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適切に税金の申告や納付が行われなかったときには、本来の税額に加えて、加算税の納付が求められます。税務調査で指摘を受けると追徴課税として加算税も含めた税金が課されるイメージを抱いている人も多いかもしれません。しかし、実際には税務調査で指摘を受けるシーンだけでなく、自主的に正しく申告をし直した場合でも加算税が課される可能性があります。
では、加算税にはどのような種類があり、加算税の額はどのように計算されるのでしょうか。
今回は、加算税の種類や計算方法、付帯税の一つである延滞税との違いなどについて分かりやすく解説します。
目次
加算税とは、申告納税方式がとられている国税について、法定申告期限までに適切に申告がなされなかった場合などに課される税金です。そのほか、法定申告期限内までに申告はしているものの、申告額が少なかった場合などにも課されます。
加算税は、本来支払うべき税金である本税に上乗せされて納付を求められるものであり、ルール違反をしたことに対する罰金的な意味合いがあります。
加算税は申告納税方式がとられている国税が賦課の対象となります。2026年現在、申告納税方式の対象となっている国税は以下のとおりです。
・法人税
・所得税
・源泉所得税
・消費税
・相続税
・贈与税
したがって、これらの税金を法定申告期限までに正しく申告していなかった場合は、加算税が課される可能性があります。
申告納税方式の対象となっている国税は上に挙げたとおりですが、税目ごとに法定申告期限は異なります。したがって、税目ごとの法定申告期限を把握していないと申告期限に遅れる可能性があり、加算税が課される恐れが出てくる点に注意しなければなりません。各税目の法定申告期限は次のとおりです。
・法人税:事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内
・所得税:翌年の3月15日。ただし、土曜や日曜に重なる場合は翌月曜日
・源泉所得税:原則として報酬を支払った月の翌月10日
・消費税:翌年の3月31日。ただし、土曜や日曜に重なる場合は翌月曜日
・相続税:相続の開始を知った日(亡くなったことを知った日)の翌日から10ヶ月以内
・贈与税:贈与を受けた年の翌年の3月15日
加算税には、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4つがあります。
過少申告加算税とは、法定期限内に申告を行ったものの、申告額が少なかったことに対して課されるペナルティです。
法定期限内に申告を行わなかった場合に課されます。
従業員の給与や報酬から天引きした源泉所得税を期限までに納付しなかった場合に課される加算税です。
事実を隠蔽したり、仮装したりといった悪質な行為が認められる場合に課される最も重い税率の加算税です。
加算税の税率は、加算税の種類と正しい申告書を提出するタイミングによって変わってきます。税務調査で申告が適切でないことが発覚し、修正申告書や期限後申告書を提出した場合に課される税率を原則税率といいます。しかし、税務調査が実施される前に自主的に修正申告や期限後申告を行った場合、税率は軽減される仕組みです。また、自主的な修正申告と期限後申告を行う場合でも、税務調査の事前通知前に行うか、事前通知を受けてから行うかによって税率が変わります。
それぞれの加算税の税率について解説します。
・原則税率
不足分の税額が期限内申告税額か50万円のいずれか多い金額以下の部分 10%
不足分の税額が期限内申告税額か50万円のいずれか多い金額を超える部分 15%
・税務調査の事前通知を受けてから修正申告を行った場合
不足分の税額が期限内申告税額か50万円のいずれか多い金額以下の部分 5%
不足分の税額が期限内申告税額か50万円のいずれか多い金額を超える部分 10%
・税務調査の事前通知を受ける前に修正申告を行った場合
過少申告加算税は免除されます。
過少申告加算税の額は、次の計算式で求められます。
過少申告加算税=(本来納めるべき税額-期限内に申告した税額)×税率
ただし、計算された過少申告加算税の金額が5,000円未満になるときは、全額切り捨てとなるため、納付義務は発生しません。また、算出額に100円未満の端数がある場合、端数は切り捨てられます。加えて、本来納めるべき税額の1万円未満の端数は切り捨てて計算をするため、納付すべき額が1万円未満の場合は全額切り捨てとなり、過少申告加算税は加算されません。
