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確定申告をしただけで、税務署がすべての個人事業主の借入状況を一律に把握するわけではありません。借入金の元本は原則として所得ではないため、通常は売上や収入として申告するものではありません。
ただし、申告内容の確認や税務調査では、通帳、帳簿、借用証・契約書、返済履歴などから入出金の実態を確認される可能性があります。通帳への入金が借入金であると説明できる資料を残しておくことが大切です。
「借金が税務署に知られるのではないか」「借入金まで売上と疑われたらどうしよう」と不安になる方もいるでしょう。税務上は借金の有無そのものより、入金の性質や帳簿との整合性、返済の実態が確認対象になります。
この記事では、借入金の確定申告上の扱い、税務署に確認されやすいケース、事業用借入・親族間の貸し借り・住宅ローンで注意したい点を説明します。あわせて、税務調査に備えて保存しておきたい契約書や返済記録も整理しますので、ご自身の入出金を確認する際の参考にしてください。
目次
確定申告をしたことで借金が直ちに税務署へ知られ、課税や申告漏れを指摘されるわけではありません。消費者金融、カードローン、銀行融資、事業融資などで受け取った借入金の元本は所得ではないため、原則として所得税の申告対象ではありません。
ただし、「借金がバレる」には、税務署が借入の存在を把握することと、通帳上の入金を売上や所得ではないか確認することの2つがあります。税務署が確認するのは借入の有無そのものよりも、入金の性質と申告内容が一致しているかです。
借入元本の受取りは、通常、確定申告書に所得として記載する必要がありません。一方で、帳簿を作成する個人事業主は、事業用口座への入金を借入金として記帳し、契約書や返済記録を保管する必要があります。申告が不要であることと、借入の記録が不要であることは別です。
特に確認されやすいのは、事業用口座にある説明できない入金です。売上計上漏れが疑われる入金、親族からの入金を借入金と説明しているケース、現金売上と借入金の区別が帳簿上できないケースでは、入金の根拠を求められる可能性があります。
これらがなければ、まとまった入金を売上、雑所得、親族からの贈与などではないかと確認されることがあります。親族間の貸借は、形式だけの借用書では足りず、返済の実態も判断材料になります。親族から受け取った金銭が真実の貸借と認められない場合には、贈与として扱われる可能性があります。
税務調査などでは、税務職員が帳簿書類の提示や提出を求め、入出金と申告内容の整合性を確認することがあります。借入の根拠資料を紛失している、または帳簿とのズレがある場合は、説明する前に税理士へ相談し、事実関係と資料を整理しておくとよいでしょう。
確定申告をしても、借入金の元本そのものが売上や所得として扱われるわけではありません。ただし、通帳に入ったお金や返済額について説明できないと、収入や経費との区別を確認されることがあるため、元本・返済・利息を分けて処理する必要があります。
借入に関する税務処理は、受け取った元本、返済した元本、支払った利息で扱いが異なります。特に、ローンの毎月返済額を全額経費にしてしまうと、所得を少なく申告する結果になりかねません。
銀行融資やカードローンなどで受け取った借入元本は、原則として収入・売上ではなく課税対象にもなりません。個人事業主が事業資金として借りた場合は、帳簿上「借入金」として記録します。
借りたお金を事業に使う予定でも、受け取った時点で必要経費になるわけではありません。通帳への入金が借入であることを示せるよう、契約書、借用証、振込記録、返済予定表は保管しておくとよいでしょう。
住宅ローン、不動産投資ローン、事業融資のいずれでも、返済額のうち元本部分は必要経費にできません。元本の返済は、借りたお金を返しているだけであり、所得を得るために支出した費用とは扱われないためです。
毎月の返済額をそのまま経費に計上する誤りには注意が必要です。不動産所得の計算でも、賃貸用建物のローン返済の元本部分は必要経費になりません。国税庁の案内も確認し、元本と利息を返済明細で分けて記帳してください。
事業所得や不動産所得を得るために直接必要な借入であれば、支払利息は必要経費になり得ます。一方、生活費などプライベートな借入の利息は原則として経費にできず、事業用と私用が混在する借入は、使途に応じて合理的に区分します。
また、借入金で車両、パソコン、設備、建物などを購入しても、購入代金を直ちに一括経費にできるとは限りません。固定資産に当たるものは減価償却の対象となるため、借入で買ったかどうかではなく、何を取得したかで処理を判断します。処理に迷う場合は、返済明細と購入資料をそろえて税理士に確認してください。
税務調査では、借入があること自体よりも、通帳や帳簿にある入出金が実態と合っているかを確認されます。まとまった入金を借入金として説明するなら、契約から返済までを裏付ける資料をそろえておくことが必要です。
税務職員には、質問を行い、帳簿書類などの検査や提示・提出を求める権限があります。申告書だけでは分からない入金について確認を受けることもあるため、説明できない入金を口座に残さないことが大切です。
借入金として処理した入金は、「誰から、いつ、いくら借り、どのように返済する約束か」を資料と記録で説明します。書類が一部しかない場合でも、通帳履歴や帳簿を含めて全体に矛盾がないかが確認されます。
