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123万円の壁とは?160万円・178万円の壁との違いや税制改正を分かりやすく解説

123万の壁

読了目安時間:約 8分

「123万円の壁」とは、令和7年度税制改正により、所得税が課税され始める年収の目安が103万円から123万円へ引き上げられたことを指します。しかし、その後の税制改正によって「160万円の壁」や「178万円の壁」が登場し、「結局いくらまで働けるの?」「103万円の壁とは何が違うの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

年収の壁には所得税だけでなく、住民税や社会保険・扶養控除など、さまざまな制度が関係しています。そのため、自分に影響する年収の壁を正しく理解することが大切です。この記事では、123万円の壁の概要をはじめ、160万円の壁や178万円の壁との違い・令和7年度税制改正のポイント・扶養や社会保険への影響・年収の壁を超えて働くメリット・デメリットまで分かりやすく解説します。

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123万円の壁とは

123万の壁

「123万円の壁」とは、所得税が課税され始める年収の目安として使われる言葉です。令和7年度税制改正により、従来「103万円の壁」と呼ばれていた課税最低限の目安は123万円へ引き上げられました。基礎控除が48万円から58万円へ、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ引き上げられたため、パートやアルバイトで「所得税が課税されない範囲で働きたい」と考える人だけでなく、会社員を含む幅広い給与所得者に影響する改正といえます。

ただし、123万円の壁はあくまで所得税に関する基準であり、年収が123万円を超えたからといって、すぐに社会保険の扶養から外れたり、配偶者控除が受けられなくなったりするわけではありません。そのため、アルバイトやパートで働く人は、ほかの年収の壁との違いも理解しておくことが大切です。

103万円から123万円へ変わった理由

令和7年度税制改正では、基礎控除と給与所得控除が見直されたことにより、所得税が課税され始める基準が103万円から123万円へ引き上げられました。従来の103万円という基準は長年維持されてきましたが、物価や賃金の上昇・人手不足などの社会情勢を踏まえ、「働き控え」の解消などを目的として改正されたとされています。

これにより、給与収入のみでほかに所得がない場合で給与収入123万円以下であれば所得税が課税されない仕組みとなり、パートやアルバイトなどで働く人が従来より収入を増やしやすくなりました。また、大学生年代の子どもを扶養する世帯への影響を緩和するため、特定親族特別控除もあわせて創設されています。

123万円から160万円への見直し

令和7年度税制改正では、所得税が課税され始める年収の目安を103万円から123万円へ引き上げることが予定されていました。これは、基礎控除を48万円から58万円へ、給与所得控除の最低保障額を55万円から65万円へ引き上げるという内容です。

しかし、その後の国会審議を経て税制改正法が修正され、年収200万円以下の給与所得者については基礎控除がさらに上乗せされることになりました。その結果、一定の要件を満たす給与所得者では、令和7年分の所得税が課税されない年収の目安は160万円となるケースがあります。なお、「123万円の壁」は課税最低限の見直しを説明する際の目安として引き続き用いられますが、実際には基礎控除の上乗せ特例により、年収160万円程度まで所得税が課税されないケースがあります。

2年間限定で「178万円の壁」へ

令和8年度税制改正により、所得税が課税され始める年収の目安は178万円となりました。 今回の改正では、基礎控除額が58万円から62万円へ引き上げられるなどの見直しが行われ、給与所得控除の引き上げと合わせて、所得税が課税されない年収の目安は178万円となります。これにより、これまで以上に多くの人が減税の恩恵を受けられる見込みです。

ただし、178万円の壁は恒久的な制度ではなく、令和8年・令和9年の2年間限定の特例措置とされています。本則として引き上げられる控除額は物価変動への対応分にとどまり、それを上回る部分については時限的な措置とされています。また、毎月の源泉徴収は令和8年11月まで変更されませんが、令和8年分の所得税は令和8年12月の年末調整等で精算されます。

さらに、令和10年以降については、政府・与党において「給付付き税額控除」の導入を視野に制度の見直しが検討されています。そのため、178万円の壁が将来も維持されるとは限らず、今後の税制改正によって内容が変更される可能性があります。