たとえば、税務調査で過少申告を指摘され、過少申告加算税の納付が求められると想定したとき、本来納めるべき税額が150万円であるところ、申告した額は30万円であった場合、差額は120万円となり、過少申告加算税の額は次のように計算します。
1.50万円以下の部分:50万円×10%=5万円
2.50万円を超える部分:70万円×15%=10.5万円
3.過少申告加算税の額:5万円+10.5万円=15.5万円
したがって、この場合は、不足分の税額120万円に過少申告加算税15.5万円を加え、さらに後述する延滞税を含めた額の納付が必要になります。
不足分の税額が50万円以下の部分 15%
不足分の税額が50万円超300万円以下の部分 20%
不足分の税額が300万円超の部分 30%
・税務調査の事前通知を受けてから期限後申告を行った場合
不足分の税額が50万円以下の部分 10%
不足分の税額が50万円超300万円以下の部分 15%
不足分の税額が300万円超の部分 25%
・税務調査の事前通知を受ける前に期限後申告を行った場合
税額にかかわらず一律5%
ただし、前年度および前々年度において無申告加算税を賦課された納税者が再び期限内に申告を行わない無申告行為を繰り返した場合は、さらに税率が10%上乗せされます。
無申告加算税の額は、次の式で計算できます。
無申告加算税=本来納めるべき税額×税率
ただし、計算された無申告加算税の金額が5,000円未満になるときは、全額切り捨てとなるため、納付義務は発生しません。また、算出額に100円未満の端数がある場合、端数は切り捨てられます。加えて、本来納めるべき税額の1万円未満の端数は切り捨てて計算をするため、納付すべき額が1万円未満の場合は全額切り捨てとなり、無申告加算税は加算されません。
たとえば、税務調査で無申告を指摘され、無申告加算税が課されると想定したときに、本来納めるべき税額が150万円である場合の無申告加算税の額は次のように計算できます。
したがって、この場合には不足分の税金150万円に無申告加算税27.5万円と延滞税の納付が求められます。
10%
・税務調査の前に期限後納付を行った場合
5%
ただし、過去1年間に納付遅れがなく、法定納期限から1ヶ月以内に期限後納付を行った場合は免除されます。
不納付加算税の税額は以下の計算式で求められます。
不納付加算税=納付すべき源泉所得税額×税率
ただし、計算された不納付加算税の金額が5,000円未満になるときは、全額切り捨てとなるため、納付義務は発生しません。
税務調査で源泉所得税の納付漏れが指摘され、不納付加算税が課されると想定したときに、納めるべき源泉所得税の額が50万円であった場合、不納付加算税の額は次のように計算できます。
50万円×10%=5万円
この場合は、源泉徴収をした所得税50万円に不納付加算税5万円と延滞税を加えた額の納付が求められます。
・無申告加算税に代えて重加算税が賦課される場合 40%
・過少申告加算税に代えて重加算税が賦課される場合 35%
・不納付加算税に代えて重加算税が賦課される場合 35%
ただし、過去5年以内に無申告加算税に代えて重加算税を賦課されたことがある場合、10%加重されます。前年および前々年に無申告で重加算税を課された納税者が再び無申告であった場合も10%加重されます。この場合、重加算税の税率は50%となります。
そのほか、電子帳簿保存法に関わる不正が発覚した場合も10%の重加対象です。
参照元:財務省「加算税制度の概要」
・過少申告加算税に代えて課される場合
過少申告加算税に代えて重加算税が課される場合の税率は35%です。
たとえば、600万円を納付すべきところ、当初の申告税額が200万円であったと仮定します。差額の400万円のうち、300万円分については売上の隠蔽が認められ、100万円分については単純な計算の間違いによって税額が不足していたとすると、100万円分については過少申告加算税、300万円分については、重加算税が課されます。
したがって、この場合の重加算税の額は300万円×35%=105万円となり、過少申告加算税12.5万円と、延滞税を合わせた額の納付が求められます。
・無申告加算税に代えて課される場合
