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無資格の「税金相談」に注意 SNSの節税情報を信じる前に確認したいこと

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読了目安時間:約 7分

SNSでは「給与所得と副業の赤字を相殺すれば税金が戻る」といった情報が拡散されています。損益通算そのものは税法上の制度ですが、実態のない損失や根拠のない経費を計上することは節税ではありません。

国税庁の「税務相談停止等命令」とは、不正な還付などにつながる税務相談の停止や、営業広告の削除などを命じる制度です。令和8年には、税理士でない者、いわゆるにせ税理士が不正還付につながる相談を行ったとして、税理士法第54条の2第1項に基づく税務相談停止等命令が2件公表されました。

SNSや知人から節税・還付の助言を受け、「申告して大丈夫だったのか」と不安な会社員や個人事業主もいるでしょう。すでに申告した場合も、放置せず申告内容を見直し、正規の税理士へ確認することが重要です。

この記事では、被処分者の氏名ではなく、公表された2件の勧誘・申告の手口、危険なSNS勧誘の見分け方、すでに還付を受けた場合の対応に焦点を当てます。「国税庁の税務相談停止命令とは何か」「にせ税理士による不正還付にどう対処すべきか」という疑問を整理します。

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国税庁の「税務相談停止等命令」とは?

国税庁が公表する「税務相談停止等命令」は、にせ税理士などによる不適切な税務相談を止め、納税義務の適正な実現に重大な影響が及ぶことを防ぐ制度です。根拠は税理士法第54条の2第1項にあります。

「国税庁 税務相談停止命令」と検索されることがありますが、制度上の正式な表現は「税務相談停止等命令」です。「等」には、事案に応じて営業広告の削除を命じる措置も含まれます。

税理士への懲戒処分とは何が違う?

税務相談停止等命令の対象は、税理士等ではない者による税務相談です。登録税理士に対する懲戒処分とは、対象者も制度の仕組みも異なります。

制度 主な対象 主な措置
税務相談停止等命令 税理士等でない者 相談停止・広告削除
税理士への懲戒処分 登録税理士等 懲戒制度による処分

特にSNSを通じた不正還付の勧誘では、発信者が税理士かどうか分かりにくい場合があります。国税庁による命令の公表は、問題のある税務相談の拡大を防ぐための措置であり、利用者を処分する制度ではありません。

命令が公表されれば申告も自動的に直る?

命令が公表されても、その助言を受けて提出した個々の申告書が自動的に訂正されるわけではありません。還付済みであっても、申告内容の正しさは利用者自身が確認する必要があります。

SNSや知人から節税・還付の助言を受けた方は、まず次の資料を確認してください。

  • 提出済みの確定申告書や決算書、収支内訳書
  • 経費や損失の根拠となる領収書、契約書、取引記録
  • e-Taxの受信通知や還付額が分かる資料

根拠のない経費や損失が含まれている疑いがあれば、必要に応じて修正申告を検討します。判断に迷う場合は正規の税理士へ確認し、税務署から電話や書面が届いているときは放置せず、早めに対応することが大切です。

税務相談停止等命令の対象者、命令内容、利用者に必要な対応を示す図
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令和8年に公表された不正還付の税務相談2件

国税庁が令和8年に公表した税務相談停止命令は、福岡市と川崎市の者に対する2件です。いずれも、にせ税理士が給与所得者に具体的な申告方法を助言し、実態や根拠のない赤字を使って所得税の不正還付を受けさせていました。

命令日・所在地 赤字を作った方法 集客・相談の相手 命令内容
令和8年6月25日
福岡市
実態のない事業損失 SNSで紹介された個人 相談停止・広告削除
令和8年8月26日
川崎市
根拠のない不動産経費 勤務先で担当した顧客 税務相談の停止

SNSで集客した福岡市の事例とは?

福岡市の者は、他の者にSNSを通じた集客を依頼し、紹介された多数の個人顧客に税務相談を行っていました。給与所得から実態のない事業所得の損失を差し引く申告書を提出させ、所得税を不正に還付させた事例です。

国税庁は、税務相談の停止だけでなく営業広告の削除も命じました。詳しい内容は、国税庁の令和8年6月25日の命令で確認できます。

根拠のない不動産経費を使った川崎市の事例とは?

