります。

電話でのお問い合わせ LINEでのお問い合わせ

まとめ

小規模企業共済は、個人事業主も加入できる中小機構による退職金制度です。事業を廃業する際や死亡した際のほか、65歳以上かつ掛金納付月数が180ヵ月以上となった際に請求することで、共済金を受け取ることができます。また、資金が必要になった場合には、低金利で貸付けを受けることも可能です。

小規模企業共済の最大のメリットは、掛金の全額が所得控除の対象となる点にあるといえます。課税所得額を圧縮できるため、所得税や住民税の負担軽減につながります。

ただし、掛金納付月数が240ヵ月未満で任意解約する場合には、元本割れのリスクがあります。そのため、加入を検討する際には先ほどご紹介したシミュレーションサイトも利用しながら、慎重に検討することが大切です。


-免責事項-

当ブログのコンテンツ・情報について、できる限り正確な情報を提供するように努めておりますが、正確性や安全性を保証するものではありません。内容は記事作成時点の法律に基づいています。当サイトに掲載された内容によって生じた損害等の一切の責任を負いかねますのでご了承ください。

お電話をいただいた後の流れ

税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。

  1. お電話でお状況をお聞きします税務調査の対応を担当する者が直接お話をうかがいます。いつ・どこから連絡が来たか、申告の状況はどうかなど、分かる範囲でお答えいただければ大丈夫です。資料が手元に揃っていなくても構いません。
  2. 今の状況でできることをお伝えしますお聞きした内容から、まず何をすべきか、どのような進め方が考えられるかをご説明します。お電話の段階で費用が発生することはありません。
  3. ご依頼いただくかは、後日あらためてご判断くださいその場でお決めいただく必要はありません。ご相談の進め方や費用のご案内は、内容をうかがったうえで書面にてお示しします。

受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上

  • 現在、税務調査が入っているので困っている
  • 過去分からサポートしてくれる税理士に依頼したい
  • 税務調査に強い税理士に変更したい
  • 自分では対応できないので、税理士に依頼したい
といったお悩みを抱えている方は、まずは初回電話無料相談をご利用ください。
税務調査の専門家が対応させていただきます。

税理士法人松本の強み

  • 税務署目線、税理士目線、お客様目線の三方良しの考え方でアドバイス
  • 過去の無申告分から現在まですべて対応可能
  • 査察案件から税務署案件までの経験と実績が豊富にあります
  • 顧問税理士がさじを投げた案件も途中から対応できます

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断

あわせて読みたい記事

税務調査ブログをもっと見る

税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!

税務調査お悩み解決しませんか?
いますぐ電話1本で相談できます!

専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。
初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。

税理士法人松本代表税理士 松本 崇宏

30秒で完了かんたん税務調査リスク診断