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国税庁が2025年12月に公表した「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」では、AI・データ分析を活用して税務調査の必要度が高い法人を抽出した事例が紹介されました。調査官が原価を中心に決算書を分析し、増加していた外注費を重点的に検討した結果、実地調査で取引実態のない外注費を把握しています。
法人税・消費税を合わせた追徴税額は約3億6千万円でした。ただし、外注費や業務委託費の増加そのものが、直ちに架空経費や税務調査を意味するわけではありません。
同資料の集計対象は、原則として2024年7月から2025年6月までに処理を終了した実地調査です。公表事例では、AI・データ分析が調査必要度の高い法人を抽出し、不正パターンとして「原価」のリスクを示しました。
その後、調査官が決算書を分析し、不審な原価、特に年々増加していた外注費に着目しました。実地調査で重点的に確認した結果、実際の取引がない外注費を把握したという流れです。
「AIが架空経費を自動で発見した」のではなく、AIが調査候補と原価リスクを示し、調査官の分析と実地調査によって事実関係を確認した事例です。約3億6千万円は架空外注費の計上額ではなく、法人税・消費税の追徴税額である点にも注意が必要です。
架空計上された外注費の金額、対象期間、業種、取引先、加算税の内訳は公表されておらず、推測はできません。本記事では、税務調査におけるAIと国税庁の調査官の役割、公表事例の流れ、建設・IT・コンサル事業者などが整理しておきたい契約書・請求書・成果物・支払記録について確認します。
目次
国税庁はAIの予測モデルを用いて、税務調査の必要度が高い法人を多数の申告法人から抽出しています。ただし、AIだけで調査対象や架空経費の有無が決まるわけではなく、調査官が資料を分析して最終的に判断します。
AIは申告書の情報と国税当局が保有する資料を組み合わせ、調査必要度と想定される不正パターンを判定します。不正パターンは「売上・原価・経費」などに区分され、調査官が確認すべき項目を絞り込む材料になります。
国税庁の公表事例では、AIが対象法人のリスクを「原価」と判定しました。その後、調査官が決算書を分析し、年々増加していた原価のうち、不審な外注費を重点的に検討しています。
建設・IT・コンサル事業のように外注や業務委託を活用する法人でも、外注費が増えたという事実だけで税務調査が決まるわけではありません。一方、売上高、受注量、人員数、過年度の実績などとの関係を合理的に説明しにくい増加は、調査候補を検討する材料になり得ます。
AIの判定は、あくまで調査候補を効率的に絞り込むための情報です。AIが外注費を自動的に架空経費と認定したり、AIの評価だけで税務調査の実施が決まったりするものではありません。
調査官は申告書、決算書、国税当局の保有資料などを分析し、調査実施の要否を判断します。実際の不正の把握も、人による分析と実地調査を経て行われます。
「AIに目を付けられた」と過度に不安になるのではなく、AIは多数の法人から確認候補を絞る手段だと理解することが大切です。外注費の変動に説明しにくい点がある場合は、自己判断せず税理士に確認すると安心です。
外注費が増加したという事実だけで、架空経費や税務調査の対象になるとは断定できません。建設・IT・コンサル事業では、受注増加や人手不足、専門業務の委託、事業拡大に伴って外注費が増える合理的なケースがあります。
外注費の増加=不正ではありません。重要なのは、増加した理由と実際の取引内容を、売上や受注状況、業務資料などに基づいて説明できることです。
国税庁の公表事例でも、AIの判定だけで架空外注費が認定されたわけではありません。AIによるリスク抽出後、調査官が決算書の原価を分析し、実地調査によって取引実態のない外注費を把握しています。
売上や事業の変化との関係を説明しにくい増加は、税務調査で確認される材料になり得ます。ただし、次の項目はいずれも不正を断定する基準ではなく、取引の合理性を確認するための観点です。
正当な外注費には、実際の発注、業務の実施、成果物の納品、代金の支払いという実態があります。契約書や請求書があっても、業務が行われていなければ、取引実態を説明する資料として不十分となる可能性があります。
税務調査で外注費を説明する際は、書類の形式だけでなく、業務内容や成果物との対応関係が重要です。増加理由や取引実態の整理に不安がある場合は、資料を確認できる税理士へ相談することが望ましいでしょう。
国税庁の公表事例では、AIが架空経費を直接発見したのではありません。AIによる候補抽出、調査官の決算書分析、実地調査による取引実態の確認という順序で進みました。
AIは調査必要度の高い法人を抽出し、想定される不正パターンを「原価」と判定しました。ただし、この段階で架空外注費が確定したわけではありません。
調査官はAIのリスク判定をそのまま結論にせず、原価を中心に決算書を分析しました。その結果、原価の中でも年々増加していた外注費に不審点を見いだし、具体的な確認対象を絞り込みました。
実地調査では、外注費に対応する取引が実際に存在したかを重点的に検討しました。税務調査では帳簿への記載や請求書の有無だけでなく、実際に外注業務が行われたことを説明できるかが重要です。
建設・IT・コンサル事業者などは、契約内容、成果物、作業記録、支払記録が取引実態と整合しているかを確認される可能性があります。なお、具体的な質問内容や調査日数は国税庁の公表資料に記載されていないため、推測はできません。
実地調査の結果、取引実態のない外注費が把握されました。法人税・消費税を合わせた追徴税額は約3億6千万円ですが、これは架空外注費の計上額そのものではありません。
税務調査におけるAIの役割は、調査候補とリスクの種類を示すことです。その後は人が具体的な勘定科目を分析し、最終的に実地調査で取引実態を確認します。
外注費が増えたことだけで不正と判断されるわけではありません。一方、増加理由だけでなく取引の実在性まで説明できる状態にすることが重要であり、判断に迷う場合は税理士へ相談することをおすすめします。
