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年末調整後や退職時に受け取る源泉徴収票には、年収や所得・所得税額・社会保険料・各種控除など、税金に関する重要な情報が記載されています。しかし、「見方がよくわからない」「どの項目を確認すればいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、源泉徴収票の見方について、まず確認しておきたい主要項目の意味をわかりやすく解説します。また、確定申告が必要になるケースや、記載内容に誤りがあった場合の対処法についても紹介しますので、源泉徴収票を受け取った際の参考にしてください。
目次
源泉徴収票の正式名称は「給与所得の源泉徴収票」といい、会社が従業員に支払った1年間の給与や賞与の金額・納付した所得税額・適用された各種控除の内容などが記載された書類を指します。所得税法に基づいて勤務先が作成・交付するもので、その年の給与収入や所得税額・社会保険料の金額などが記載されており、自身の所得状況を確認する重要な資料となります。また、確定申告や住宅ローンの申込みなど、さまざまな手続きで提出を求められることがある書類です。
源泉徴収票の主な役割は、1年間の給与収入や所得税の状況を証明することです。一般的な会社員や公務員の場合、勤務先は毎月の給与から所得税を源泉徴収し、年末調整によってその年の税額を精算します。その結果として確定した給与収入や所得税額が源泉徴収票に記載されます。具体的には、以下のような内容です。
このように、源泉徴収票は給与所得者にとっては「1年間の所得と税金の記録」を示す重要な書類であり、ローン審査や幼稚園・保育園の入園申請など、さまざまな手続きにおいて提出を求められることがあります。
源泉徴収票は、原則としてその年の最後の給与支払い後に作成されます。勤務先は、年末調整を行った後、翌年1月31日までに従業員へ源泉徴収票を交付しなければなりません。多くのケースでは、年末調整が終わった後、12月の給与明細と一緒に渡されます。年の途中で退職した場合も、勤務先は退職者に対して源泉徴収票を発行します。
先述したように、源泉徴収票は所得や税額を証明する書類としてさまざまな場面で利用されます。必要となる主なケースは以下のとおりです。
特に、医療費控除や住宅ローン控除の適用を受けるために確定申告を行う際は、源泉徴収票の内容を基に所得や税額を確認することになります。そのため、源泉徴収票を受け取ったら内容に誤りがないかを確認し、少なくとも数年間は保管しておくことが大切です。
参考:No.7411「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁
源泉徴収票にはさまざまな項目が記載されていますが、まずは以下の項目を確認しましょう。
これらの項目から、自身の年収や所得・適用された控除の内容・納めた所得税額などを把握できます。ここでは、それぞれの項目の意味や見方について詳しく解説します。
源泉徴収票における「支払金額」は、勤務先から1年間に支払われた給与や賞与の総額を指します。一般的に「年収」と呼ばれる金額に近く、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額です。なお、通勤手当など一定の非課税手当は支払金額に含まれない場合があり、実際に会社から支給された総額と若干異なるケースもあります。転職やローン審査などで年収を確認する際は、まずこの支払金額を確認すると良いでしょう。
「給与所得控除後の金額」は、支払金額から給与所得控除を差し引いた後の金額です。給与所得控除とは、会社員や公務員などの給与所得者に認められている必要経費に相当する控除制度です。個人事業主が実際の経費を計上できるのに対し、給与所得者は実際の支出額に関係なく、収入に応じて一定額の控除を受けられます。
この項目に記載されている金額は、所得税や住民税を計算する際の基礎となる「給与所得」にあたります。給与所得控除額は収入に応じて異なり、収入が上がるほど給与所得控除も上がる仕組みですが、上限は195万円です。
【給与所得控除額(令和7年分以降)】
参考:No.1410 給与所得控除|国税庁
「所得控除の額の合計額」は、所得から差し引くことができる各種控除を合計した金額です。 所得控除には、以下のような種類があります。
所得税は「収入」ではなく「所得」を基準に計算されます。そのため、所得控除の額が大きいほど課税対象となる所得が減少し、結果として税負担も軽くなる傾向があります。
参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁
「源泉徴収税額」は、その年の給与所得に対して最終的に確定した所得税および復興特別所得税の金額です。この金額を見ることで、その年に給与から納付した所得税額を確認できます。会社は毎月の給与から概算の所得税を天引きしていますが、そのままでは過不足が生じることがあります。そこで年末調整を行い、実際に納めるべき税額を計算した結果が源泉徴収税額として記載されます。
なお、扶養家族が多い場合や所得控除額が大きい場合などには、源泉徴収税額が0円となるケースもあります。源泉徴収税額は「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いたものに「課税所得額に応じて決定される所得税率」をかけて算出します。課税所得額と所得税率は以下のとおりです。
【所得税率】
参考:No.2260 所得税の税率|国税庁
「社会保険料等の金額」は、1年間に給与から控除された社会保険料などの合計額です。主に以下の保険料が含まれます。
また、勤務先を通じて支払った小規模企業共済等掛金が含まれる場合もあります。給与明細では毎月の保険料しか確認できませんが、源泉徴収票を見ることにより、1年間でどれくらい社会保険料を負担したのかを把握できるでしょう。特に年収が高い方ほど社会保険料の負担額も大きくなるため、家計管理や将来の資金計画を考えるうえでも確認すべき項目です。
会社員や公務員の多くは、勤務先で年末調整が行われるため、基本的に確定申告は不要です。しかし、年末調整では対応できない控除を受ける場合や、給与以外の所得がある場合には確定申告が必要になることがあります。確定申告を行う際は、源泉徴収票に記載された給与収入や所得税額などの情報を基に申告書を作成します。ここでは、給与所得者が確定申告を行う代表的なケースを紹介します。
1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合は、医療費控除を受けるために確定申告が必要です。医療費控除は、本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族の医療費も合算して計算できます。 一般的には、その年に支払った医療費から保険金などで補填された金額を差し引き、さらに一定額を超えた部分について控除を受けられます。
