メニュー
読了目安時間:約 7分
国税庁は2026年6月に公表した「令和7年度 査察の概要」で、SNSを利用して活動するインフルエンサーやイラストレーターの告発事例を明記しました。ただし、SNS利用者を一律に査察するという内容ではありません。
査察とは、悪質な脱税者に対して行われる強制調査のことで、通常の税務調査とは異なります。「国税庁の査察対象になるのでは」と、SNS経由で売上を得る個人・法人が不安を感じるのも無理はありません。
公表資料が示しているのは、ソーシャルメディアで事業活動を行う事業者を含め、幅広い業種・取引形態の脱税事案が告発されたという事実です。重要なのはSNSの利用自体ではなく、売上や経費を適正に申告しているかという点です。
本記事では、令和7年度の査察実績と告発事例、SNS収益で問題になりやすい収入・経費、申告漏れに気づいた場合の対応を整理します。期限後申告や修正申告を含めた判断に迷う場合は、個別事情を確認できる税理士へ相談することが大切です。
目次
国税庁が、SNSで活動するインフルエンサーや事業者を一律に査察すると発表したわけではありません。SNSは集客・宣伝・販売の手段であり、収入や経費を適切に申告していれば、利用自体が脱税になるものではありません。
SNS利用者全般が査察対象になったわけではありません。
国税庁の「令和7年度 査察の概要」には、SNS等を利用して活動していたインフルエンサーやイラストレーターなどが、法人税や所得税等を免れた事案が記載されています。これは、SNSを利用した新しい取引形態も、悪質な脱税があれば査察の対象となり得ることを示す公表事例です。
国税庁が公表したのは、「ソーシャルメディアで事業活動を行う事業者など幅広い業種業態の事案」を告発したという内容です。「国税庁の査察がSNSインフルエンサーを一斉に対象とする」という意味に広げて受け取る必要はありません。
注目すべきなのはSNSの利用ではなく、申告内容に意図的な売上除外や架空経費などの不正があるかです。代表的には、次のような行為が問題になります。
インフルエンサーやイラストレーターに限らず、SNS経由の売上がある個人・法人は、入金記録や請求書、契約書などと申告額が一致しているかを確認することが大切です。申告漏れに気づいた場合は、自主的な期限後申告や修正申告も選択肢となるため、個別の判断は税理士へ相談すると安心です。
国税庁の令和7年度の査察では、127件を処理し、そのうち82件を検察庁へ告発しています。告発分の脱税総額は84億円、告発1件当たりでは102百万円(約1億200万円)でした。
2026年6月公表の国税庁「令和7年度 査察の概要」によると、査察着手件数は131件、告発率は64.6%です。主な数値を整理すると、次のとおりです。
これらは2026年時点の全国実績であり、詳細は国税庁「令和7年度 査察の概要」で確認できます。国税庁は、SNSで活動するインフルエンサーやイラストレーターが法人税・所得税等を免れた事案も、この査察実績の中で公表しています。
告発率64.6%は、処理した事案のすべてが検察庁へ告発されたわけではないことを示します。ただし、告発件数や1件当たりの平均額だけから、個別事案の告発基準を推測することはできません。
「脱税額が一定額以下なら安全」と判断できる資料ではありません。金額だけでなく、個別事案の内容に即して判断されるため、平均額を自分の申告漏れと単純に比較しないことが重要です。
査察は、通常の申告内容の確認ではなく、悪質な脱税事案を対象とする強制調査です。したがって、この統計はSNS利用者全体が一律に査察されることを意味するものではありません。
一方、国税庁が査察事例としてSNS関連事案を明記した点は、インフルエンサーやイラストレーターなども業種にかかわらず対象になり得ることを示しています。当事務所に寄せられるご相談の傾向としても、ネット取引の所得が把握されるのかという不安が増えているため、申告漏れに気づいた場合は記録を整理し、自主的な期限後申告・修正申告を含めて税理士へ早めに相談することが大切です。
国税庁が公表した2つの事例で問題になったのは、SNSを使った活動そのものではなく、架空経費の計上や売上の除外です。収入・経費の実態と申告内容が一致しているかが、重要な確認点です。
