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開業届の書き方とは?見本をもとに個人事業主向けに分かりやすく解説

開業届の書き方とは?見本をもとに個人事業主向けに分かりやすく解説

読了目安時間:約 7分

個人事業主として事業を始める際には開業届を提出する必要があります。開業届は、事業を開始したことを税務署へ届け出る書類です。しかし、開業届を書いた経験がない場合には、どのように書けばよいのか、提出方法はどうすればよいのかなど、分からないこともあるでしょう。

そこで今回は、個人事業主として開業を目指す方のために、見本を交えながら開業届の書き方について詳しく解説します。また、開業届の書き方だけでなく、提出方法や提出期限などについてもご紹介しますので、ぜひ開業時の参考にしてください。

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開業届とは

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。書き方をご紹介する前に、まずは開業届の概要から説明します。

開業届の提出が必要な人

開業届の提出が必要になるのは、新たに事業所得や不動産所得、山林所得につながる事業を開始した人です。また、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転または廃止した場合にも、この届出書でその旨を届け出ます。

開業届の提出先

開業届は、納税地を管轄する税務署の所長宛てに提出します。自宅と事業所が同じ場合には、自宅を管轄する税務署に提出しますが、自宅と事業所が異なり、事業所を納税地として選択する場合は、事業所を管轄する税務署に提出します。

開業届の提出期限

開業届は、事業を開始した年分の所得税の確定申告期限までに提出する必要があります。例えば、2026年1月1日に事業を開始した場合、2027年3月15日までに提出すれば問題ありません。最終日が土日祝日にあたる場合は、翌平日が期限となります。

かつては、開業届の提出期限は事業を開始してから1ヶ月以内と定められていました。しかし、令和5年度税制改正により、2026年1月1日以後に開始した事業について、開業届の提出期限は事業を開始した年分の確定申告期限までに緩和されました。ただし、青色申告を希望する場合、青色申告承認申請書の提出期限はその年の3月15日までです。1月16日以後に開業した場合は、開業日から2ヶ月以内であり、この期限は緩和されていないため、開業時には注意が必要です。

なお、開業届の提出が遅れたからといって罰則が用意されているわけではありません。

参照元:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

開業届については以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご一読ください。

【関連記事】開業届を提出したときのデメリットと出さないときのデメリットとは?

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開業届の書き方を見本で解説

では、開業届の書き方を具体的に解説します。

出典元:国税庁「個人事業の開業・廃業等届出書

①提出先

納税地を管轄する税務署名を記載します。管轄の税務署が分からない場合は、国税庁のホームページから検索が可能です。郵便番号または住所を入力すると、管轄の税務署が表示されます。

国税庁:国税局・税務署を調べる

②マイナンバー(個人番号)

事業主のマイナンバーを記載します。マイナンバーカードを取得していない場合は、マイナンバーが記載された通知カードを確認するか、マイナンバーが記載された住民票の写しを取得すると確認できます。

マイナンバーカードを取得していない場合、マイナンバーカード方式は利用できません。ただし、既にID・パスワード方式を利用できる人などは、別の方法でe-Taxを利用できる場合があります。

また、65万円の青色申告控除を受けるには現在もe-Tax申告または優良な電子帳簿保存等の要件が必要ですが、2027年分以後は一定の要件を満たす場合に75万円控除が設けられます。

これから個人事業主として開業を予定しているのであれば、これを機にマイナンバーカードの取得を検討した方がよいかもしれません。

参照元:国税庁「優良な電⼦帳簿の保存⼜はデジタルシームレス保存により75 万円の⻘⾊申告特別控除を適用しましょう

③氏名、生年月日、職業、屋号

個人情報を記載します。

「フリガナ(氏名)」の欄には、氏名のフリガナをカタカナで記載し、下の「氏名」の欄に氏名を記載します。また「生年月日」は西暦ではなく、元号で記載するようにします。

「職業」の欄には、開業後の業種を記載します。レストランの開業であれば飲食業、整体院の開業であれば整体業と記載します。また、Webデザイナー、システムエンジニアなど、具体的な職種を記載しても問題ありません。

「屋号」は、個人事業主が事業上で使用する店舗名や事務所名などの名称です。屋号は無くても開業できるため、ない場合には記載せず、空欄のままにしておきます。また「フリガナ(屋号)」の欄には屋号のフリガナを記載しましょう。