川崎市の者は、勤務先で担当した顧客に対し、不動産所得の経費として根拠のない金額を計上するよう税務相談を行っていました。それにより不動産所得を赤字にし、給与所得と損益通算して所得金額を圧縮していました。

その申告によって所得税を不正に還付させたとして、税務相談の停止を命じられています。詳細は、国税庁の令和8年8月26日の命令に掲載されています。

2件に共通する問題点は?

共通点は、給与所得者に還付を持ちかけ、実態のない事業損失または根拠のない不動産経費を使って給与所得を圧縮したことです。一般的な制度説明にとどまらず、顧客ごとの申告について具体的に助言していました。

税務署から還付金が振り込まれても、申告内容が適正だった証明にはなりません。SNSや知人から同様の助言を受けた方は、提出済みの申告書や収支内訳書などを確認し、必要に応じて正規の税理士へ申告内容の見直しを相談することが大切です。

令和8年に公表された不正還付に関する税務相談停止等命令2件の比較表
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「給与所得と赤字を相殺すれば節税」は本当?

損益通算そのものは、税法上認められた制度であり、給与所得と赤字を相殺する行為がすべて違法になるわけではありません。ただし、実態のない副業や根拠のない経費によって赤字を作れば、不正還付と判断される可能性が高まります。

適法な損益通算と不正還付は何が違う?

違いは、実際の事業・不動産賃貸による損失であり、収入や支出を客観的な資料で説明できるかどうかです。所得区分、支出の経費性、損失を通算できる範囲は個別事情によって判断が変わるため、「赤字なら必ず給与と相殺できる」とは限りません。

確認項目 適正な申告 不正が疑われる申告
事業の実態 取引や収入がある 副業を行っていない
経費 業務との関係を説明可能 架空・私的な支出
証拠 領収書や契約書がある 根拠なく一括計上

どのような申告が不正還付になりやすい?

実態を確認せず、赤字だけを人為的に作る申告は危険です。特に、SNSで「会社員なら誰でも還付される」などと勧誘された場合は、次のような点がないか確認してください。

  • 行っていない副業を事業として申告している
  • 存在しない支出や私的支出を経費にしている
  • 証拠のない金額をまとめて経費計上している
  • 「給与の何%」など定率で経費を作っている
  • 申告内容を説明せず、還付額だけを伝えている

国税庁の税務相談停止等命令(税務相談停止命令)の公表事例でも、実態のない事業損失や根拠のない不動産経費による不正還付が問題とされました。SNS上のにせ税理士に申告を任せた場合でも、申告内容に関する確認は納税者本人に求められます。

還付金が振り込まれれば問題ない?

還付金の振込みは、申告内容の適法性が最終確定したことを意味するとは限りません。後日の確認や税務調査で、経費や損失の根拠を求められる可能性があります。

提出済みの申告書、決算書・収支内訳書、e-Taxの受信通知を受け取り、記載内容と証拠資料を確認することが大切です。実態と異なる申告に気づいた場合は放置せず、正規に登録された税理士へ早めに相談してください。

正当な損益通算と架空損失による不正還付の違い
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無資格者の税金相談はどこから違法になる?

SNSで税制や申告期限などの一般情報を発信するだけなら、直ちに違法な税務相談になるわけではありません。一方、顧客の個別事情を聞き、税額・所得・控除・経費などについて具体的に答弁、指示、意見表明をする行為は、無資格者による税理士業務に該当する可能性があります。

一般的な情報発信と税務相談は何が違う?

判断のポイントは、不特定多数への一般的な制度解説か、特定の人の申告内容に踏み込んだ助言かという違いです。税務代理、税務書類の作成、税務相談は、原則として税理士、税理士法人、所定の通知をした弁護士等が行う業務です。

行為 考え方
SNSで制度を一般解説 直ちに税務相談とは限らない
個別資料を見て経費を指示 税務相談に該当し得る
申告書を代わりに作成 税務書類の作成に該当し得る
税務署への対応を代理 税務代理に該当し得る

たとえば「あなたの場合はこの支出を経費にできる」「この控除を入れれば還付額は○円になる」など、事情に即して結論を示す行為は注意が必要です。SNS上の「節税コンサル」であっても、実態によってはいわゆるにせ税理士の問題になります。

無料相談なら無資格でも問題ない?