インフルエンサー活動を通じて広告代理を行う会社が、不正加担者を利用し、実際には取引のない架空の業務委託費を計上していました。その結果、法人税と消費税を免れた事案として公表されています。
つまり、問題の中心はインフルエンサーであることではなく、実態のない外注費・業務委託費を経費にしたことです。外注費については、契約書や請求書だけでなく、成果物、連絡記録、振込記録などから業務の実態を説明できる状態にしておく必要があります。
SNS等を利用して主に海外顧客へイラストを販売していた事業者が、海外イベントで得た販売収入の一部を申告から除外し、所得税を免れていました。国税庁は、この事案も「令和7年度 査察の概要」で公表しています。
海外で受け取った収入だから、日本で申告しなくてよいわけではありません。日本の居住者は、原則として海外で得た所得も日本の課税対象となり得ますが、居住者区分や取引条件などによって扱いが異なる場合があるため、個別判断が必要です。
「国税庁 査察 SNS インフルエンサー 脱税」といった情報に不安を感じても、まず確認すべきなのは肩書ではなく帳簿の中身です。特に次の取引は、記録が複数のサービスや通貨に分散しやすいため注意してください。
プラットフォームの売上履歴、銀行・決済サービスの入金、現地販売の記録、帳簿を取引ごとに照合することが大切です。申告との不一致に気づいた場合は、自己判断で放置せず、必要な対応を税理士へ相談してください。
SNS収益の申告漏れは、複数のプラットフォームや決済手段に売上が分散している場合に起きやすくなります。入金先ではなく、収入経路ごとに売上を洗い出すことが重要です。
企業からの振込だけでなく、プラットフォーム内に留保されている報酬や、現金・ポイントで受け取った対価も確認します。次の収入に漏れがないか、アカウントごとに照合してください。
現金、銀行振込、決済サービス、ポイントなどに分かれていても、事業活動の対価は対象から外さず確認しましょう。「国税庁の査察」「SNS」「インフルエンサー」「脱税」といった報道に不安を感じる場合も、まず売上明細と入金記録を時系列で整理することが大切です。
外注費は、請求書や振込記録だけでなく、実際に誰が何を行ったのか説明できる資料を保存します。名目を業務委託費としていても、取引実態がなければ経費計上が問題となり得ます。
外貨建て売上、海外決済サービスの入金、海外イベントの現金収入は、国内売上と分けて記録し、売上と入金の対応関係を残します。プラットフォームの売上明細と手数料明細も保存してください。
海外取引では、課税関係や円換算方法の判断が必要になることがあります。処理に迷う場合は自己判断で除外せず、資料をそろえたうえで税理士などの専門家へ確認しましょう。
まず収入経路ごとの資料を集め、以下のA〜Eから自分に近い状況を確認してください。申告漏れに気づいた場合は放置せず、対象年分と金額を整理して早めに対応することが重要です。
SNSの表示額だけで判断せず、入金、売上、契約、海外取引、外注費を相互に照合します。インフルエンサーやイラストレーターは収入経路が分散しやすいため、次の資料を集めてください。
帳簿上の売上と各プラットフォームの明細、通帳を照合します。外注費などは、契約書や成果物をまとめて取引実態を説明できる状態にしてください。
今後は月単位で照合し、確定申告直前に一年分をまとめて確認する状態を避けましょう。
金額の大小だけで申告不要とは判断せず、売上の発生日、受取日、支払者、金額、手数料を一覧化します。所得区分や確定申告の要否は給与所得の有無などで異なり、住民税の申告が必要になる場合もあるため、個別確認が必要です。
海外口座、決済サービス、現地イベントの売上記録を国・日付・金額ごとに集めます。日本の居住者に該当する場合、海外所得も原則として日本の課税対象です。
外国で納税している場合などは扱いが複雑になるため、自己判断による二重計上や除外を避け、税理士へ確認してください。
後から架空の契約書や請求書を作ってはいけません。当時のメール、チャット、納品データ、振込記録など、すでに存在する資料を整理してください。
支払先、作業内容、成果物の対応関係を説明できるようにします。現場の実感として、当日の受け答え以上に、帳簿・資料の整理と説明の筋道づくりが重要です。