特に親族や知人からの借入では、口約束だけでは資金の性質を説明しにくくなります。返済日・返済額・返済方法を記録し、実際の返済を原則として振込で残しておくと、資金の流れを確認しやすくなります。
帳簿に「借入金」と記載していても、通帳や返済記録と合わなければ、売上や報酬などではないかを確認される可能性があります。事業用として借りた資金の使途と、経費処理の内容も整合している必要があります。
借入元本は所得ではありませんが、本来は売上や副業収入である入金を借入金として処理していたと判断されると、申告漏れの問題になり得ます。帳簿の残高と通帳の動きを定期的に照合し、差額があれば理由を確認しておきましょう。
事業者には記帳と帳簿書類の保存義務があります。青色申告では、預金通帳や借用証などの現金預金取引関係書類は、原則として7年間保存する必要があります。
電子メールやウェブサービスで受け取った請求書・領収書・契約書などは、電子帳簿保存法への対応が必要になる場合があります。資料を後から作り直すのではなく、借入時点から契約書、入金、返済、利息の記録をまとめて保存してください。
借入金の処理や資料不足に不安がある場合は、調査前に税理士へ通帳・帳簿・契約書をまとめて確認してもらうとよいでしょう。
親や兄弟姉妹、配偶者、知人から受け取ったお金は、実態が貸付であれば贈与には当たりません。ただし、親族間などでは返済の約束や実際の返済が曖昧になりやすく、税務上は贈与と判断されるおそれがあります。
借用書の有無だけでなく、返す意思・返済能力と、返済した事実を説明できるかが判断の中心です。通帳にまとまった入金があり、その資金で生活費や事業資金を賄っている場合には、入金の性質を説明できる資料をそろえておく必要があります。
親族からの資金援助でも、本当に返す約束に基づく貸借であれば、借入金として扱われます。貸主と借主の関係だけで決まるのではなく、返済可能な条件で約束し、その約束どおり返済しているかが確認されます。
契約書には、貸主・借主の氏名、借入額、借入日、返済期日、返済額、返済方法を記載します。返済は現金手渡しよりも銀行振込で行い、通帳上に返済履歴を残すほうが、後から資金の流れを説明しやすくなります。
「出世払い」「余裕ができたら返す」といった約束では、返済条件が具体的とはいえません。返済期限がなく、実際にも返済していない場合は、当初から返済を求めない資金提供だったと見られる可能性があります。
特に、税務署から確認を受けた後に借用書だけを作成しても、入金時の合意や返済実態を裏付けなければ十分な説明になりません。国税庁も、返済能力や返済状況から真の貸借と認められないものは贈与として取り扱う考え方を示しています。国税庁「親から金銭を借りた場合」
親族から無利子で借りていても、それだけで直ちに贈与と決まるわけではありません。ただし、利息を支払わないことで得る利息相当額の利益が、贈与として扱われる可能性があります。
高額または長期の貸付では、無利子とした理由、返済条件、実際の返済をより慎重に記録しておく必要があります。借入金として帳簿に記録していても、通帳や契約書と合わない場合には説明が難しくなるため、不安があるときは申告前または調査対応前に税理士へ確認することをおすすめします。
借入元本は原則として所得ではないため、確定申告で収入として申告する必要はありません。ただし、事業用口座への入金や親族からの借入は、売上や贈与と混同されないよう、借入の根拠と返済記録を残す必要があります。
申告書に借入金を記載するかよりも、入金の理由を帳簿・通帳・契約書で説明できる状態にすることが大切です。
生活費のために借りたカードローンや消費者金融の借入元本は、原則として確定申告の対象ではありません。生活費に使った借入の利息も、事業との関係がないため、原則として必要経費にはできません。
借入金が事業用口座に入金される場合は、入金が売上ではないと説明できるよう、利用明細や契約内容、通帳の記録を保存してください。生活費と事業資金が同じ口座で動いている場合は、使途を後から説明しにくくなるため、入出金の内容をメモしておくとよいでしょう。
銀行融資や制度融資で受け取った金額は売上ではなく、帳簿上は借入金として記録します。元本の返済額は必要経費になりませんが、事業の収入を得るために必要な借入の利息は、必要経費にできる可能性があります。
融資契約書、返済予定表、通帳、借入金台帳をそろえ、受入額・返済額・利息額が帳簿と一致するようにしてください。借入金で設備などの事業用資産を購入した場合も、購入代金を一括で経費にするのではなく、資産の内容に応じて減価償却などを検討します。
親族から事業資金や生活費を借りる場合は、借入額、返済期日、返済方法、利息の有無を記した契約書を作成してください。資金の受渡しと返済は、原則として現金手渡しではなく口座振込で行い、客観的な履歴を残します。
返済能力や返済実態がなく、形式的な借用書だけがある場合は、贈与と判断されるおそれがあります。無利子での借入も含め、贈与税の扱いが問題になることがあるため、金額や条件によっては国税庁の説明を確認し、税理士に相談してください。
債務免除を受けた場合、免除された金額による利益は、原則として所得計算上の収入になる可能性があります。一方で、資力を喪失して弁済が著しく困難な場合などには、非課税となる例外があります。