参考:いわゆる「年収の壁」対策|首相官邸

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令和8年度税制改正のポイント

税制改正のポイント

令和8年度税制改正では、「160万円の壁」がさらに見直され、所得税が課税され始める年収の目安が178万円へ引き上げられました。この改正にあわせて、基礎控除と給与所得控除も引き上げられ、より多くの人が税負担の軽減を受けられるようになっています。また、基礎控除は所得に応じて控除額が変わる仕組みとなっており、所得が低い人ほど大きな控除を受けられる点が特徴です。ここでは、令和8年度税制改正のポイントを解説します。

基礎控除の引き上げ

令和8年度税制改正では、所得税の基礎控除がさらに拡充されました。合計所得金額489万円以下の人は基礎控除額が104万円となり、改正前の68万円~95万円から引き上げられています。ただし、基礎控除額はすべての人が104万円になるわけではありません。所得水準に応じて段階的に設定されており、所得が高くなるほど控除額は小さくなります。なお、この控除額の引き上げは令和8年分・令和9年分の時限措置です。令和10年度分以降は、合計所得金額132万円以下の人は99万円、132万円超2,350万円以下は原則として62万円となります。

【基礎控除額】

合計所得金額
(給与収入のみの場合)
改正前(令和8年分) 改正前(令和9年分以降) 改正後(令和8・9年分) 改正後(令和10年分以降)
132万円以下
(206万円以下)
95万円 95万円 104万円 99万円
132万円超~336万円以下
(206万円超~475万1,999円以下)
88万円 58万円 104万円 62万円
336万円超~489万円以下
(475万1,999円超~665万5,556円以下)
68万円 58万円 104万円 62万円
489万円超~655万円以下
(665万5,556円超~850万円以下)
63万円 58万円 67万円 62万円
655万円超~2,350万円以下
(850万円超~2,545万円以下)
58万円 58万円 62万円 62万円

給与所得控除の引き上げ

令和8年度税制改正では、給与所得控除も見直されました。令和8・9年分は、年収220万円以下の給与所得者に適用される給与所得控除額が74万円となり、令和7年分の65万円から引き上げられています。また、令和10年分以降は、年収190万円以下の給与所得者について「収入金額×30%+8万円(69万円未満となる場合は69万円)」が適用されます。

給与所得控除とは、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者が収入に応じて受けられる控除であり、基礎控除とは異なります。給与収入から一定額を差し引いて所得を計算するため、控除額が大きくなるほど課税対象となる所得が少なくなり、所得税の負担軽減につながります。なお、給与収入が220万円を超える場合の給与所得控除額に改正はありません。

【給与所得控除額(改正された範囲)】

給与等の収入金額 改正前 改正後(令和8・9年分) 改正後(令和10年分以降)
190万円以下 65万円 74万円 その収入金額×30%+8万円(69万円未満となる場合は69万円)
190万円超~220万円以下 その収入金額×30%+8万円 74万円 その収入金額×30%+8万円(69万円未満となる場合は69万円)

参考:令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について|国税庁

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2026年からの「年収の壁」

2026年からの年収の壁

「年収の壁」とは、年収が一定額を超えることで税金や社会保険・扶養控除などに影響が生じる基準のことです。2026年は、税制や社会保険制度の見直しにより、「123万円の壁」や「178万円の壁」など、いわゆる「年収の壁」に関する制度が見直されました。そのため、「どの壁が自分に関係するのか」を把握しておくことが大切です。 ここでは、2026年時点で押さえておきたい主な年収の壁を一覧で確認しましょう。  