対象年分と漏れている金額を確認し、申告自体をしていなければ期限後申告、申告額が少なければ修正申告を検討します。
税務署から連絡を受ける前後など、申告時期によって税務上の扱いが異なる可能性があります。自主申告により査察や告発を必ず回避できるとは限らないため、早めに税務署または税理士へ相談してください。
該当する状況と資料を対応させ、最初に行う作業を決めましょう。国税庁の査察資料でSNSを利用するインフルエンサーの脱税事案が公表されても、確認すべき中心はSNS利用自体ではなく、売上除外や実態のない経費の有無です。
査察は悪質な脱税者に対する強制調査であり、国税局の査察部が刑事責任の追及を目的として実施します。一方、通常の税務調査は任意調査に位置付けられ、両者は同じ意味ではありません。
査察と通常の税務調査では、目的や調査の性質が異なります。ただし、任意調査の「任意」は、正当な理由なく自由に拒否してよいという意味ではない点に注意が必要です。
通常の税務調査では、申告書、帳簿、請求書、通帳、取引データなどが確認されます。SNS経由の売上がある場合は、広告料や作品販売代金などの入金記録と申告内容を説明できるようにしておくことが重要です。
まず書面や電話の内容を確認し、指定された範囲の資料を整理します。慌ててデータを消したり帳簿を書き換えたりせず、客観的な記録から事実関係を確かめてください。
税務署からの連絡を放置せず、資料を保全したうえで早めに対応することが大切です。税理士法人松本の見解では、「様子を見よう」と書面や電話を置いてしまう方も少なくありませんが、応答が早いほど、その後の進め方に選択肢が残ります。
「いくらから査察される」と一律に断定することはできません。国税庁「令和7年度 査察の概要」の告発1件当たりの脱税額102百万円(約1億200万円)は、個別の告発基準ではなく実績値です。
金額だけでなく、売上除外や架空経費などの隠蔽・仮装を含む事案の内容が問題になり得ます。国税庁が公表した査察事例にSNSで活動するインフルエンサーなどの脱税事案があっても、「少額の無申告なら問題にならない」とは判断せず、申告漏れに気づいた段階で税理士へ相談してください。
SNS利用者全般を一律に査察対象とする公表ではありません。国税庁は、ソーシャルメディアで事業活動を行う事業者を含む、幅広い業種・業態の悪質な脱税事案を告発したと説明しています。「国税庁 査察 SNS インフルエンサー 脱税」といった情報を見ても、SNSの利用自体が問題になるわけではありません。
確定申告の要否はフォロワー数ではなく、所得額や給与所得の有無などにより判断し、確定申告が不要でも住民税の申告が必要になる場合があります。現金の投げ銭やプラットフォーム報酬は事業に関連する収入となり得ますが、無料で提供された商品は契約内容や対価性などを確認したうえで個別に判断する必要があります。
日本の居住者であれば、海外で得た所得も原則として日本の課税対象ですが、居住者区分、外国での納税状況、取引内容によって扱いが異なる場合があります。外注費は領収書の有無だけでなく、契約・作業内容・成果物・連絡記録・支払記録などから取引の実態を説明できることが重要です。判断に迷う売上や経費がある場合は、申告前に税理士へ相談すると安心です。
税務署から調査の連絡が届いている方は、日程が決まる前のご相談をおすすめしています。
受付時間外やお電話が難しい場合は、LINE・メール相談もご利用いただけます。
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
全国からの税務調査相談実績 年間1,000件以上
税理士法人松本の強み
30秒で完了かんたん税務調査リスク診断
←前の記事
行政書士の確定申告とは?売上・経費の処理や税金を解説
次の記事→
マイナンバーで税務署は何を把握している?収入・口座・副業がバレる仕組みを解説
あわせて読みたい記事
税務調査
税務調査は対応次第で結果が大きく変わります!
税務調査のお悩み解決しませんか?いますぐ電話1本で相談できます!
専門家があなたの税務調査に関する不安を一つ一つ丁寧に解決。初回有料相談は返金保証付きで、どんな小さなご相談も全国から承ります。