④区分

「納税地」の欄に記載する住所が自宅の場合は、住所地を示す「5」、事業所の場合は「7」を記載します。

⑤電話番号

納税地として選択した場所の電話番号を記載します。自宅であれば自宅の電話番号や携帯電話番号を記載します。事業所を指定している場合で、事業所に固定電話がある場合はその番号を記載しても、携帯電話の番号を記載してもかまいません。

⑥納税地

④の区分で選択した、自宅または事業所の郵便番号と住所を記載します。

⑦上記以外の住所地・事業所等

⑥の納税地に、自宅住所を記載し、ほかに事業所や店舗などがある場合には事業所の郵便番号と住所を記載します。また、納税地として事業所を記載した場合は、自宅の郵便番号と住所を記載します。自宅以外に事業所や店舗などがない場合には、記載せず、空欄にしておきます。

⑧届出の区分

個人事業主として新たに開業する場合は「開業」の欄に「1」を記載します。事業の引き継ぎを受けた場合のみ、引き継いだ事業所の住所と事業者名を記載しますが、一から事業をスタートする際には空欄でかまいません。

⑨所得の種類

開業する事業の内容に応じて、該当する所得にチェックを入れます。

不動産所得とは、土地や建物などの不動産の賃貸によって得た所得のことです。また、山林所得には、山林の木を伐採して売却して得た所得や立木のまま譲渡して得た所得が該当します。

農業や漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業、その他の事業から生じる所得は、事業所得となります。

⑩開業・廃業等日

「開業・廃業等日」の欄には、事業を開始した日を西暦ではなく、元号で記載します。いつを開業日にするかについては、厳格なルールがあるわけではありません。店舗をオープンした日やホームページを開設して宣伝を開始した日など、事業を開始した実態に基づいて決定します。

⑪開業・廃業に伴う届出書の提出の有無

開業するにあたって、「青色申告承認申請書」を同時に提出する場合には「有」の欄にチェックを入れます。青色申告承認申請書を提出しない場合は「無」にチェックを入れます。

消費税に関する「消費税課税事業者選択届出書」を提出する場合は「有」の欄にチェックを入れましょう。消費税課税事業者選択届出書を提出しない場合は「無」にチェックを入れます。令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に、開業した課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を受ける場合など、一定の要件を満たせば、消費税課税事業者選択届出書の提出は不要です。そのため、この場合も「無」にチェックを入れます。

⑫事業の概要

開始する事業の内容について、詳しく記載します。この欄に記載する内容は、③の「職業」欄に記載した内容を補足するものです。第三者が見たときに、どのような事業を行っているのかが分かるよう、具体的に記載します。例えば、和食レストランを開業した場合は、「和食レストランの経営」と記載すれば問題ありません。またWebデザイナーの場合には、「Webサイトのデザイン、ロゴの制作」などと記載します。

⑬給与等の支払いの状況

開業届を提出する時点で従業員を雇用している場合に記載が必要となる欄です。

「区分」の欄にある「専従者」には、事業に携わる家族の人数を記載します。「使用人」の欄には、家族以外の従業員を雇用する場合の人数を記載します。

「給与の決め方」は、給与の支払い形態を記載する欄です。月給制の場合は月給、日給制の場合は日給、時給制の場合は時給と記載しましょう。

「税額の有無」の欄については、源泉徴収の有無を記載します。給与から所得税の源泉徴収が必要になる場合には「有」、必要のない場合には「無」の欄にチェックを入れます。給与額や扶養親族等の状況を踏まえ、専従者・使用人の区分ごとに、納付すべき源泉所得税額があるかどうかを判定して記載するようにしましょう。

「計」の欄には専従者と使用人の合計人数を記載します。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無」の欄には、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を同時に提出する場合のみ「有」にチェックを入れ、提出しない場合は「無」にチェックします。

「給与支払いを開始する年月日」は、専従者や使用人について、最初に給与を支払う日を記載します。

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開業届の作成方法と提出方法

開業届の作成方法には、用紙に記入する方法とオンライン上で作成する方法があります。

また、提出方法にも紙で提出する方法とe-Taxを使ってオンラインで提出する方法の2パターンがあります。

オンライン上で開業届を作成し、提出する場合

パソコンにe-Taxソフトをダウンロードしたうえで、「個人事業の開業・廃業等届出書」を選択し、今回ご紹介した書き方を参考に必要事項を入力していきます。入力後、スマートフォンやICカードリーダーライターを使ってマイナンバーカードを読み取り、電子署名を付与して税務署に送信します。