国税庁が公表したAI・データ分析の活用事例では、取引実態のない外注費が把握され、法人税・消費税の追徴税額は約3億6千万円でした。ただし、約3億6千万円は架空外注費自体の金額ではありません。
公表されているのは追徴税額であり、架空計上された外注費の総額ではない点に注意が必要です。架空計上額、対象期間、業種、取引先、加算税の内訳などは公表されていないため、公表資料にない事情を推測することはできません。
今回の約3億6千万円は、同じ資料に掲載されたほかの事例より高額です。国税庁の公表資料に記載された内容と金額を比較すると、次のとおりです。
この比較表は、国税庁「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」の表記に合わせています。税務調査で外注費が問題になった場合でも、個別事情が異なるため、この金額から自社の追徴額を推計することは適切ではありません。
3,407億円は、実地調査による法人税・消費税の追徴税額総額です。前年比6.6%増で直近10年の最高額ですが、AIで抽出された一法人の追徴税額約3億6千万円とは別の数字です。
建設・IT・コンサル事業者などで業務委託費が増えていても、それだけで架空経費と判断されるわけではありません。国税庁の公表額の大きさだけで不安を強めず、自社の取引実態や申告内容に懸念がある場合は、税理士へ個別に確認することが重要です。
まず、外注取引の実在性を示す資料を取引先・案件ごとに整理し、契約から支払いまでの流れを確認します。外注費が増加している場合は、売上や案件数、人員などとの関係を数値で説明できるようにしましょう。
請求書だけではなく、誰に、どの業務を依頼し、何が納品され、いくら支払ったかを一連の資料で示すことが重要です。建設、IT、コンサルティングなど、成果が書面だけでは確認しにくい業務では連絡記録も整理します。
契約内容と請求内容が一致し、請求された業務に対応する成果物があるかを確認します。発注日、納品日、請求日、支払日の矛盾、契約先・請求元と支払先名義の不一致がないかも重要です。
さらに、外注費の計上時期と実際に役務提供を受けた時期との関係を説明できる状態にします。国税庁がAIやデータ分析を活用していても、外注費の増加だけで架空経費と判断されるわけではありません。
前年度との比較表や案件別集計を作り、売上高、受注件数、外注案件数、作業量との関係を整理します。従業員数の減少や採用難、内製から外注への変更、専門業務の委託、単価改定や物価上昇も数値や既存資料と結び付けます。
「増えた理由」だけでなく、「どの数値がどの程度変化したか」まで説明できる準備が大切です。
現在そろっている資料を確認し、不足があれば業務当時の既存記録を探します。後から事実と異なる書類を作るのではなく、今後の証憑管理体制も改善してください。
当事務所に寄せられるご相談の傾向として、調査の連絡から実際の調査日までに、準備内容が分からないまま当日を迎える方も少なくありません。税務調査に備え、最初に資料整理の段取りを決めることが重要です。
外注費の増加だけで税務調査の対象になるとは断定できません。国税庁はAIの分析結果に加え、申告書や保有資料などを組み合わせ、調査官が調査実施の要否を判断します。建設・IT・コンサル事業者など外注費が増えている法人は、増加理由と取引実態を説明できる資料を整理しておくことが重要です。
AIが架空経費を自動的に認定したわけではありません。国税庁の公表事例では、AIが調査必要度の高い法人と「原価」のリスクを示し、調査官が外注費を分析した後、実地調査で取引実態がないことを確認しました。約3億6千万円は架空外注費の計上額ではなく、法人税・消費税を合わせた追徴税額であり、架空計上額や加算税の内訳は公表されていません。
請求書だけで外注費の実在性を十分に説明できるとは限りません。契約書、発注記録、成果物、作業報告、支払記録などを組み合わせ、実際に業務が行われたことを説明できる状態が望まれます。個人事業主への外注自体が直ちに問題になるわけではありませんが、契約内容や業務実態、成果物、支払いについて個別の税務判断が必要な場合は、税理士へご相談ください。
国税庁の公表事例では、AI・データ分析によって調査必要度の高い法人が抽出され、不正リスクのある項目として「原価」が示されました。その後、調査官が決算書を分析し、年々増加していた外注費を重点的に検討した結果、実地調査で取引実態のない外注費が把握されています。
この事例における法人税・消費税の追徴税額は、国税庁の公表資料によると約3億6千万円です。ただし、この金額は架空外注費そのものの金額ではなく、法人税・消費税を合わせた追徴税額である点に注意が必要です。
一方、外注費が増加しただけで、架空経費と判断されるわけではありません。また、AIが単独で不正を認定したり、税務調査の実施を決定したりするものでもなく、申告書や保有資料などを調査官が分析して判断します。
建設・IT・コンサル事業者など、外注費や業務委託費が増えている法人は、その理由を売上、受注量、人員体制などとの関係から合理的に説明できるようにしておくことが大切です。あわせて、次の資料から実際に業務が行われたことを確認できる状態にしておきましょう。
請求書があることだけでなく、契約から業務の実施、成果、支払いまでを一貫して説明できることが重要です。国税庁によるAI・データ分析の活用を必要以上に恐れるのではなく、外注取引の実態を資料に基づいて整理することが現実的な備えになります。
資料に不足がある、外注先の実態に懸念があるなど、不明点を抱えたままにすることは避けましょう。税務調査への対応は初動によって結果が変わる可能性があるため、不安がある場合は早めに税務調査に強い税理士へ相談することをおすすめします。
税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。
受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
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