無料であっても、無資格者が税務相談を「業として」行えば問題になる可能性があります。「業として」には、反復継続して行う場合だけでなく、反復継続する意思がある場合も含まれるためです。

料金名目が「申告代行料」でないから安全とは限りません。紹介料、コンサル料、会費、還付額に応じた成功報酬などを受け取っている場合も、名称ではなくサービスの実態で確認する必要があります。

無資格で税理士業務を行うとどのような罰則がある?

2026年時点で、税理士法第52条に違反して無資格で税理士業務を行った場合、2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される場合があります。国税庁による税務相談停止命令と、この刑事罰は同じ制度ではありません。

実際にSNSを通じて不正還付につながる相談を受けた場合でも、利用者側の扱いを一律には判断できません。申告内容、助言者とのやり取り、本人の認識などを整理し、提出済みの申告書に問題がないかを正規の税理士へ確認してください。

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SNSの「節税コンサル」を見分けるチェックポイント

SNSや知人から節税・還付の勧誘を受けたら、契約前に資格、申告内容の根拠、書類の交付方法を確認してください。「必ず戻る」「税務署には分からない」と断言された場合は、その場で契約や送金をしないことが重要です。

危険性が高い勧誘にはどのような特徴がありますか?

実態や証拠を確認せず、一律に還付できると説明する勧誘は危険性が高いと考えられます。次の項目に一つでも当てはまる場合は、正規の税理士へ申告方法を確認しましょう。

  • 「会社員なら誰でも税金が戻る」と断言する
  • 「副業の実態がなくても問題ない」と説明する
  • 「領収書がなくても一律で経費にできる」と案内する
  • 「税務署には分からない」「調査は来ない」と安心させる
  • 申告書の控えや経費の計算根拠を渡さない
  • 還付額の一定割合を成功報酬として請求する
  • SNSの紹介者や営業担当者だけが対応する
  • 短期間で契約、送金、電子申告を迫る

国税庁による税務相談停止等命令の公表事例でも、SNSによる集客を通じた不正還付の相談が確認されています。にせ税理士による勧誘では、肩書よりも資格と申告根拠を確認する必要があります。

相談や契約の前に何を確認すればよいですか?

相手の身元と資格を確認したうえで、経費や所得区分の判断根拠を具体的に質問してください。説明が曖昧な場合や書面を渡さない場合は、手続きを止めて別の税理士に相談するのが安全です。

  • 氏名、事務所名、所在地を確認する
  • 日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で税理士登録の有無を調べる
  • 実際の相談・申告担当者が税理士本人か確かめる
  • 経費にできる理由や所得区分の根拠を具体的に尋ねる
  • 申告書、決算書、収支内訳書、電子申告の受信通知を受け取る
  • 業務範囲、解約条件、報酬体系を書面で確認する

当事務所に寄せられるご相談の傾向として、「自分の規模では調査は来ない」と考えていた個人事業主・副業の方が目立ちます。調査対象になるかは事業規模だけでなく申告状況にも左右されるため、不自然な還付方法を勧められたときは税理士へ確認してください。

SNSで勧誘される節税情報の安全性を確認するチェックリスト
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すでに還付を受けた人はどうする?状況別の次の一手

まず申告書と証拠書類を確認し、提案された経費や損失に客観的な根拠があるかを確かめてください。還付を受けたことだけで「不正」と決めつけず、現在の状況に応じて早めに対応することが大切です。

状況A:勧誘されたが、まだ申告していない場合

契約や支払いをいったん止め、正規の税理士からセカンドオピニオンを受けましょう。申告を依頼すると決めるまでは、重要な個人情報を渡さないでください。

  • マイナンバー、本人確認書類、源泉徴収票を渡さない
  • 提案された経費や損失の根拠を書面で求める
  • SNS投稿、DM、契約画面、振込先を保存する

状況B:申告済みだが、まだ還付されていない場合

提出済みの申告書一式を入手し、事業所得や不動産所得の収入・経費を項目ごとに確認してください。身に覚えのない金額があれば、正規の税理士または税務署へ早めに相談しましょう。