年収の壁 種類 超えた場合 2026年のポイント
106万円 社会保険 一定の条件を満たすと勤務先の社会保険へ加入する 2026年10月から賃金要件の撤廃が予定されている
123万円 税金 所得税の非課税ライン(令和7年度税制改正の基本的な課税最低限)。扶養控除の所得要件にも関係する 旧103万円の壁から123万円へ引き上げ
130万円 社会保険 配偶者や親の社会保険の扶養から外れる可能性がある 2026年4月から年間収入見込みによる判定へ変更
150万円 税金 配偶者特別控除が満額受けられる上限(令和7年分までの基準) 150万円を超えると控除額が段階的に減少
160万円 税金 2025年分のみ適用された所得税の非課税ライン 2026年分以降は178万円へ移行
178万円 税金 2026年分からの新しい所得税の非課税ライン

手取りへの反映は2027年1月以降
(2026年分は年末調整で精算)

207万円 税金 配偶者特別控除が受けられなくなる 控除はなくなるが、必ずしも働き損になるわけではない

関連記事:【所得税の税率一覧】税率が上がる年収は?計算方法や控除を解説

社会保険の壁は依然として残っている

2025年・2026年の税制改正により、所得税が課税されない年収の基準は103万円から123万円、さらに178万円へと段階的に引き上げられました。しかし、「年収の壁」がすべて解消されたわけではありません。多くのパートやアルバイトが働き方を調整する理由となっている、社会保険の壁は現在も残っています。

【社会保険で注意したい2つの年収の壁】  

年収の壁 内容
106万円の壁

一定の条件を満たす場合、勤務先の社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が生じる。
※「従業員50人超企業に週20時間以上で勤務する場合」は、所定内賃金が月額8.8万円以上(年収換算で約106万円)になると厚生年金保険等に加入。
※制度改正により賃金要件の見直しが進められている。

130万円の壁 配偶者や親の社会保険の扶養から外れる基準。
扶養から外れると、自身で社会保険料を負担する必要がある。

社会保険料の負担は年間で数十万円になることもあるため、所得税の負担よりも家計への影響が大きいケースは少なくありません。そのため、「103万円の壁が引き上げられたから安心」とは言い切れず、実際には106万円や130万円を意識して働き方を調整している人も多くいます。

政府は社会保険制度の見直しも進めており、106万円の壁の撤廃を含む年金制度改革についても議論が行われています。今後、社会保険の加入対象がさらに拡大される可能性もあるため、税制改正だけでなく、社会保険制度の最新情報にも注目しておくことが大切です。

参考:「年収の壁」への対応|厚生労働省

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年収の壁と扶養控除・特定親族特別控除の関係

働く大学生

年収の壁の見直しに伴い、扶養控除の所得要件も改正されました。また、大学生年代の子どもの働き控えを解消するため、新たに「特定親族特別控除」が創設されています。 子どもの年齢や所得金額によって適用される制度が異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。

扶養控除の所得要件

扶養控除は、納税者と生計を一にする親族が一定の要件を満たす場合に受けられる所得控除です。令和8年度税制改正では、扶養親族の合計所得金額の要件が62万円以下へ引き上げられました。給与収入のみの場合は、年収136万円以下が目安となります。

19歳以上23歳未満の特定扶養親族についても、この基準内であれば従来どおり63万円の扶養控除を受けることができます。一方、給与収入が136万円を超えると扶養控除の対象外となりますが、直ちに親の控除がなくなるわけではありません。一定の要件を満たせば、特定親族特別控除が適用される可能性があります。

特定親族特別控除とは

特定親族特別控除は、令和7年度税制改正で新設された所得控除です。19歳以上23歳未満の親族が扶養控除の所得要件を超えた場合でも、合計所得金額123万円以下(給与収入197万円以下)であれば、所得に応じて段階的に控除を受けられます。これにより、大学生年代の子どもがアルバイト収入を増やしても、親の所得控除が一気になくなることを防げるようになりました。扶養控除を補完する制度として創設されており、「年収の壁」による働き控えの解消を目的としています。

大学生のアルバイト収入はいくらまで?