自己破産や任意整理、事業上の債務整理が関係する場合は、所得税だけで判断しないことが必要です。債務免除の合意書や手続関係書類を保管したうえで、税理士や弁護士などに確認することをおすすめします。
住宅ローン控除を受ける場合は、年末残高証明書などを用いて申告手続きを行います。このため、借入元本は所得ではなくても、控除申請を通じて住宅ローン残高などの情報が税務手続に現れます。
金融機関によっては、年末残高等調書を税務署へ提出する方式に対応している場合もあります。居住開始時期、住宅の用途、連帯債務や借換えの内容も申告と関係するため、住宅ローン控除の案内を確認し、不明点は申告前に税理士へ相談してください。
借入金であることを説明する資料は、税務調査の連絡を受けてからではなく、借入時点からそろえて保存してください。個人事業主だけでなく、副業収入がある会社員も、入金の性質を示せる記録があれば、借入を売上や報酬と取り違えられるリスクを抑えやすくなります。
通帳にまとまった入金があっても、契約内容、入金記録、返済記録が帳簿と一致していれば、資金の流れを説明しやすくなります。青色申告者は、預金通帳や借用証などの現金預金取引関係書類を原則7年保存します。
借入の根拠と使い道を同時に確認できる状態にしておくことが大切です。金融機関からの融資だけでなく、親族・知人から借りる場合にも、口約束で済ませず書面と振込履歴を残してください。
特に親族・知人からの借入は、借用証だけでなく、実際に返済した記録も必要です。返済の実態が乏しい場合は、真実の貸借ではなく贈与と判断される可能性があるため、返済は可能な限り振込で行いましょう。
借入元本の受取りは売上ではなく、借入金として記帳します。元本を返済した際は借入金残高を減らす処理とし、必要経費には計上しません。
利息は、事業の収入を得るための借入に対応する部分に限り、支払利息などとして処理を検討します。私用の借入に係る利息や元本返済を事業経費に混ぜないことが必要であり、判断に迷う場合は税理士に確認してください。
事業専用の口座を用意すると、売上・経費・借入金・返済の流れを説明しやすくなります。私用口座から事業資金を補填した場合も、事業主借・事業主貸として帳簿に記録し、入出金の理由を残します。
現金取引が多いほど、後から資金の出所や使途を説明しにくくなります。借入、返済、経費の支払いには振込やカード決済を用い、明細と領収書を対応させて保管するとよいでしょう。
借金があるという理由だけで、税務署から連絡が来るわけではありません。ただし、申告内容や通帳の入出金に不自然な点があり、借入金なのか売上・報酬なのかを確認する必要がある場合は、問い合わせや調査の対象となる可能性があります。
借入であることを説明できるよう、契約書、借入時の振込記録、返済記録を保存しておくことが大切です。
カードローンなどで受け取った借入元本は、原則として所得ではないため、通常は確定申告で収入として申告する必要はありません。一方、個人事業主が事業資金として借りた場合は、帳簿に借入金として記録し、契約内容や返済記録も残しておく必要があります。
事業用と私用の資金が混在している場合は、利息を含む処理が変わることがあるため、判断に迷うときは税理士に確認すると安心です。
借入金の元本返済は、必要経費にはなりません。事業のために借りた資金であっても、返済額のうち元本部分を経費として計上すると、申告内容と帳簿の整合性を確認される場合があります。
ただし、事業や不動産所得の収入を得るために直接必要な借入であれば、利息部分は必要経費となる可能性があります。私的な借入の利息は経費にできないため、使途に応じて区分し、不明な場合は税理士へ相談してください。
借入金の元本は、原則として所得ではないため、通常は確定申告で収入として申告するものではありません。借金があるだけで問題になるわけではなく、入金が本当に借入金なのかを説明できる状態にしておくことが大切です。
税務署が確認する場合は、売上や報酬、贈与を借入金として処理していないか、借入金の使途と帳簿処理が一致しているかが見られます。事業用の借入では、元本の返済は必要経費にならず、事業に関係する利息に限って経費となり得ます。
親族や知人から借りた資金は、借用書を作成しただけでは十分とは限りません。返済日・返済額・返済方法などの条件、返済できる収入や資力、実際に返済した記録をそろえ、真実の貸借であることを示せるようにしましょう。
税務調査への備えとしては、次の資料を入出金や帳簿の内容と矛盾しない形で保存します。
借入の根拠と資金の流れを、第三者が資料で確認できる状態にしておくことが安心につながります。借入金の使途、債務免除、親族間の貸付、事業用と私用のお金の混在に不安がある場合は、申告前に税理士へ相談してください。
税務署から連絡を受けた後は、説明や資料提出の内容がその後の対応に影響します。税務調査の対応は初動で結果が変わるため、不安な場合は税務調査に強い税理士へ早めに相談しましょう。
税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。
受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
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