無申告加算税に代えて重加算税が課される場合の税率は40%です。
たとえば、400万円分について売上の隠蔽が認められたと仮定します。この場合、重加算税の額は400万円×40%=160万円となります。
したがって、この場合は、不足分の税額400万円に、重加算税160万円、延滞税を加えた額の納付が求められることとなります。
・不納付加算税に代えて課される場合
不納付加算税に代えて重加算税が課される場合の税率は35%です。
未納分の源泉所得税の額が500万円のうち、計算ミスによる未納が200万円、隠蔽が認められる部分が300万円であった場合、重加算税の対象は300万円分となります。したがって、重加算税の額は、300万円×35%=105万円と計算できます。
また、200万円については不納付加算税の20万円が課されるため、不足分の500万円に重加算税105万円と不納付加算税20万円、延滞税を加えた額の納付が求められます。
期限までに申告をしていない場合や申告額が不足していた場合などは、加算税のほかに延滞税の納付も求められるケースがあります。加算税と延滞税は、税務調査で無申告や不正申告が発生した場合、合わせて課されることが多いため、両者を混同しているケースも少なくありません。ここでは加算税と延滞税の違いについて解説します。
延滞税とは、税金の納付が遅れたことに対して課されるペナルティです。延滞税も加算税もいずれも本来納める税金に追加で課される付帯税に該当します。加算税は、申告漏れや申告の不備・不正など、正しい申告を行わなかったことに対するペナルティであるのに対し、延滞税は税金の納付が遅れたことに対して課されるペナルティです。
納付が遅れたことに対する利息的な意味合いを持つことから、延滞税は、法定納期限の翌日から納付が完了する日まで、日割りで計算されます。したがって、納付が遅れれば遅れるほど延滞税の額は増えることとなります。
延滞税には利息的な意味合いがあるため、金融市場の金利水準を反映した延滞税特例基準割合が適用されます。延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までとそれ以降で税率が分けられています。ここ数年の延滞税の税率は次のようになっています。
・令和4年1月1日~令和7年12月31日
納期限の翌日から2ヶ月まで 2.4%
それ以降 8.7%
・令和8年1月1日~令和8年12月31日
納期限の翌日から2ヶ月まで 2.8%
それ以降 9.1%
参照元:国税庁「延滞税の割合」
延滞税と無申告加算税の違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
<関連記事>無申告のペナルティ「無申告加算税」と「延滞税」はどう違う?
延滞税の額は、次の計算式で求められます。
延滞税の額=納付すべき本税の額(10,000円未満の端数切り捨て)×延滞税の割合×延滞日数÷365日
ただし、延滞税の税率は法定納期限の翌日から2ヶ月目までとそれ以降の2段階で分けられているため、延滞日数によって割合を変えて算出しなければならない点に注意が必要です。
参照元:国税庁「延滞税の計算方法」
加算税とは、期限内に申告をしていなかった場合や申告額が不足していた場合などに課される税金です。加算税には、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税の4つがあります。このうち最も重い税率が課されるのは、仮装・隠蔽行為が認められた場合に適用される重加算税です。
加算税が賦課された場合、本来よりも多くの税金を納付しなければなりません。しかし、税務調査が実施される前に自主的に正しく申告をし直すと、加算税の税率が軽減される場合があります。期限内に申告をしていない、申告はしているものの申告額が正しくないといった自覚がある場合には、税務調査が実施される前に正しく申告を行うことをおすすめします。
正しい申告の方法が分からない場合などはお気軽に税理士法人松本までご相談ください。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在14名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
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