スマートフォンだけで作成したい場合は、民間の個人事業主の開業届作成サービスを利用するとよいでしょう。質問に回答していくことで簡単に開業届を作成できます。また、マイナンバーカードに加え、対応するスマートフォンまたはICカードリーダーなどの利用環境があれば、オンラインで提出が可能です。

紙の開業届を作成する場合

紙の開業届を作成する場合は、税務署の窓口で用紙を入手するか、国税庁のホームページから用紙をダウンロードします。

窓口で用紙を入手した場合は、必要事項を記入したら、郵送または窓口へ持参して提出します。国税庁のホームページからダウンロードをした場合も、パソコンから入力して印刷するか、印刷後に手書きで記入し、郵送または窓口に持参して提出をする流れとなります。

書面によって開業届を提出する場合には、本人確認書類の提示や添付が必要になるため、提出時には忘れないようにしましょう。番号確認書類として、マイナンバーカード、記載事項が住民票と一致している通知カード、またはマイナンバーが記載された住民票の写しなどを使用できます。マイナンバーカード以外の番号確認書類を使用する場合は、運転免許証などの身元確認書類も必要です。

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開業届以外に必要になる書類

個人事業主が開業する際には、開業届以外にも提出が必要になる書類があります。ここでは、開業時に必要となる書類についてご紹介します。

青色申告承認申請書

青色申告を希望する場合に提出が必要となる書類です。青色申告を選択すると、複式簿記による記帳などの経理処理が求められるものの、青色申告特別控除を適用できたり、赤字を3年間繰り越せるなどの節税メリットがあります。

青色申告を希望する場合には、青色申告をしようとする年の3月15日までに提出が必要です。ただし、1月16日以後に開業した場合は、開業日から2ヶ月以内に、管轄の税務署に青色申告承認申請書の提出が必要です。開業時に青色申告を希望する場合は、開業届と併せて青色申告承認申請書を提出するとよいでしょう。

ただし、開業届の提出期限に比べ、青色申告承認申請書の提出期限が短くなっている点に注意が必要です。

青色事業専従者給与に関する届出書

青色事業専従者の要件を満たす家族に支払った給与を経費に計上する場合に提出が必要な書類です。提出期限は、家族への給与を経費に算入しようとする年の3月15日までですが、開業日が1月16日以降であった場合は開業から2ヶ月以内に提出すれば問題ありません。

提出先は、納税地を所轄する税務署です。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

家族である青色事業専従者や従業員に給与を支払う場合に必要な書類です。給与支払事務所を開設した日から1か月以内に提出します。提出先は、納税地を所轄する税務署です。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

原則として、月々の給与から天引きした源泉所得税は、翌月の10日までに納税しなければなりません。しかし、給与の支給人員が常時10人未満の小規模な事業所の場合、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を提出すると、納付を毎月ではなく、年に2回にまとめられる特例を受けられます。

特例は、原則として申請月の翌々月の納付分から適用されます。ただし、翌月末日までに承認または却下の通知がない場合は、申請月の翌月末日に承認されたものとみなされます。提出先は納税地を管轄する税務署です。

適格請求書発行事業者の登録申請書

開業と同時にインボイスの発行を希望する場合に提出が必要となる書類です。インボイスの発行を希望しない場合は特に提出する必要はありません。インボイス発行事業者の登録申請をするとインボイスの発行はできますが、原則として、消費税の申告・納税義務を負う課税事業者となります。事業の内容などを考え、慎重に検討するようにしましょう。

事業開始等申告書

ここまで納税地を管轄する税務署に提出する書類についてご紹介してきましたが、事業開始等申告書は個人事業税に関わる書類で、提出先は事業所がある都道府県税事務所となります。自治体によって提出期限は異なるため、事前に提出期限を確認しておくと安心です。

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まとめ

開業届の書き方について、見本をもとにご説明してきました。開業届は事業を開始したことを税務署へ届け出る書類です。開業届を出さずに青色申告承認申請書だけを提出した場合、事業の実態があるのか、税務署にいらぬ疑いを与える恐れもあります。また、開業届の控えなど、事業を確認できる書類がない場合、屋号付き口座や事業用カードの申込みで不利になることがあります。

開業届の書き方は、それほど難しくはありません。今回ご紹介した内容を参考に、開業時に青色申告を希望する場合は、それぞれの提出期限を確認し、開業届と青色申告承認申請書を提出しましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。

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