大学生など19歳以上23歳未満の子どもの場合、給与収入136万円以下であれば扶養控除の対象となります。給与収入が136万円を超えても159万円以下であれば、親は特定親族特別控除を満額(63万円)受けることができます。159万円を超えて197万円以下までは、収入に応じて控除額が段階的に減額されます。 そのため、「136万円を超えたら親の負担が急に増える」というわけではありません。

ただし、給与収入197万円を超えると特定親族特別控除の対象外となるほか、社会保険や住民税には別の基準があります。アルバイト収入を増やす際は、税金だけでなく社会保険への影響もあわせて確認することが重要です。

参考:源泉所得税の改正のあらまし|国税庁

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年収の壁を超えて働くメリット・デメリット

扶養内で働く

年収の壁を超えると、税金や社会保険料の負担が発生することから、「働き損になるのでは?」と不安に感じる方も少なくありません。しかし年収の壁を超えることには、収入アップや将来の保障が充実するといったメリットもあります。ここでは、年収の壁を超えて働くメリットとデメリットをそれぞれ解説します。目先の手取りだけでなく、長期的な視点も踏まえて、自分に合った働き方を検討しましょう。

年収の壁を超えて働くメリット

年収の壁を超えて働く主なメリットは以下のとおりです。

  • 収入や手取りが増えやすくなる
  • 勤務時間を気にせず働ける
  • 厚生年金に加入でき、将来の年金額が増える
  • 健康保険の保障が充実する
  • キャリアアップや昇給につながる可能性がある

年収の壁を超えると、税金や社会保険料の負担が発生する場合がありますが、それ以上に収入を増やせれば手取り額も増えやすくなります。また、厚生年金や健康保険に加入することで、将来受け取る年金額が増えるほか、傷病手当金や出産手当金などの保障を受けられるケースもあります。働く時間や収入を制限する必要がなくなるため、キャリアアップや収入アップを目指しやすい点も大きなメリットといえるでしょう。

年収の壁を超えて働くデメリット

年収の壁を超えて働く主なデメリットは以下のとおりです。

  • 所得税や住民税がかかる場合がある
  • 社会保険料の負担が発生する
  • 社会保険の扶養から外れる可能性がある
  • 配偶者控除などに影響する場合がある
  • 年収によっては一時的に手取りが減ることがある

年収の壁を超えると税金や社会保険料の負担が増え、特に106万円や130万円の壁では手取り額が一時的に減少するケースがあります。また、社会保険の扶養から外れたり、配偶者控除や配偶者特別控除に影響したりすることもあるため、世帯全体の収入や支出を踏まえて判断することが重要です。短期的な手取りだけでなく、将来の年金や社会保険の保障も考慮し、自分に合った働き方を選ぶようにしましょう。

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年収の壁を理解して自分に合った働き方を選ぼう

自分に合った働き方を見つけよう

123万円の壁とは、令和7年度税制改正により、所得税が課税され始める年収の目安が従来の103万円から123万円へ引き上げられたことを表す、いわゆる「年収の壁」です。しかし、その後の税制改正により、令和7年分は160万円、令和8年分からは178万円へと所得税の非課税ラインが見直されるなど、制度は大きく変化しています。

年収の壁を超えることで税金や社会保険料の負担が増える場合もありますが、収入アップや将来受け取る年金額の増加・社会保険の保障が充実するといったメリットもあります。制度の仕組みを正しく理解したうえで、自身や家族の状況に合わせた働き方を選択しましょう。


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この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

登録者30万人以上のYouTubeチャンネル「税理士法人松本〜税金の裏のウラ〜」を運営。 代表を務める税理士法人松本では、これまでに累計5,000件を超える税務調査のご相談・対応実績があり、国税局査察部、税務署長歴任者・税務調査一筋の現場に強い国税出身のOB税理士が現在15名常駐。
国税当局側の視点を踏まえて、お客様の立場を尊重し、税務調査でお悩みのお客様に適切かつ迅速に対応。また、調査前・調査中に関わらず、あらゆる状況から最善のサポートが可能。
なお、調査結果が追徴税額なしとなる実績も多数取得。税務調査における専門性・経験則・折衝力から最善の結果を導き、お客様の笑顔とありがとうを励みに成長し続けている。

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