医療費控除は年末調整では適用できないため、控除を受けるには必ず確定申告を行わなければなりません。確定申告の際には、源泉徴収票に記載された所得や源泉徴収税額を基に所得税額が再計算されます。
参考:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を初めて受ける場合は、確定申告が必要です。住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を取得・新築・増改築した際に利用できる制度で、一定期間にわたり所得税などの軽減を受けられます。ただし、初年度については会社の年末調整では手続きできないため、自分で確定申告を行う必要があります。
2年目以降は勤務先へ必要書類を提出することで、年末調整により控除を受けられるケースが一般的です。住宅ローン控除の申告では、源泉徴収票に記載された給与所得や源泉徴収税額が必要になります。
参考:No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
ふるさと納税を行った方で、ワンストップ特例制度を利用していない場合は確定申告が必要です。また、ワンストップ特例制度を申請した場合でも、以下のようなケースでは確定申告が必要になる場合があります。
確定申告を行うと、ふるさと納税による寄附金控除が適用され、所得税や住民税の負担軽減につながります。申告の際は、寄附金受領証明書などとあわせて、源泉徴収票の内容を基に所得金額や税額を確認しましょう。
副業による所得がある場合は、確定申告が必要になることがあります。例えば、以下のような収入が該当します。
給与所得者の場合、給与以外の所得の合計額が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。この「20万円」は収入ではなく所得で判定されるため、必要経費を差し引いた後の金額で判断します。万が一申告漏れがあると、追徴課税や税務調査の対象となる可能性もあるため、副業収入がある場合は早めに申告の要否を確認しておくことが重要です。
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁
源泉徴収票は、所得税や住民税の計算だけでなく、確定申告や各種手続きにも利用される重要な書類です。記載内容に誤りがあると税額計算に影響したり、本来受けられる控除を受けられなくなったりする可能性があります。源泉徴収票を受け取ったら、氏名や住所だけでなく、給与額や控除額・扶養親族の情報などに誤りがないかを確認しましょう。ここでは、誤りを発見した場合の対処法について解説します。
源泉徴収票の内容に誤りがある場合は、まず勤務先へ連絡して修正を依頼しましょう。よくある誤りとして、次のようなケースがあります。
源泉徴収票は会社が作成・交付する書類であるため、本人が訂正することはできません。内容に誤りがある場合は、勤務先が訂正した源泉徴収票を再発行することになります。
源泉徴収票は再発行してもらうことが可能です。紛失した場合や破損した場合は、勤務先へ再発行を依頼しましょう。退職後であっても、源泉徴収票の発行義務は勤務先にあるため、再発行を依頼できます。また、先述したとおり記載内容に誤りがあった場合も、勤務先が訂正後の源泉徴収票を再発行します。住宅ローンの申込みや確定申告などで急ぎ必要になるケースもあるため、紛失に気付いた場合はできるだけ早めに勤務先へ連絡するのが望ましいです。
源泉徴収票は給与所得を証明する書類であり、税務調査においても重要な確認資料の一つです。会社員の場合、給与所得は勤務先から税務署へ提出される支払調書などによって把握されています。そのため、確定申告の内容と源泉徴収票の内容に相違がある場合には、税務署から確認を求められることがあります。特に副業収入や複数の収入源がある場合は、源泉徴収票との整合性が確認されることが少なくありません。ここでは、税務調査で源泉徴収票が確認される主なケースを解説します。
税務調査では、申告された所得が正しいかを確認するために源泉徴収票が利用されます。給与所得者が確定申告を行う場合、申告書に記載された給与収入や源泉徴収税額は、源泉徴収票の内容と一致していなければなりません。税務署は勤務先から提出される情報を把握しているため、申告内容との相違があれば確認の対象となることがあります。そのため、確定申告を行う際は源泉徴収票の内容を正確に転記することが重要です。
税務調査では、申告すべき所得が適切に申告されているかも確認されます。例えば、退職後に複数の勤務先から給与を受け取っていたにもかかわらず、一部の源泉徴収票を申告していないケースや、給与以外の所得を申告していないケースなどが該当します。税務署は勤務先から提出された資料を通じて給与所得を把握しているため、申告漏れがあると発覚する可能性があります。申告漏れが認められた場合には、追徴課税や加算税・延滞税が課されることもあるため注意が必要です。
参考:延滞税の計算方法|国税庁
副業を行っている場合は、本業の給与所得と副業所得の整合性が確認されることがあります。例えば、給与所得のみで生活していると考えられる状況にもかかわらず、多額の預金増加や事業活動の形跡がある場合は、税務署が副業収入の申告状況を確認するケースがあります。本業の給与所得については源泉徴収票によって正確に把握できるため、副業所得の申告内容との整合性がチェックされます。
近年はインターネットビジネスやフリーランス業務など、副業による収入を得る人も増えています。副業収入がある場合は、必要に応じて適切に確定申告を行い、申告漏れを防ぐことが大切です。
参考記事:税務調査で個人の銀行口座も調べられる?調査されやすい8つのケース
源泉徴収票には、年収や所得・所得税額・社会保険料など、税金に関する重要な情報が記載されています。特に「支払金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」「社会保険料等の金額」の項目を確認することで、自身の所得状況や税負担を把握しやすくなるでしょう。
また、医療費控除や住宅ローン控除の初年度・副業収入がある場合などは確定申告が必要になることもあります。そのため、源泉徴収票を受け取った際は内容をしっかり確認し、大切に保管しておきましょう。
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この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者20万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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