  • 説明できない経費や損失を洗い出す
  • 領収書などの根拠と申告額を照合する
  • 必要な訂正手続きを個別に確認する

状況C:すでに所得税の還付を受けた場合

還付額だけでなく、申告書に記載された所得と経費を確認する必要があります。根拠のない損失や経費が含まれている場合は、税理士に確認したうえで修正申告を検討してください。

  • 領収書、請求書、契約書、通帳をそろえる
  • 申告した取引の実態と金額を確認する
  • 追加納税に備え、還付金を使い切らない

国税庁の税務相談停止命令では、にせ税理士がSNSで集客し、実態のない損失などにより不正還付を受けさせた事案が公表されています。ただし、修正が必要かどうかは個別の申告内容と証拠に基づいて判断されます。

状況D:申告書の控えがなく、申告内容が分からない場合

依頼先に申告書などの交付を求め、e-Taxの利用履歴や通知も確認してください。税務署へ利用できる確認手続きを問い合わせ、書類をそろえて正規の税理士へ相談しましょう。

  • 申告書、収支内訳書または決算書、受信通知を求める
  • DM、報酬の振込記録、説明資料を保存する
  • 自分で確認できない金額を一覧にする

正規の税理士に相談するときは何を持参する?

申告内容、取引の実態、依頼先とのやり取りが分かる資料を可能な範囲で用意してください。資料が不足していても放置せず、現時点でそろっているものから早めに相談することが重要です。

  • 確定申告書の控え、収支内訳書または青色申告決算書
  • 源泉徴収票、領収書、請求書、契約書
  • 還付金額が分かる通帳記録
  • SNSのDM、メッセージ、契約書、請求書
  • 報酬の振込記録、節税方法の説明資料
未申告、申告済み、還付済み、申告内容不明の状況別対応フローチャート
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よくある質問

Q. SNSで税金情報を発信したり、無料で相談に乗ったりするだけでも「にせ税理士」になりますか?

一般的な税制度の説明と、個人の具体的な事情に基づいて税額・所得・控除・経費などを判断する税務相談は区別されます。無料であっても、税理士業務を「業として」行っているかが重要であり、投稿内容、個別対応の方法、反復継続性やその意思などによって判断が異なり得ます。

国税庁の税務相談停止命令では、SNSで集客した顧客へ不正還付につながる相談を行った事案も公表されています。個別の発信や対応が税理士法上問題となるかは、正規の税理士や税務署へ確認してください。

Q. 副業や不動産所得の赤字を給与所得と相殺することは違法ですか?還付後でも修正申告できますか?

損益通算そのものが直ちに違法になるわけではありませんが、実際の事業・賃貸実態、所得区分、経費の根拠などを確認する必要があります。実態のない事業損失や根拠のない不動産経費を使った不正還付は、国税庁が公表した税務相談停止命令の対象事案にも含まれています。

還付金の振込後でも、申告内容に誤りがあり、納める税額が少なかった場合などは修正申告を検討します。具体的な手続きや納付額は申告内容によって異なるため、提出済みの申告書や経費資料をそろえ、正規の税理士または税務署へ確認してください。

Q. SNSや知人から紹介された相談相手が本物の税理士か確認する方法はありますか?

相手の氏名と事務所名を確認し、日本税理士会連合会の公式な税理士検索手段で登録の有無を調べる方法があります。紹介者や運営会社だけでなく、実際に相談や申告を担当する人物が登録税理士本人であるかも確認してください。

「必ず還付される」などの説明だけで判断せず、申告の根拠や担当者の資格を確かめることが大切です。資格や申告内容に疑問が残る場合は、その相手とは別の正規の税理士または税務署へ相談してください。

お電話をいただいた後の流れ

税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。

  1. お電話でお状況をお聞きします税務調査の対応を担当する者が直接お話をうかがいます。いつ・どこから連絡が来たか、申告の状況はどうかなど、分かる範囲でお答えいただければ大丈夫です。資料が手元に揃っていなくても構いません。
  2. 今の状況でできることをお伝えしますお聞きした内容から、まず何をすべきか、どのような進め方が考えられるかをご説明します。お電話の段階で費用が発生することはありません。
  3. ご依頼いただくかは、後日あらためてご判断くださいその場でお決めいただく必要はありません。ご相談の進め方や費用のご案内は、内容をうかがったうえで書面にてお示しします。

受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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